第3話 凄腕
二人の少年が原っぱで空を見上げて寝転んでいた。
「なあ、ルナーダ」
「ルナーダ兄さんだ、ドタン。」
「..てい魔ってどんな悪魔だ?」
「テイマーっていうのは獣の調教魔術師の事だ。」
「そうか...どんな奴が来るんだろうな?」
「一緒に育った義兄弟の中にもテイマーになった変人がいたが、俺の知っているテイマー連中は、だいたいが妙な服を着てじゃらじゃら奇妙な飾りを身に着けている変わった野郎だ。まあ、俺はそっち方面の人材とは殆ど交流が無いから詳しい事は知らんがな。」
「失礼な!わらわはその様な非常識人ではないぞ!」
突然耳元で怒鳴られた二人は飛び起きた
驚いて見てみると、線の細い少女が一人、ボディースーツの様なピッタリとした青いキャミソールに丸く大きく膨らんだバルーンボトムの白ズボンを履き、頭には顔の5倍はある巨大な白帽姿で立っていた。子供出なければ変質者としか思えない奇抜な服装である。
「なんだ、この変なガキ!泣かすぞ!」
「ドタン、変わった子とは話しちゃいけません!」
「お前らなあ、年上に向かって何調子こいてんだ?ファーマがたっての頼みだと言うから折角駆け付けてやったというのに!」
白いズボンのすそを揺らしながら地団駄する少女に二人はあきれ顔だ。
「お前さあ、つい2時間も前だぜ?ファーマが助っ人を呼ぶって言ったの。お前ん家どこ?」
「西の大森林だが?」
ルナーダが鼻穴を大きく開いて叫んだ。
「こっから100kmはあるじゃねえかっ!」
「だから?」
「手前、どこの世界に100kmも離れた場所へ2時間で連絡する手段があって、そこから直ぐ来れる手段があるっていうんだ!あるなら証拠を見せてみろ?本当ならお前のいう事を何でも聞いてやる!」
少女は目をパチクリとするとドタンの方を見た。
何故かドタンが頷いたので少女はズボンのポケットから何やら細長い銀色の棒を取り出し空に放り投げる。
それは突然半透明になり羽ばたき出すと、目にも止まらぬ勢いでルナーダ達の周りを飛び回り始めた。
「スカイフィッシュじゃ、動くなよ?触れたら高速で動く鰓の餌食じゃて。」
「わっ分かった、こいつに手紙を持たせたっていう訳だな?なるほどこれなら1時間もかからずに連絡できるかもしれん。取り得ず仕舞ってくれんか?ああ、ありがとう、しかし!」
ルナーダは再び不思議少女の鼻元に指を突き付けた。
「お前さん自身がここまで来るのには早馬でも2日はかかる距離だ!」
少女はその手をそっと脇へずらすと、哀れな犬を見るかの様な目でルナーダを見た。
「おおっ、ココル!あっちにお前の飛竜が居たから探していたら、ここに居たのか?」
少女の目が残忍な色を帯びたのを、ドタンは目撃する。
「おおファーマ、我が親友の頼みとあらば何時でも馳せ参ぜようぞ、所でこの少年はお前の知り合いか?」
ファーマは目をパチクリさせる。
「ルナーダ様、私の御主人さまよ?」
「そうか、そうか、ファーマの御主人さまであったが..お前程の魔導士に主人などいたとは今の今まで知らんかったが、こ奴はつい先ほどからわらわの奴隷となった。」
「「奴隷~?!」」
事情を知らぬファーマとサエは驚いた。
ルナーダは必死の形相になる。
「我が王国は奴隷を禁じている!」
「では、ペットじゃ」
「人をペットにすることも禁じている!」
「はあん?自分の言った事も守れない様な男が人間様扱いして下さいじゃと?」
「ぐうううう...」
「まあよい、ほれこの球を見ろ。」
そう言ってココルはポケットから今度は赤い透明な球を2つ取り出した。
「良く見ろ?ワンツーさんハイッ!わらわの僕になる!」
「わんっ!」




