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青髪の君の花嫁探し  作者: ゴスマ
第6章 ココルの職業
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第1話 山間の村

「くそうっ!何で俺だけまた歩きなんだ!?この縄をほどきやがれっ!」


 北へ向かう田舎道を、4頭の馬と一人が歩いている。


 見かねたサエが馬上から声を掛けた。


「あのねドタン君、ルナーダ君は君の事が嫌いでやってるんじゃ無いと思うの。そうは見えないけど、君の為になると思ってやってるんだと思うの...」


「うるせーでか乳女!バインバイン乳揺らしてないで、ちっとは押さえてろ!」


「酷いっ!」


 するとルナーダが馬で近寄って来た。


「同感だドタン、だがサエの言った事も本当だ。俺はお前に真っ当な人間になって欲しい。年取った貴族みたいに顎で人を動かして於いて実のところ世の中に何も貢献して居ない様な屑には成長して欲しくは無い」


「お前だって屑じゃ無いか? 大魔法使いが居なければ何もできないくせにっ!」


「確かに俺はファーマが居ないと無力だ、だがお前と違うところが一つある。それは王国が、否この世が良くなる事を願ってそれを具現化すべく行動しているという所だ。」


「へっ!俺だってそれくらい考えてるさ。」


「違うだろうドタン?お前が考えているのは自分にとって都合の良い世の中になれば良いなあと言う事だけじゃないのか?」


「くそっ何で勝手に決めつけるんだっ!」


 怒ったドタンはそっぽを向き喋らなくなってしまったので暫く静かな旅が続いた。


 天気は良く、ドタンも良く歩いたためその日の宿は野宿ではなくポルという村で一夜の宿を求める事になる。


 辺鄙な山村の夜は早く、日暮れと共に寝る支度が始まった。


 当然夜は真っ暗で窓を開けても隣家の灯り一つ見えない。


 ...筈なのだが


 その夜は何やら騒がしいかったので、翌朝サエは宿のお婆さんに昨晩何があったのか尋ねた。


 その瞬間、老婆の表情は固まり何かに怯える風だった。


「じっ実は、最近旅のお客様が少なかったので、久しぶりのお客様の為にと、歓迎会の準備をしていましたのじゃ。」


「えっ?ドタン君の教育があるとか言って少しだけここに留まるみたいだけど、2~3日もすれば直ぐ行っちゃう身だよ?せっかく歓迎会をして貰ってもお別れになっちゃうよ~」


「それは重々分かっています、ただあのう、大魔導士様にはこの事はご内密に...村の助役さんから私が怒られてしまいます。」


「分かった、言わないわ。」


 夜になるとまた村の中が騒がしくなってきた。


 今度は人目も憚らず宿の周りを松明が取り囲む。


「なんだなんだ?」


 慌てるルナーダに、サエは事情を説明しようかと一瞬考えたが、同時に老婆の困り顔も思い出す。


「大魔導士様が一行を歓迎するパ―ティーへご招待いたしますじゃ。」


サエがチラリと横目で見ると、ルナーダは明らかに迷惑そうな顔付きである。


「いっ良いわねぇ~歓迎パーティー!


「何だサエ行きたいのか?」


「どんな食べ物が出るんだろうって...」


「そうか、お前が食べたいのなら、それも良かろう」


 サエは単純に喜んだ。


 村人たちが左手に翳す松明の灯りが列を成し、一行が男達について行くとそこは村の中心から離れた人気の無い神社の様な場所であった。


「ちょっと...薄気味悪いわね...お料理は何処かしら?」


御馳走の匂いの一つでも流れて来そうだが、幾ら鼻を嗅いでも匂うのは夜露と木々の香りばかり。


「おい、散々歩かせやがって、飯は何処だ?!」


「おいおいドタン、それが人から好意を受けるときの態度か?もっと感謝しなくちゃいかん。」


「うるせールナーダ、手前一々言う事がおっさん臭いんだよっ!」


「うむ、成熟していると思って貰って結構。」


 だが、言い争う二人がはっと気が付いた時には付近から村人の気配は消え、篝火代わりに集められた松明の光がゆらりゆらりと二人の横顔を照らしていた。


「えっ?何か来る?!」


 サエは腰の剣を抜く。


 暗闇から音を立てて何かが近づいて来る。


 見えない恐怖と戦いながら、一行は出したい声を我慢して一か所に集まった。


 ぐおおおおーん


「魔獣?!っ」


 聞きなれた獣の鳴き声はサエをパニックに貶めた。


(えっ?何で何で?村の人達は無事なの?そもそもこんな人里に降りて来る魔獣って?!)


「あっ!」


 予想以上のスピードに剣を弾かれ、柄が手から離れてしまう。


「数が多い、逃げる!」


 ファーマは魔法で皆を空に飛ばすと、自らも飛んだ。


「すげえっ!これが有れば明日から歩かなくて済むじゃねえ」


 ドタンが大喜びした。


「冗談言わないで!魔力の使えない人間に魔力を流すのは高級酒をドブに流すような物なのよっ。」


「ドブって言ったなこの糞女!」


「クソガキ..」


 ファーマが魔力を弱めたのでドタンの体は徐々に降下し茂みに落下する。


「ファーマちゃんっ!私も降ろして。」


 急いでサエがドタンの様子を確かめに降りると直ぐに周りを魔獣に囲まれしまった。


「おいおいおい、食い殺されちまうぞ?」


 高い木の上の枝に着地したルナーダが心配そうに隣を見ると、妖精の様に細い鼻をツンと上に向けたまま、呪文を唱えた。


「ピッカリプンテー」


「...なあ、やっぱその呪文適当だろ?」


 サエとドタンを中心に閃光が湧き上がり、辺りが昼間の様に照らされ白日の下に晒された漆黒の魔獣共は、黒い歯肉と牙を剥きだしにすると特徴的な三つ目を閉じる。


「何だあの魔獣は?!」

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