第149話 リッツソリスの戦い その9 変属自在の盾と秘策
上空から降り注ぐ光の柱が消え、アイゼンフォートが生み出した壁を消すと、そこには直径1メートルほどの巨大な魔石が1つ残っていた。
「はあぁ~~!ようやくあのバケモノ狼を倒せたねえぇぇ…」
「これはウルファルクの体内にあったものですかね? こんなに大きなものは初めて見ました」
「それは私もよ。とんでもない価値になりそうだけど、今はそれより…」
ウルファルクの消滅を見届けた皆は、そのほとんどがレストミリアと同じようにその場に座り込んだ。全力攻撃に続いて相当な無茶をしたので、大抵の騎士や冒険者はもう戦えそうにない。
ウルファルクの魔石や彼らを見回しながらアルテミアと話していると、彼女は街の方を見た。
「あちらはまだ戦っているようね…アイゼンフォート様!」
「うむ、わかっておる。ここはワシに任せて、お主らは動ける者を連れて行くがよい。ケルガーは早めに戻って引き続き避難民の護衛じゃ」
「はっ!」
ケルガーが去り、アルテミアが戦える者を集めていると、南の方角から赤3本の狼煙が上がっているのが見え、見習いや新人騎士たちがこちらに向かって駆けてきた。
「ウルファルクとの戦闘中には気づかなかったわね…まさかトイスが襲われたのかしら」
「それにしてはここまで撤退してくるまでが、早過ぎる気がしますけれど…」
アルテミアとエレオノールがこの事態について考えていると、身体強化で汗だくになって走ってきた騎士が、僕たちの前に倒れ込むようにして到着し、息を整えながら途切れ途切れに話し始める。
「ぜぇ…ぜぇ…我々が…はぁ、はぁ、トイスの村にいたところ、黒い、アンデッドのようなモンスターが街道を…はぁ…北上してきたので、迎撃したところ止められず突破を…ゆ、許してしまいました!」
「では狼煙は村や部隊が壊滅したのではなく、こちらに危険を知らせるためのもの、という事かしら?」
「そ、そうです…はぁ、はぁ…モンスターは我々を無視してこちらに向かっており、今も攻撃を受けながらも北上して…」
「あぁ、視えてきましたわ…」
目を閉じたまま遠くを見据えるエレオノールの向く先には、全長5メートルはありそうな黒く細長い体に闇の魔力を纏い、2本の黒い腕が生え、頭と思われる部分には落ちくぼんだ2つの穴と口があり、薄ら赤く光る目を持った奇怪なモンスターがいた。
そしてその奇妙なモンスターは体を引き摺りながら、こちらへと真っ直ぐ突っ込んで来る。
「オオオォォォォッッ!」
『エル・ファイアー!』
複数の亡霊が叫んでいるような、何ともおぞましい声を上げながら向かってくるモンスターに、エレオノールは面倒くさそうに蒼炎を放つ。
するとモンスターは炎に包まれて、やがて僕たちの目の前で動きを止めた。
「さぁ、こんなものの相手をするより、私たちも早くルナメキラの元へ向かわなくては……っ!?」
エレオノールがそう言った途端、焼き尽くされていた物体はドクンと脈動し、その全身から無数の黒い腕を伸ばしてきた。
「…ラさま゛ぁ…メキラさまぁ…ルナメキラさまぁぁァァァァッッッ!」
再び動き始めたそれはルナメキラの名前を連呼しながら、ドバッと一斉に腕を伸ばし、周りにいた人たちを掴んでは魔力を吸い、光属性で防御した者を弾き飛ばしていく。
そしてウルファルクの魔石に触れると、そこに込められた魔力を吸ったのか、一気にその体を巨大化させる。
「あまり好き勝手させるのは好みじゃ無いんだよ!『ホーリー・レイ!』」
「これ以上吸わせるわけにはいきませんわ!
