ときどき食べたくなる
「聞いてくれよショウ。うちの娘がな~~」
解せぬ。なんだこのフレンドリーさ加減は・・・一国の宰相と一冒険者だぞ?
そりゃ確かに、出会った経緯は僕の方が上位として話をしたけど、なにこの長年の親友感・・・宰相には娘さんがいて、現在十二歳。つまり親子間の年の差があるってぇのに・・・
「聞いてるのか?ショウ!」
「あぁ、すまんすまん、聞いてるって・・・で、なんの話だっけ?」
「・・・ぉぃ・・・」
最近の宰相はとにかく娘さんの話が多い。やれ所作が淑女としてうんたらかんたら。やれ最近ペットを飼いはじめてその世話する姿に母性を感じるとか(十二歳に母性感じてどうするんだお父様・・・)
「だからきいて・・・ん?ショウ?ちょっと聞いていいか?」
「どうした?お父様」
「お前にお父様などと・・・じゃなくてな、お前の後ろに映ってるのって、最近売り出したカップ麺ってやつだよな?」
「そうだぞ?宰相閣下の口にするような大層なモノじゃないけどな?」
先日会長さんのところに遊びに行った時に、待ち時間で暇だったのと空腹だったので、収納庫から出して食べてたんだが、会長さんは弟のギルマスからその話を聞いてたらしく、飛びつくようにせがまれて、食べた結果『売れる!これだけで財を築ける!』と大興奮だったのである程度の数を出してあげたのだ。
「ふむ、宰相閣下のお眼鏡にかなったというわけですか。それで?」
「そ、そそsその青いのはなんだ?まだ赤いのしか売ってるところを見たことがないのだが・・・」
あーなるほど、よくチェックしておられる
「食べてみますか?」
うんうんうんうんうんうん
「そんなに頷くと首がとれてしまいますよ?
みられたのは仕方がないですね、今から行くので、門番に伝達をお願いできますか?」
「前みたいに直接くればいいじゃないか」
この人本当に宰相なのか?
「前回は緊急を要したのであのような侵入を失礼しましたが、今は真っ昼間で、今後のことを考えると、通常の手段でお願いします」
慣れると油断が顔を出す・・・そうなった時に完全に・・・ね?
「家からですのでまぁ十五分くらいで伺えると思いますので、よろしくお願いします。とは言っても、普段の姿では失礼と思うので、面会者の名前は『ショウ・アズマ』でお願いします」
「わかった。『ショウ・アズマ』だな。通達しておく」
特に疑問に思われることなく話が通って良かったが・・・臨機応変だ
◇◆◇
「宰相閣下と面会の約束をしてます。ショウ・アズマと申します。確認と取り次をお願いします」
あれから十五分後、身支度を済ませて向かい、門兵に告げると
「宰相閣下から連絡受けてます。どうぞお入りください。お部屋はお分かりでしょうか?」
「いえ、初めてくるので、どなたか案内していただけますか?」
「わかりました・・・おいそこの・・・粗相の無いよう頼むぞ」
若い騎士を案内役につけてくれた。一応の部屋の位置はわかるし、優秀な案内役が・・・こぉ目の前に浮いてるんだけどね・・・
「こちらになります」
「ありがとう。職務に励んでくれ。それと先程の門兵と同じ階級の兵達と、これでは少ないかもしれないが鋭気を養ってくれ」
小袋を渡し「上の階級のものには宰相閣下を通じて別途渡すから、安心するといい」と、言い残してノックを
「ショウ・アズマです」「入れ」「失礼します」
「誰だ貴様!」
『解除』
「ショウ!なんだ今の姿はいや、変身?どういうことだ!説明しろ!」
矢継ぎ早に捲し立てられた・・・
「説明するので落ち着いてください・・・(説明中)・・・というわけです。
初めてお会いした姿では、面会の約束が通っていても門前払いされるのがオチとして分かりきってましたので。
この姿の時は『ショウ・アズマ』で、ふだんのすがたはただのショウです」
見た目は大事ですよね?
