殺した敵の首を切り髪の毛を掴み天に高く掲げた。皆がひとしきり笑った後皆も同じことをした。
〇
刺激を求めるな。
この世に刺激を求めるな。
他人の痛みを刺激と思うな。
攻撃を刺激と思うな。
腕を使って攻撃するな。
足を使って攻撃するな。
言葉を使って攻撃するな。
機械を通して攻撃するな。
日常と違うことを刺激と思うな。
効率が良い事を美徳と思うな。
国のトップが効率よく物事を進められるなら、その人間は権力を無駄に持っている可能性がある。
周りの人間はどうせ勝手に決めるからと、考えることをしなくなる。
権力者の言うことを首を縦に振るだけの人間が国を支える。
テレビも何も言えなくなり、ネットも規制を受けたら
今後考えなければいけないのは私達になる。
今我々は
文字に流され
嘘を読み解く能力も乏しくなった。
良いと言われていれば賛同し
悪いと言われていれば反対し
不倫をした芸能人を必要以上に袋叩きにし
20万人の兵士が戦争により死んでいる現実を避けて見ようとしない。
報道しない。
皆は今、彼らが会議を開き、速く戦争が終わってくれるのを待っている。
10万人殺されたので、我々も10万人殺した。
民家にミサイルや爆弾を落とされてそこには何もなくなった。
命乞いをしている人間を見るのが好きになって毎回脅して殺した。
銃を突き付けていると相手は全ての命令に服従した。
服を脱げと言えば急いで服を脱ぎ、踊れと言えば踊った。
手をたたいて笑った。手をたたいて笑った。
家族で食事をしていると急に目の前が吹き飛んで子供たちが死んだ。
奥さんも死に私だけが残された。
片腕をなくして病院に向かったが病院側はそれどころではなく止血だけされた。
どうせ死ぬのだろうと思われていた。
私もどうせ死ぬのだろうと思っていた。
まぁもぅ生きる意味もないしいいやと思った。
捕虜になった敵兵同士を戦わせた。
どちらが勝つかお金を賭けた。
足を撃った人間にこっちに来いと命令した。
醜くこちらに向かってくる人間を笑った。
その人間も助かるかもしれないと思って愛想笑いをした。
殺した人間の数を競った。
相手に勝つために民間人も殺した。
殺した敵の首を切り髪の毛を掴み天に高く掲げた。
皆がひとしきり笑った後皆も同じことをした。
大きな穴を掘った。
とても大きな穴を掘った。
そこに死体を入れていたがもう入らなくなった。
皆は今、彼らが会議を開き、速く戦争が終わってくれるのを待っている。
●
私からたくさんの人間が離れていった。
私はたくさんの情報を得ようとした。
だが誰も確信めいたことは言わなかった。
人間が離れるにつれて目の色が濁った醜い笑顔をするものばかりすり寄ってきた。
そして私の周りにはそんな人間ばかりになった。
彼らは私に「あの人があなたを陥れようとしている」と言った。
私は驚き落胆しその人間を監視させた。
彼らは確固たる証拠をつかみ私は信頼していた人間を辞職に追い込んだ。
それにより私は彼らを信用するようになり彼らの言葉に従った。
彼らは言った
「あなたが殺しているのではありません」「皆が皆勝手に殺しあっているのです」
その言葉を聞くと民衆の前でも立っていられた。
彼らが私を慰め私の弱音を彼らが正当化した。
また裏切りを図った者の密告を受けた。
彼らは言った。
「ではまた昔みたいに殺してしまいましょう」
私が躊躇っていると
「あなたは誰も殺していません」
「殺しているのは我々であります」
「あなたは国の上に立つもの」
「あなたはなにもしていません」
それからまた様々なことが簡単に進むようになった。
「ありがとう」
私が彼らに言う。
「いえいえもったいなきお言葉」
私、、私、私は、私、、、、、