『エリア・プリフィクト!』」
魔石から大人しく魔力を吸われ続けるのは当然危険なので、すかさずガラドエルが熱線魔法で腕を吹き飛ばし、エレオノールが範囲浄化魔法で近付く腕を次々浄化し、接近を阻む。
するとモンスターは魔石を諦めて、再び街の中を目指して進み始めた。
「またあんなものを街に入れるわけにはいかんぞい!『アイアンウォール!』…ぐうっ」
アイゼンフォートが咄嗟に壁を生み出して阻止しようとするが、もともとアマリアの癒やしでも意識を取り戻すのが精一杯だったところに、更にウルファルクを閉じ込めるほどの無理をした体はすでに限界のようで、生み出された壁は小さく、モンスターはそれを乗り越えて更に進む。
「その体で無理するんじゃないよ!アレの相手は私らに任せな!」
「アイゼンフォート様はここで待機し、トイスから来た者をまとめてください。出来れば万が一に備えて、新人から治療を受けておいてくださいね」
ガラドエルとアルテミアがそう言うと、速度を上げて北上するモンスターを、僕たちはなけなしの魔力で身体強化しながら追いかける。
先頭はやはりガラドエルとエレオノールの二人で、僕やアルテミア、アドルピスカとレストミリアはそれにどうにかついて行ってる状態だ。
イリトゥエルは本来客人であることや、すでに魔力の限界を迎えているのと、アイゼンフォートだけを残すのも危険ということで、他の者やトイスからやって来る新人達とともに、その場に残ってもらった。
本人は是が非でも付いてくるつもりだったようだが、ガラドエルに却下されては飲み込むしかなかったようだ。
「それにしてもあのモンスターは一体何なのかしら…さっきは一度止まったのに、ルナメキラの名前を聞いた途端に動き始めたわよね?」
「…レストミリアの眼なら何かわからない?」
「うーん、中身はグチャグチャ、魔力は闇で真っ黒。でもあの姿にはジグなら見覚えがあるんじゃない?」
「…?」
レストミリアの問いに僕は記憶を探る。
「ほら、アドルピスカ殿も借りがあるアイツだよ」
「えっ、まさかそんな有り得ないですよ…ね?」
「アンデッド化してるうえ姿形をあんな風に変えられるなら、可能性はゼロじゃ無いと思うよ?」
「もしかしてフェイドロークのことですか?
というか、あの大洞窟の崩落に巻き込まれて生きてるはずが……あぁ、そういうことですか。なるほど、あれはもうアンデッドですもんね…」
僕たちが答え合わせをしていると、不意にアドルピスカの魔力が高まる。
「…そう…あれが生きていたのなら、洞窟での借りを返さなくちゃ…」
そう言った直後に彼女の姿は消え、黒いモンスター改めフェイドロークの元へと、一筋の蒼白い線が奔る。
一瞬で先頭の二人を抜いたアドルピスカは、気づいたときにはすでにその槍を、フェイドロークの頭部に深々と突き刺していて、それと同時に体勢を崩したフェイドロークはズサーッ!と滑り込むように、ルナメキラと戦う味方の背後へと突っ込んだ。
「なっ…新手か!?…アドルピスカ、一体そこで何をしている!?」
「…ん。敵はアンデッド化した魔族。ウルファルクの魔力を一部吸収…そして、私が倒す!」
振り向いた騎士団長に対して簡潔に答えると、アドルピスカは槍から冷気を送り込んでフェイドロークを頭部から凍りつかせていく。
バキバキと音を立てて氷の花が咲くと、フェイドロークは体を途中から切り離して、そこから離脱する。
味方の足元を黒い蛇のように這ってルナメキラの元へ向かうと、全身ボロボロで取り囲まれていたルナメキラの隣に、真っ黒な人型となって現れる。
「ル、ルナ…メキラ、さま…わたシがじ、カんをかせギま、す…ソのすキ二…お、ニげくださ、イ…」
「…ふふふ。素晴らしい忠誠心ですよフェイドローク。褒めて差し上げます…」
「…時間稼ぎなんてさせない。コイツもお前も私が倒す…」
アドルピスカが槍を構えると、再び魔力が高まっていく。すでに限界まで振り絞ってるはずなのにこれは…。
「ダメよアドルピスカ殿!これ以上は命に関わるわ!」
「…借りは返せるときに…」
アルテミアの制止も聞かずにアドルピスカが飛び出そうとした瞬間、いつの間にか後ろに立っていたエレオノールがその首筋に触れると、アドルピスカは意識を失って倒れた。
「まったくアドルピスカときたら、無茶のしすぎですわよ…。アルテミア、この子を連れて行ってくださいませ」