「そ、そうなのか。それで、そのさっきの姿は見た目だけなのか?」
「いえ、実戦でも使用できますし、正確に測ったことはありませんが、まず間違いなく竜種でも龍種でも問題なく倒せます」
竜種は基本的なドラゴンで、ティラノ系と言えばわかりやすいか。
龍種は七つの球を集める物語のような奴だ。
「そこまで圧倒的なのか?申し訳ないがもう一度先程の姿になってみてもらえないだろうか?」
「わかりました『焼結』!これでよろしいですか?」
「その力は帝国に分けてもらうことは・・・」
「申し訳ありません。この力は身内のみで使うと決めておりますゆえ」
「いや、すまなかった。それほどの力、管理を徹底しないと危険だしな」
「本題に入ろうか」
「わかりました・・・『解除』」
「それで、今食べられますか?それと・・「食べる!」・・被せないでくださいよ」
「今日の仕事は午前中で終わっておるのでな、今からショウを我が家に招待するのもいいな・・・よしそうしよう!」
急だなーて、まぁ、ポチに会えるならそれもいいかな
「それではお言葉に甘えて」
◇◆◇
宰相閣下の家は同じ敷地内にあった
「ようこそ我が家へ。娘とメイドと居候しかいないから、ゆっくり寛いでくれ。当然敬語等も必要無いぞ、普段通りに接してくれ」
「失礼します」
「お父様おかえりなさーい!あっ!」
「これ、お客様の前だぞ」
「はしたない姿を申し訳ありませんでした」
・・・(紹介と挨拶中)・・・
「それではお父様とは個人的なお付き合いをなさってるというのですか?」
ここでテンプレでは腐った妄想をする女性が・・・ん?メイドさんの目力が・・・まさか・・・ぁ、口元が・・・アウト~
「それで今日はどのような・・・」
「今日はこちらをお持ちしたのですよ」
まずは赤い奴を順に、特大。大。中。小。
後は同じサイズごとに青いの黄色いのを並べていき、袋に入ったひよこの描かれたアレと、カップに入ったやつを出すと
「どれになさいますか?」
( ゜д゜)
( ゜д゜)
゜)
一人覗いてるね
「メイドさんもご一緒にいかがですか?こう言ったものは大人数で食べるとよりいっそう美味しく感じるものですよ?」
「いえ、わたくしは・・・それに・・」
「ポチも一緒でいいですよ?」
∑(゜Д゜)
Σ(゜д゜lll)
∑(゜Д゜)
「なぜその名前を・・・ご存知なのですか?」
「まさか、ポチ様が仰ってた方というのは・・」
「ショウ。事と次第によっては・・君であろうとも」
なんだろう、三人とも一気にこちらを見る目が変わったというか・・・宰相閣下はすこしだけ殺気が漏れてるんだけど・・・
「ドローンさん?ポチ連れてきてくれるかな?」
∑(゜Д゜)?
∑(゜Д゜)?
∑(゜Д゜)?
僕の背後から姿を現した、炎のように燃えるカラーリングのドローンさんが飛んでいくと、ものの数秒で籠(ポチ入り)を運んできて皆の目の前に置くのだが
「アイシャ~まーだ硬いんか?そんなんじゃ・・ムニャムニャ・・・香織はあいかわらずばかだなー」
「「「「・・・・」」」」
「すみません、ちょっと失礼します・・・ポチ『ハウス』十秒」シュン
「「「!!!」」」
突如としてポチの姿が消えるが、およそ十秒後に再度姿を現した時には、ガタガタと全身を震わせ
「なんで今のを・・・なんでハウスされたんやワイは・・・」
「ポチ?すっごい心配したんだぞ?コッチは」
「は?ショウ!ショウやないか!ワイが・・ワイがどれだけ心配して心細かったか・・・夜も眠れんで食事も喉を通らんかったこのひと月あまり・・・」
「そっか・・・ドローンさん録画はOK?相変わらずいい仕事するね。ありがとう・・・んでポチは・・・『ハウス』一時間」
(´;ω;`)
「お騒がせしました。詳しい説明をしたいのですが、その前に・・・軽く食べましょうか?」
宰相閣下は黄色の大。ナスターシャ様は青の小。メイドさんはカップに入ったひよこのアレを選び、大層喜ばれた
◇◆◇
「ポチーアイタカッタヨー?
ポチーキットアイシャモカオリモアイタガッテルヨー?
