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青髪の君の花嫁探し  作者: ゴスマ
第6章 ココルの職業
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第2話 グアウと少女

「ルナーダ様、あれは遥か西方に住むというグアウという魔獣だと思われます、個々の力はそれほど強く無く、騎士数名で討伐できるものの、繁殖力が強く集団で襲い掛かる性質が有ります。」


「何ぃっ!何だってそんな物が我が王国に?」


「調査の必要が有りそうですが、今は殲滅します。」


 ファーマは両手を広げ流れる様に指先で空を書く。


 サエとドタンを包む閃光が収縮し彼らを包む明るい光のドームとなった。


「ライトニング・アロー・レイン・精霊の御名に於いて我ファーマ・スーズが命令す、閃光よ牙となり、かの敵共を射抜け、流飛蝗閃ルビコウセン!」


 宣告と共に夜空から星々が落ちて来たかの様に辺り一面を真っ白に染めながら光の矢が正確に飛来した。


 それは木々の枝を容易く突き破り魔獣達の臓腑を射抜き、大量の血液を噴出させると共に、地面に深い縫い付けた。


「おいおいおい、サエが死ぬサエが死ぬってっ!」


 大慌てのルナーダにしがみ付かれたファーマは木から足を滑らせる。


 しかしふわりと空中で浮いた彼女は大丈夫、命には別条ない筈だからと頬笑んだ。


 空が落ちて来たかと思わせる大爆撃の直後、急いでサエの元に駆け付けたルナーダは、燐光の中で傷一つ無く倒れるサエとドタンを見つけると、ほっと胸を撫でおろした。


 「ファーマ良くやった、解除しろ。」


 「はい」


 二人とも息はある、気を失っているだけだ。


 サエはドタンを抱いて背を向けて倒れている。つまり最後までドタンを守ろうとしたという事だ。


 「彼女は合格ですね。」


 「かもな..どうだ、ばあさん、寂しかろう?」


 「お姉さんと言わないとお仕置きって、いつも言ってるでしょう? でもこれで私も心置きなく...」


 「寂しい事を言うなよ..」


 ルナーダはそっとファーマを抱き寄せた。


■◇


 翌朝、ひょっとり村に現れたファーマを見て、村人たちは腰を抜かさんばかりに驚いた。


 昨晩の天変地異は皆の知る所である。


 魔獣の住処となっていた古い神社跡の森は消し飛び丸く木々が剥がされた大地は巨大な杭で耕したかの様に穴だらけになっている。

 

「ひっお許しください、魔導士様!」


「お許しください!」


ひれ伏す村人の中心に助役の姿があった。


ルナーダが前に進むと助役は土下座したまま亀にでもなったかのように体を小さく丸めた。


「お前たちは俺達を魔獣の生贄に捧げた、そういう事だな?」


「どうかっどうかっ、私の命一つでお許しくださいっ!」


「お前の命で許すかどうかは別として、なぜ他所に助けを求めなかった。」


突然助役がガバリと顔を上げた。


目は血走り、皺だらけの目じりはぐっしょりと濡れている。


「求めました!求めましたとも!しかしパゲの街には断られ、侯爵様の所へ行った使者は何名も戻りませんでした...我々はこの国に見捨てられたのですっ!」


「そうか...2週間以内に王都から使者が来る、それまで助役とその家族は謹慎、俺達は近くに生き残った個体が居ないか調べる為に滞在する...一旦解散だ。」


◇■


それから2週間の間、一行は村周辺で魔獣の痕跡を追った。


その間、パーティーには変化があった。


まずドタン。


彼は身をつんざく爆音と振動で気を失う前にサエが自分を抱いて庇ってくれたことをしっかりと覚えていた。


主にサエに頼まれた時だけではあったが、文句を言わず頼まれ事も素直にこなすようになった。


もう一人はルナーダだ。


サエに優しくなった。


以前の様に暴言を吐く事も無くなったし、以前に増して体を気遣ってくれる。


「ねえ、ファーマちゃん、二人とも私に良くしてくれる様になってどうしちゃったんだろうね?」


「皆サエちゃんの良さにやっと気づいたって事だよ。」


「へへへ、そうなのかなあ。」


 すこし離れた場所で、ルナーダとドタンが魔獣の足跡を探していると人影が現れた。


「おーい!」


 ルナーダが声を掛けるとその子供はビクリと体を震わせ、木肌色の着物の襟をギュッと締めると細い背中を丸める。


「この辺で魔獣の生き残りを見かけなかったか?ん、胸に何隠しているんだ?」


子供の懐は異常に膨れていた。


「なっ何も隠してねえだ!」


「おいちょっと見せろっ!」


 ドタンが自分より大きな子供の手を掴むと襟に手をかけ引き倒す様に引っ張った。


 子供の懐が大きく開けると、そこからは黒くて小さな生き物が飛び出す。


 すばしっこく逃げる生き物を取り押さえると歯まで黒い、昨日の魔獣の幼生だった。


「どうしたの二人とも?魔獣が居たの?げっ!」


「居たぞサエ、でも俺が捕まえた!


「何言ってるんだドタン、俺がそっちに誘導してやった事を忘れるな。」


 互いの顔を付き合わせていがみ合う二人の耳をサエがぎゅーと引っ張った。


「「いてててて!」」


「良いから貴方達、この女の子に謝りなさい!」


 サエとファーマが泣きべそをかいた女の子に魔獣の危険性を得々と説得したので、少女はか魔獣の子供を諦め帰って行った。


「でも聞き捨てならない事を言っていたわね。」


「そうね、サエちゃん、ちょっと二人とも~正座はもういいからこっち来なさい~」


 呼ばれてフラフラと来た二人の少年に対し、ファーマは先ほどの少女の証言を伝えた。


「えっ?捨て犬?」


「そうなのよ、この辺では見かけない男がこの子を捨てて行ったって言うのよ。」


「そいつ何で魔獣の子供なんか持ってるんだ?」


「ドタン君もそう思うよね?そこなのよね~、ねえその男を探してみようと思うんだけど?」


「異論はないぞ、だが闇雲に探すのか?」


「心配無用です、助っ人を頼みました、山海を制したテイマーです」


 ファーマの妙に自信あり気なすまし顔にルナーダは不安を隠せなかった。

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