「は、はい!」
「それと団長、感じ取れる魔力からして、皆さんもほとんどが戦える状態には無いのでしょう?」
「…お前には隠しても無駄か。ルナメキラが想定よりしぶとくてな。確かに一部を除いて、ほとんどの者はこれ以上戦えん…」
「なら皆さんは敵を逃がさぬよう、遠巻きに見ていてくださいませ」
エレオノールはそこまで言うと、それまで閉じていた両眼を開く。
するとそこには初めて会ったときと同じく虹色の瞳があったが、以前と違ってそれぞれの色が揺らめいて水面のように輝いていた。
そして目を開くと同時に魔力が溢れ出し、全身からバチバチと火花が散り始める。
「ここからはこの私が、仲間を襲い、この街を破壊し、民を傷付け…そして何より、可愛いアルテミアとアドルピスカに傷を負わせた愚か者に誅を下しますわ!」
エレオノールはそう言うと手を無造作に振り、自分の周りにある盾をルナメキラとフェイドロークに飛ばす。
正確に言うと、手が霞むほど速く動いたと思った直後には、ルナメキラの腹部に茶色の盾がめり込み、人型のフェイドロークの上半身を白い盾の前面で叩き潰していた。
そして吹き飛ぶルナメキラとの距離を詰めたと思った瞬間、残る二枚の盾がその体を挟み込み、大爆発を引き起こす。
「くっ…あの馬鹿者め!いくら可愛がってる後輩のためとは言え、こんなところで魔力を全解放するつもりか…!
ラジク、お前はミルカ殿たちと共に東へ、
アルテミア、お前はキルウルク殿と共に西へ、
モルド、お前はガラドエル殿と共に南へ、
それぞれ小隊をいくつか連れて散れ!
クロエ、お前は他の治癒術士と共に動けぬ者を連れて下がれ!
他の者はここで待機して、ルナメキラが逃げようとするなら全力で追え!」
「はっ!」
近接戦が得意だけど回復魔法が使えないラジクにはミルカやロウレなどを補佐に付け、
回復と遠距離攻撃が得意なアルテミアには近接戦の得意なキルウルクを、
ルナメキラが最も逃げると思われる南には、その行動をよく知っているモルド神父とズバ抜けた戦闘力のガラドエルを配置していて、
部下だけでなく他の人の事まで、騎士団長はよく把握しているなぁと、僕は内心とても感動した。
そうして騎士団長が指示を出すと、各隊はそれぞれの方向へと散っていき、残された僕はレストミリアと共に戦いの様子を見守っていた。
すでにルナメキラやウルファルクによって破壊されていた建物の瓦礫は、エレオノールの全力戦闘によって更に細かく砕かれていた。
そして砕かれているのは瓦礫だけではなく、ルナメキラを必死に逃がそうとしているフェイドロークや、変化によって触手や鋭い角に変えられているルナメキラの両腕も同じだった。
「くっ…とんでもない化け物がいたものですね…!」
「魔族のあなたに言われる筋合いはございません!」
エレオノールの激しい攻撃を受けながらも、ルナメキラは致命傷だけは上手く免れていて、懸命に辺りを窺いながら逃げ出すチャンスを狙っているようだった。
「よそ見している余裕がありますの?」
青い盾から放たれた水竜がルナメキラを吹っ飛ばすと、今度は黄色に変わった別の盾から雷が降り注ぐ。
「ぐはっ……確かにこのまはまではいけませんねぇ…くっ!…フェイドローク!」
全身から血を流しつつ、大きく距離を取ったルナメキラは部下の名を呼ぶと、液体のようになって地面に広がっていたフェイドロークが、ルナメキラの隣に再び黒い人型の姿で現れる。
「かしコマりマしタ…どうカごぶジで…ルナメキラさま…」
「ええ…。これまでご苦労でした、フェイドローク…」
フェイドロークは最期の言葉を発すると、砂のようにザアッと音を立てて崩れ落ち、ちょうど心臓のあった辺りに黒い光が灯る。
「いけない!あれは魔族の自爆技ですよ!」
「ふふふ、その小僧はよく知っているようですが、アナタは随分と余裕そうですねぇ?」
「報告書で読んだ程度の威力であれば、魔族の自爆技は私にとって脅威とはなりませんもの」
ルナメキラの問いにエレオノールは笑みを浮かべて答えると、ルナメキラは口が裂けたと思えるほどニンマリと笑う。
あのドス黒い笑みには見覚えがある。自分の優位を確信している時のものだ。
「あぁ、あなたはグレイジーナの事を言ってるのですね? ふふふ…ではその余裕がいつまで保つか見て差し上げましょう…」
