死んだ、死んだ、たくさんの人間が
〇
死んだ、死んだ、たくさんの人間が
皆が皆、誰かに殺された。
殺された人間が殺した人間が死ぬのを待っていた。
そして死ぬと死んだ者同士で取っ組み合いの喧嘩になった。
他の物は掴めないのに深い憎しみにより彼らだけは触れられた。
倒れて、抑え込まれ、罵声を浴びせた。
相手も反撃し、相手を倒し、抑え込み、罵声を浴びせた。
それらは一定のリズムで永遠に繰り返された。
死んだ子供が悲観に暮れて日々を過ごす親を見ている。
涙を流す母親の頭を撫でて泣いている。
「ごめんなさい」「ごめんなさい」
そう言い合いながら子供は優しく母親を力なく、背中から包み込む。
死んだ。死ぬ。この世からいなくなる。
死んで、残る、この世から忘れ去られても、
皆が皆、泣いている。
皆が皆、誰かを憎んでいる。
女は全ての元凶である彼らを恨んだ。
男は目の前の敵だった彼らを恨んだ。
恨んだ。憎んだ。だが、生きている人間は、なんともなかった。
私達は…生きていようが、死んでいようが、どうすることもできない人間には、どうすることもできなかった。
〇
私は間違えた。
私達は間違えた。
国のトップを間違えた。
いや…国のシステムを間違えた。
全ての権力を一人の人間に託してはいけない。
そんな当たり前の事を、気付いても、変えることができなかった。
誰かに服従してはいけなかった。
服従するとそれらはそのままその人間の権力になった。
権力を無駄に与えてはいけなかった。
それらは恐怖の礎となった。
皆平等でなければいけなかった。
それを受け入れられない人間を一人一人殺すべきだった。
殺すまでいかなくても罰を与えるべきだった。
罪を作るべきだった。
刺激が足りない…つまらない…と言われようとも…私達は小さな間違いにより大きくなってしまった物を、どうにかしなければいけなかった。
銃なんて作るべきではなかった。
爆弾なんて作るべきではなかった。
ミサイルなんて作るべきではなかった。
ナイフなんて作るべきではなかった。
人を殺すための物なんて作るべきではなかった。
人を焼き殺す物なんて作るべきではなかった。
核爆弾は広島と長崎に落とされた。
人々は皮膚がただれて水を求めて歩き、川に飛び込みそのまま死んでいった。
人を不幸に陥れる物に探求してはいけない。
大きな武器を持ってはいけない。
小さな武器も持ってはいけない。
見ず知らずの人間を不幸にしてはいけない。
知っている人間も不幸にしてはいけない。
人を多く集めすぎるな。
それにより簡単に混乱が生まれる。
邪道な意見を受け入れてはいけない。
言葉が増えれば簡単に人は流されていく。
人は知らない人間の正論よりも権力者の邪道な言葉を聞き入れる。
●
寝て起きるとたくさんの人間が死んでいた。
昨日から今日にかけての推定死亡者数を教えられた。
そのリストは最初紙にフルネームと年齢性別が書かれていたが今では人数だけになった…。
今この瞬間にもどこかで銃弾が飛び交い爆弾を投げ合いミサイルを撃って家が壊れ物が壊れ人が死ぬ。
人が死ねば誰かが怒り復讐するため銃を持つ。
私が間違えた。
私は間違えた。
こんなことになるとは思わなかった。
もっと少ない犠牲で済むと思った。
攻撃された者たちは攻撃された所から白旗を持って出てくると思っていた。
殴ったからといって殴り返さないと思った。
私はバカだった。
私がバカだった。
だからもうおわらせてほしい。
○
「お前たちは!この爆弾を乗せた戦闘機に搭乗し!敵国の艦隊に突っ込み!息絶えよ!」
「は!」
○
「ハイルヒトラー!」




