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青髪の君の花嫁探し  作者: ゴスマ
第7章 ビックエルフの森
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第4話 ビックエルフ

「あの服装はエルフに違いありません、彼らは少なくとも敵対勢力では有りません」


 エルムの言葉通り、迷彩服の小人達は周囲を取り巻くだけで近寄っては来なかった。


「ちょっ、エルム。ぜんぜんビックじゃ無いじゃないか?」


「うふふふ、そうですよ?ビックエルフの森は、エルフが済む大きな森という意味ですから~」


「なんだよそれ、詐欺じゃねーか!」


 ルナーダとドタンがギャアギャア文句を言う中、フォーマは一人冷静であった。


「私は大魔導師ファーマである、貴殿らの代表と話がしたい!」


 問いかけに、金色の襟飾りのついた小人が一人前に進み出る。


 身長は30cm程でノームと変わらないが、4頭身なので随分人間に近い。


 エルフと言うだけあって耳が長く尖っているが、これは人の鼻の穴が二つだと態々説明するようなものである。


「大魔導師よ、邪悪なノームを倒してくれて感謝する。」


「我々の仲間が攫われたので倒した迄だ。」


「では、早々にこの森から立ち去られるが良い。」


「いや、我々は北の山へ用事がある。」


「今北の山は邪悪な魔術師が支配して危険だ、それでも行くのか?」


「そいつに用があるからな!」


突然会話に割り込んで来た失礼な子供をエルフの指揮官は侮蔑の眼差しで睨みつけた。


ファーマはルナーダを紹介する。


「こちらは我が主、ルナーダ様である。」


「なんと、大魔導師殿の主とは?国王であるか?」


ぶっとサエが噴き出した、エルムとドタンも笑いを抑えるのに必死である。


「青髪の君は王都におられるが、ルナーダ様は私にとってそれ以上の存在である。」


「ならば、我ら古の約定に基づき貴殿らの助太刀を致そう!」


◇■


 リトルエルフの集落は深い森の奥深くに点在していた。


 彼らが出会った一軍は、ノーム討伐の為に各所から集まった精鋭達であった。


 北への従軍を申し出たリトルエルフ達にファーマは謝意を表明し、現在ノーム砦より15km程北上した地点で休憩中である。


 地盤に鉄鋼石を多く含むこの地ではコンパスが役に立たない。加えて高い木々に囲まれた森林では容易に方角を見失う。


「いやあ、さっぱり方角が分からない、ついて来て貰って良かった。」


 ルナーダはあっさりと方向を見失った様だ。


「はっはっはっ、人間の目には自然に見えるかもしれませんが、この森のあちこちは我らの手に寄って改造されているのです。」


「改造?ですか...」


「はい、そっっくりな風景になるように木や岩や花の位置までわれらが隅々に手を加えてられており、同じ森に住むノーム達でさえ、道しるべの糸が切れると迷います。」


「あー、それであの糸..しかし、そんな重要な秘密を我々に教えて良かったのですか?」


「なあに、それを知って見分けがつく訳でもありませんし、それより約定の魔女様がよもやご存命であったとは、お供出来て光栄の至りです。」


「ああ、ファーマの事だな?その古の約定って奴さ、良かったら聞かせてくれない?」


「えっそれ私も聞きたい!」「私も!」


「大した約束ではないですよ?」


 ファーマがお茶お濁したのでパーティーの一同はそれがどのような物だったか聞けず仕舞いだった。


 行軍は点在するノームの残党狩りを兼ねて行られた。驚いた事にリトルエルフ達の主な武器は毒を塗った吹き矢だった。


 一方のノーム達は木の兜に盾で武装し、手りゅう弾の様に爆発するキノコを投げて応戦してくる。


 隠れ場所が豊富な森の中ではエルフに軍配があがるが、1か所に集まって面で対峙するとエルフ側には決定打が無かった。


「まっあんな木の盾なんて、紙見たいな物だけどね~」


 小砦を見つける度、ファーマは砦ごと外から竜巻で吹き飛ばした。エルフ達は倒れて気絶したノーム兵に止めを刺すだけの楽な作業である。


 そもそも吹き飛んだ衝撃で既にこと切れている者が多く、止めすら不要であったりもした。


 順調に北上した一行は目的の山脈の入り口に到着する。突然森が開けて岩が剥き出しの山肌に出くわしたのだ、


「ここから先は岩ばかりの山々で我ら森の民を拒絶しますので。」


「うん、ここまでで良いよ、案内ありがとう、助かったよ。」


「魔女様もお気をつけて。」


 やや平坦な岩肌を登り始めて10分も立たない内にファーマがあっと叫んで空高く舞う。


 一同は呆気に取られて空を見上げた。


 急降下してきたダーマの周りに皆が集まる。


「ルナーダ様!エルフ共に諮られました!」


「なにいっ!どういう事だ?」


「分かりません!しかしここは目的の場所からちょうど90度東の様です、太陽の向きで気がつきました。」


 それを聞いてドタンは眉をしかめる。


「つまり...何処?」


「もっ戻りましょうか?」


 サエが不安そうに言うと、エルムが反対した。


「無理ですっ!案内人の私でさえも気づかない程巧妙に操作された地形を戻るなんて!」


「そもそも最初からファーマが皆を抱えて飛べば良かったんじゃ無いの?」


 ドタンの無茶ぶりにファーマはため息しか出ない。


「前にも言いましたけど、魔法が通っていない素人を持ち上げるのはそれはそれは魔力を無駄に消費するのですよ...」


「まあまあ、東に出たというなら西へ回り込みながら登れば良いと言う事じゃ無いか?」


 ルナーダの取りなしでそのまま前に進むことになった一行は、歩きづらい岩肌をゆっくりと迂回しながら登って行く。


「しかしエルフ達も思い切った事をしたもんだなあ~、面と向かってファーマに喧嘩を売ったようなもんじゃ無いか?」


「あれじゃね?奴ら森の奥に隠れてもう会わないからとか思ってんじゃね?」


「ふふふ、甘いですよドタン君、私を怒らせたら森ごと焼き払いますからね...」


「ちょっ!ファーマちゃん、駄目よ!森には動物が沢山いるのよ?」


「それに、我々案内人の仲間も森中に散っています...」


「あっ...」


 突然ファーマが立ち止まる。


「えっと、どうしたの?」


 サエが恐る恐る尋ねると、ファーマは前方を指差しながら答えた。


「なぜエルフ達が私達をここに誘い込んだのかが今分かりました。小賢しくも私をノーム退治に利用するだけ利用して、最後は消す心算だったのですね...」


「消すったって、おおっ!あれは何だっ!?」


 前方で山肌が大きく持ち上がる。


 それは岩でできた巨大な生き物の様に見えた。

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