ルナメキラがそう言うと、隣で黒く光っていた魔力は一気に圧縮されていき、以前見たものと同じ黒真珠……いや、感じ取れる魔力が桁違いだ。
しかも真珠程度だったグレイジーナのものより、フェイドロークのそれは格段に大きい。
ジワジワと大きくなる黒い塊は、すでにバスケットボールほどの大きさにまで膨らんでいた。
「これは…!」
「ようやく驚いていただけましたねぇ。グレイジーナとフェイドロークでは魔力量がそもそも違うのです。
アナタほどの化け物が相手なのに、同じ規模のもので通用すると思うわけが無いでしょう」
「しかし例えコレが爆発したとして、ルナメキラ…あなたも無事では済まないのではなくて?」
「おやおや、ご心配には及びませんよ?あなた方が逃げた後で、しっかりと私も離脱しますからねぇ。それともあなたが命懸けで私をここに留まらせますか?」
「……」
「エレオノール!奴の口車に乗らず、ここは待避しろ!ウルファルクはすでになく、ルナメキラが撤退するならここまでで良い!
たとえ奴を逃がしたとしても、ルナメキラを止められるほどの力を持つ者を失う方が、今後のセントリングにとって損失が大きい!これは団長命令だ!」
「くっ…!」
騎士団長の言葉を聞き、なおも大きさを増す巨大黒真珠を見て、エレオノールは悔しそうな表情を浮かべていたが、やがてルナメキラを包囲していた盾を戻すと、こちらへと引き返し始める。
「よし、各隊にも伝令を出したら、急いで我々も撤退だ!伝令は避難している者や、街の外にいる者たちにも知らせろ!」
団長は次々と黒い狼煙を、最終的には10本近く打ち上げた。どうやら黒骸王の時にミリアさんが乱発して以降、その本数で危険度を知らせるようになったらしい。
黒骸王の時にはたしか5本だったから、10本となると見えた人は全員、一目散に逃げろという事だろうか?
「ふふふ、それで良いのです…精々吹き飛んだ街を再建することです。そしていずれまた…今度は全てを破壊して、全員の死に顔を見に来てあげますからねぇ」
徐々に膨れ上がる黒真珠がその動きを止め、ルナメキラは背中から羽を生やして皆が離れていくのを待っていた。
僕はルナメキラの姿を見ながら、これまであった出来事や、逃がすことよって今後引き起こされることを想像する。
「ジグ、早く逃げないと危ないよ!」
「…ミリアさん、僕は一緒には行けないです。
先に行って…そしてモルド神父やアマリアに、ゴメンと伝えてください…」
「何を馬鹿なことを言ってるのさ!? 気でも狂っ……おいおい少年、まったくなんて顔をしてるんだい?」
「……そんなに表情に出てますかね?」
「あぁ、そうだね。言うなれば血の気は引いて土気色、手足は震えてガッタガタ、同じく震える唇は、真冬の川で泳いだ後みたいに真っ青。
まぁ簡単に言うとこの世の終わりみたいな、そんな顔さ…」
「覚悟は決まってます。でも体にはその覚悟が染みてないみたいで……ははっ…格好悪いなぁ…」
「まだキミは子供だから無理しなくて良いんだよ。さぁ、早く私と一緒に行くよ!」
僕の顔を見ながら努めていつも通りに振る舞うミリアさんには、僕の意見が変わらないことが薄々分かっているようで、口調はいつも通りでも目が真剣そのものだった。
「頼むよジグ。私はキミに死んでほしくないし、教会の人たちやアマリア様はもちろん、モルド殿もラジク殿も、それに私やアルテミアだってキミのことを大事に思っているんだ…」
「それは知ってますよ…。でもねミリアさん、僕はこれ以上不安を抱えて、ルナメキラに怯えながら生活している皆を見てられない。
前回はモルド神父が右腕を失ったうえ毒で死にかけた。
今回は更にたくさんの被害を出したうえ、アマリアを死なせてしまうところだった。
もし次に何かあったら、僕はもう正気でいられるかわからないんです。
奴をこのまま逃がして教会の皆やアマリアが、神父が、師匠が、ミリアさんが、先生が、イリトゥエル様やエルフの里の皆、アドルピスカ様やアイゼンフォート様、訓練で知り合った人たち…知り合った誰かがいつかルナメキラの手にかけられると思うと、ここで奴を逃がすわけにはいかないんです……だから!」
「ジグ!キミはもしかして……」
魔力はすでに尽きている。
これから使うのは自分の命だ。
…死ぬのは怖い。
けれど誰かが死ぬのを見るより何倍もマシだ!