ドローンサンガポチノエイゾウオクッテタカラー」
:(;゛゜'ω゜'):<まさか
((((;゜Д゜)))))))<寝言もか
「ナナ様も美味しかったですか?まだ会長にも卸して無いですが、ある程度置いていきますね」
ポチの話を共有する事で仲良くなり、ナナと呼ぶことを許されたのである。
そんな話をしてるとポチが爆弾を投下してきた。
ハウスの仕返しだろうか・・・
「それで、ショウはいつまでその格好なんや?」
「それはどういう事なんですの?ポチさん」
「ハハハ、ポチはお喋りが好きだなぁ・・・ナナ様、それはですね、このような場所に来るのに普段の服装では入れてもらえないから変装してるんですよ。いま解除しますね・・・『解除』・・」
まぁ、変身するにも魔力が必要だから、長時間は無理なんですよ。という設定にしておこうかな。その方が納得させやすいし。
ちょっとした光のエフェクトの後、僕の見た目は十二歳の少年のものとなっていて、それをみたナナ様が
「うわーかわいい!そっちが本当の姿なんですか?でしたら、私の事はナナとお呼びください。様は不要です!」
かわいい・・・か・・・そこの駄犬!腹抱えて笑うな!てかモフモフだよなぁ・・・
「わかりましたナナさ・・・ナナ。それでポチのことで聞きたいんだけど、まさか人型になったことってある?」
((((;゜Д゜)))))))
((((;゜Д゜)))))))
((((;゜Д゜)))))))
察し。今のモフモフ状態で変形したんだね・・・恐怖映像だろうね・・・
「ちょっと中庭をお借りしてもいいですか?」
全員で中庭に移動して、魔法で周囲に遮音等の各種結界を張ると、宰相閣下に驚かれたが、本当に驚くのはこれからだ
「ポチ、その姿のまま変身したそうだね?それがどういうことか理解してる?ましてやこんな小さな子の前で」
あれ?ナナがなんか怖い顔でこっちを睨んでるけど・・・
「いいか?きちんと元の姿をイメージしてから、叫んで」
「ファイナル○ュージョン!」
竜巻の中に三機のおもちゃがつっこんでいって・・・GぉGぃGー
「うん、きちんと毛は取れてるね。ガイ○ー変形も生獅子だと恐怖映像だけど、GぉGぃGー変形だと、スプラッタだからねぇ・・・新幹線が突入する前後とか・・・」
「ヤッタ!やったデェぇぇ!ショウ!見とったか!」
「おめでとう、でも本当に知りたいのはここからなんだ。ポチ?解除してみて」
モッフモフの獅子が座ってました
◇◆◇
「なんでやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ポチはガ○ガー禁止ね」
さてどうするかな・・・このままじゃ完全に戦力外通告で愛玩枠落ちだよな・・・まぁ、僕だけでも過剰戦力だし、アイシャさんが加わればハルマゲドンすら児戯だよね・・・
「どうしたい?ポチ。
僕はポチに任せたいと思うんだ。僕たちのところに戻るのも、このままここに残るのもなんら強制はしない。
ポチの思うようにして構わない」
残酷な言い方だけど
「たとえこの身体がどないでも、ワイはショウと一緒におると決めたんや!」
「わかったよポチの気持ち。でもね?それはナナを悲しませる答えにもなってるんだよ?
だから本当の正解は、まず介抱してくれたことをナナ達に感謝して、別れの挨拶をしてから、僕の方に向き合うべきだったんだよ?
その辺わかってる?ナナかわいそうだな・・・」
「う・・・」
「ショウくん?ポチさんをいじめるのはそれくらいにしたら?」
「バレて~ら。ポチ?僕からいう前にナナちゃんに対して言葉を伝えてたらよかったんだけどね・・・少し前のポチならその辺の紳士的対応できてたはずだけど、ここ暫くのペット枠で色々だらけてたのかな?」
「ワイを試しとったんか?」
もうちょいかな
「ワイは・・・ワイは・・・」
おっと、怒りの炎か?ポチ自身の内側からのエネルギーが体表を覆い包み、徐々に激しい炎となって、白かった体も金色のサラサラの鬣も瞬時に焼き尽くしたかと思うと、今まで通りの鋼鉄の身体へと変貌を遂げた。
「ワイはなぁぁぁ!」
おっと、ナナちゃんの前に移動して防御魔法を展開する。
勿論中庭に被害が出ないよう結界を張るのも忘れない。
宰相閣下は自前で、メイドさんは既に物陰に避難してた。
我を忘れて本来の姿を取り戻したのは賞賛に値するけど、恩人や周囲の被害を考慮できなかったのはハウス案件だな・・・
周囲をチリチリと不可視の熱量の残滓が燻る中、徐々に落ち着きを取り戻しつつあるポチの体は、肉や毛を纏う事なく、鋼鉄のままだ。
「こんなところかな?落とし所は」
宰相閣下がナナちゃんの安否を気遣う中、ポチがトボトボと僕の方に来るから
「ポチ?さっきも言っただろ?先ず向かうのはここじゃないだろ?」
首で方向を示すと、気がついたようで、ナナちゃんたちの方に向かって行った。
「お嬢!助けてくれて介抱してくれてほんまおおきにな!
それでもやっぱワイはショウの所に居りたいねん!せやから・・・せやから、ホンマ堪忍な!」
「ポチ・・・これが今生の別ってわけじゃ無いんだぞ?」
△ △
( ゜д゜)ふぁっつ?
「いや、冒険や狩りには出るけど、最終決戦に赴くようなのはないから、別にここに遊びに来たり、ここに住んで、仮の時に合流するって手も有りだぞ?」
「え?じゃぁ二度とポチさんに会えないわけじゃ無いんですか?」
「ナナと僕もポチも友達でしょ?ちがうの?」
「大歓迎です!」
「ショウ君?ナナはまだあげないからね・・・」
「・・・」
ポチ合流です!★も落ちてこないかなぁ~




