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青髪の君の花嫁探し  作者: ゴスマ
第5章 パゲの街
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第2話 救出

屋敷は幾重もの白壁が張り巡らされた迷路のような作りで、小門を潜るたびに武装兵達と出くわす。


其の度にファーマの魔法で撃退するのであったが、10回目の戦闘を超えた辺りから徐々にファーマの顔色が悪くなってきた。


「疲れた...おんぶ..」


「この体にそんな体力はねえ!サエ、ファーマを背負え。」


「ねえちょっと、これ拙いって、一回引き返そうよ?」


「あとちょっとかもしれん、行くぞ!」


 だが、かれこれ300人近い敵を退けて来たファーマの魔法がとうとう発動限界を迎える。


「あれ~、魔法でないかも~」


 慌てて懐を弄るファーマの手をルナ―ダは制止すると、サエのベルトに素早く何かを挟んだ。


「捕まえろっ‼」


 三人が観念したとみるや捉え、男達はサエだけを連れて行くとルナーダとファーマを牢に放り込んだのだった。


◆□


ドタンは自身を顧みて思考に耽っていた。


つい先日まで侯爵家の末弟として何不自由ない暮らしをして来た自分。


父の口癖は「貴族らしくあれ」、母の口癖は「見っともない」。


兄や姉は意地悪で、自然と自身も使用人に対して同じように接して来たと思う。あの頃はパワーが有った。


「俺は無力だ...」


高々10かそこらの年齢では当たり前である。


だが嘗ての自分は世界の中心に居て、常に万能感に満たされていた。


今は...どん底、という沼に捕らわれて抜け出せない。


「いったい如何すれば良いんだ...」


 両親が失脚した今、何も出来ないかもしれない。


 が...まだ諦めたくは無かった。


「よう、犯罪者!久しぶりだな。」


 ルナーダが挨拶をすると先客は思想の沼からはっと現実に戻り、成り食ってかかる。


「何しに来たんだコノヤロー、お前ら強いんじゃ無かったのか?!」


 その目には薄っすら涙がさえが浮かんでいた。


「案ずるなドタン少し休息するだけだ、それよりここの奴らの情報を知らんか?」


「俺は門の前に座っていただけなのに、奴らは俺の事を何者だって聞いたのさ。俺は国家機密だから教えられんって言ったら、突然牢に入れられたんだ。」


「何が国家機密だ、家出小僧が。しかし、まあ奴らは王国の敵で間違いないな?」


「えっ?うん...多分。」


「よしファーマ、裏は取れた!駆逐するぞ!」


「うーん、もうちょっと..待って...」


「駄目だ待てん、アレを使え。」


ファーマは気だるそうに懐を探ると、秘密のポケットから1枚の小さな薄い木片を取り出し口に含む。暫くそれを咀嚼していると、頬に血の気が戻って来た。


「さっき止めなければよかったのに..」


「まあそういうな、お陰でドタンを見つけれたじゃ無いか。」


「むう...今度はサエちゃんが行先不明。」


「じゃあ、ちゃちゃっと案内宜しく!」


 短くため息をついたファーマが何事かを念じると、小さな光の蝶が現れ、ひらひらと廊下を飛ぶ。


「さあ、あの蝶の行き先にサエがいる、一気に片付けるぞ!」


◇■


氷漬けにされた眼帯がサエを捕まえてひん剥くと吠えていた。


故人の言葉が今現実となっている。


「だから~魔法使いは私じゃ無いって!」


「「「ぐへへへ」」」


 衣服がハラリと足元に落ちている。


白い美脚の持ち主は、大きな胸左手一本で隠そうと必死だ。


「もう~、アンタたち私の裸が見たいだけじゃない!」


「「「ぐへへへ」」」


 指揮官らしい毛皮姿の大男が中央の大椅子に座り、左右に並ぶ6人の立派な偉丈夫達は微動だにも動かず、事の次第を眺めている。


「さあ、これ以上恥ずかしい目に会いたくなければ洗いざらい話して貰おう。国家機密だと豪語するあの少年は何者だ?貴様らは我々の事をどこまで掴んでいる。」


(国家機密って何かしら? 豪語するって事はルナーダ君の事だよね?)


「あの子は私の雇い主よ、北の洞窟迄行こうとしている、そして私たちは貴方達の事は何も知らないわ。」


「くくく、屋敷の周りをうろちょろと調べておきながらしらばっくれる積りか?おい、やれ。」


 下っ端がサエの左腕を掴んだ。


「きゃー、本当に知らないんだってばー!」


 強引に開かれつつある腕。


その奥へ男達の視線が注目したその時、扉の向こうから突風が来襲した。


「ぐおおっ」


 部屋の中に居た者達は皆吹き飛ばされ、壁に衝突して苦悶の声を上げる。


「ははははは、見ろファーマ、サエの尻だ、丸見えだぞ。」


 昏倒したサエの後姿に大笑いしたルナーダをファーマはグーで殴った。


「笑って居ないで助けなさい!」


「てめえ~主にグーパンしやがって..」


 頬を摩りながらルナーダはサエに近づくと、その芸術的な尻を鑑賞しつつも傍らに倒れる兵士の上着をはぎ取ると被せてやった。


 突然兵士が起き上がる。


「ファーマ!」


「燃えろ!」


 ファーマの白い指に指差された兵士は立ったまま発火すると喉を掻きむしり地面を転がった。


「なあ、ファイア、燃やす呪文はブレイズポンテだったよな?前から思って居たんだが、お前何時も使うたびに呪文の言葉が違わくないか?」


「ぎくっ!取り込んでいる時に話す内容じゃ無いです、却下です。」


 人体発火した兵士から彼方此方の兵士へ火が燃え移り部屋の彼方此方で火の手が上がり始めていた。


「ファーマ、サエを運べ!それと一番偉そうな男もだ。」


「はいっ!」


 ファーマが指差すとサエの体がふわりと浮く。


 同様に毛皮の大男を一人宙に浮かべると一行は部屋から逃げ出した。


 廊下に出ると見張りをしていた少年が驚いた。


「人が宙に浮いてるっ!」


「ドタン、火事だ!いいから逃げ遅れるな。」


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