「ごめんなさい。皆にもそう伝えてくだ…ぁ…ぐぅっ…」
命を燃やして魔力を高め、撤退する騎士たちを笑っているルナメキラを見ていた僕は、不意に受けた一撃によってうずくまる。
「ど、どう、して…」
僕が見上げるとそこには、赤々と滾る溶岩の魔力を纏ったモルド神父が立っていた。
「馬鹿に付ける薬は無いと聞くが、まさか我々の教え子がこれほどの馬鹿だとは思わなかった。なぁ、レストミリア殿?」
「モルド殿!いやぁ助かったよ。今の私の魔力じゃ、ジグが命を燃やして魔力に変換したのにはかなわないからね…。
で……あなたのその魔力は、どうやって得ているんだい?」
「ここにも馬鹿が一人いる、ただそれだけのことだ」
「アマリア様が特に大切に思っている二人が、こんな風に同時にバカをやらかすとなると、私は本当に困るんだけどねぇ…」
「すまん。こればかりは俺の…俺だけの誓いだ。たとえアマリアが望まなくとも、やり遂げなくてはならん」
「本当に? アマリア様が一生泣いて過ごすことになってもかい?」
「……」
「彼女の気持ちに…あなたへの想いに気づいているのに、それを言うのかい?」
レストミリアの問いに対して、目を瞑り眉間に深い皺を寄せ、しばらく俯いていたモルド神父だったが、やがて顔を上げるとそこには、更に断固たる決意を固めた男の姿があった。
「すまん。だが俺はこのやり方しか知らんのだ…」
「……わかったよ。最期に伝える言葉はあるかい?」
「心穏やかに暮らし…そして何より、幸せになってほしいと伝えてくれ」
「あなたがそれを言うのは、アマリア様にとって酷なことだね…。
でもいいよ、たしかに受け取った」
「すまん。レストミリア殿には世話になったのに、返せるものが何も無いのが心苦しいな」
「別にいいよ、そのぶんアマリア様を独り占めするからさ…」
「ふっ…アマリアのこと、そして皆のことを頼む。ジグ、お前もな…」
「モルド神父……ぼ、僕は…」
「強くなれ。俺など追い越して、その手で何もかもを守れるように」
その言葉を残して、モルド神父はルナメキラの元へと向かっていった。
黒い輝きは街を染め、終わりはもうすぐ近くまで来ている。
申し訳ございませぬ。前回に比べて長くなったうえ、切りが悪いです…。
どうしても切るところが作れず、このような形になりました(;´Д`A
ウルファルクをどうにか倒したのに、ルナメキラというかフェイドロークの秘策で街が吹き飛ぶ事態になり、ルナメキラを道連れにしようとする馬鹿(←褒め言葉)が二人も出てきて、レストミリアの心労は増すばかりです。
今後の展開ですが迷ってます。本当に迷いますね。基本はハッピーエンドにしたい。
でも、うーん…一応3通りの結末を考えていますが、まだ確定しきれません。
もしご期待に沿えない流れになったらごめんなさい!




