第63話 隠し部屋
1週間以内に更新できました ⋯⋯ 短めですが。
次回はハッスルタイムがあるんでもっと早く更新できると思います!
〜160日目〜
「そんなはずはない!」
無事にクレンたちと落ち合うこともできた俺たちは王城で見聞きしたことを説明した。
バシャルがすでに死んでいたと告げるや否やクレンが開口の言葉を叫んだのだ。
「お兄様、声が大きいです。お静かに」
シャルルが嗜める。
俺たちがいる場所は普通の民家のため声が漏れる可能性があった。
ま、隠し部屋にいるので踏み込まれてもそう簡単に見つからないと思うが。
ちなみに部屋の中には俺、クレン、デューイ、ハクハ、シャルルの5人。
顔がバレていない皐月と卯月は、この家の子供と一緒にいる。
外で遊んでる姿を見るとまだまだ子供だなって微笑ましく思えてしまった。
あ、シャルルの護衛や兵たちは家にこそいないが、その周辺に散らばっているらしい。
決して職務怠慢ではない。
「す、すまん」
クレンが座り直してから、
「シャルル、親父が死んだのは本当なのか?」
再度訊ねてきた。
「残念ながら ⋯⋯ この目で、この手で確かめました」
「 ⋯⋯ そうか。予言は当たらなかったのか」
「予言?」と俺。
「親父が倒れたぐらいに弐の国から預言者がきたんだ」
弐の国の預言者と言えば、まだ会ったことはないが俺と同じ地球出身で預言という加護持ちのはず。
その加護スキルが外れる?
なにやら腑に落ちない。
「クレン、その予言内容を教えてくれないか?」
「ああ、いいぜ。確か──
『今から肆の国に訪れ、兵士に賄賂を渡しなさい。あなたは牢獄に入れられますが、その10日後にやってくる男性が助けてくれます。その男の名は豊月隼人。あなたとバシャル王を再び引き合わせてくれる人物になりましょう』
──だったはずだ」
「引き合わせる?」
バシャル王が亡くなった時点で、それはもう叶わない。
それともなにか他の意味が ⋯⋯
コン、コンコン、コン。
考えにふけようとした矢先、隠し部屋の壁が合図通りに叩かれた。
デューイがすかさず対応。
「なにかありましたか?」
「詳しくはわかりませんが城内がとても慌ただしくなってきていて、私たちを探す兵士たちが急増しています。それにグレンズ陣営がポポス陣営に使者を走らせたことも確認しています。引き続き情報を集めます」
「わかりました。よろしくお願いします」
隠し部屋から気配が遠ざかっていく。
「城でなにか起きたらしいな。シャルル、心当たりはないか?」
「まるで私がなにかしでかしたような口ぶりですけど、なにも関与してま
「あ、多分俺だ」
シャルルを遮って白状する。
「なにをしたんだ?」
「なんていうか ⋯⋯ 」
さすがにバシャル王のご遺体を持ってきちゃったとは言いにくい。と言ってずっと黙ってるわけにもいかないし、覚悟を決めるか。
俺は言葉ではなく行動で答えを示した。
すなわちポケットからバシャル・ラーマーンを取り出したのだ。
『!』
4人とも絶句。
まあそうなるだろうな。
というか、このバシャル王とクレンを会わせたことで予言が達成されたことになるんじゃないんだろうか。
『なんねーよ』
突如として脳裏に響く隼丸の声。
『こいつの場合は魂が抜かれたわけじゃなく、昇天したんだ。その瞬間、この世界からバシャル・ラーマーンという存在が消えた』
ふーん、そういうもんなのか。
じゃ、予言内容の引き合わせてるっていうのは?
『んなもん俺様が知るわけないだろ。それよりも気になっていたことがわかったぜ。聖槍が見当たらないんだ』
聖槍って芝居にもなっていたバシャル王が岩から引き抜いたとかいうやつか。
『正確には俺様と同じで現世の神クフラによって魔窟に封印されていたものだ。と言えばどんなものかわかるだろう?』
⋯⋯ お前と同じ穴のムジナってことか。
『かっかかか、正解だ。あいつとはいいライバルだった』
なんのライバルだったかはあえて聞かないでおくよ。
『聞いてくれても構わんぞ。俺様が抜群のテクニックで女たちの体を夢中にさせれば、あいつはあいつで言葉を使って心を夢中にさせていた』
んなくだらん自慢話よりも、お前と同類ってことは、もちろんそういう系の能力があるんだろ?
『かっかかか。あいつのは俺様よりタチが悪いぜ。なにしろ媚薬──簡単に言うと強制惚れ薬だ』
⋯⋯ 俺からしたらどっちも同じぐらいタチが悪すぎる。
しかし、そんな恐ろしい槍がなくなったとなれば大問題だ。
『だろ。至急探すことをオススメするぜ』
言われなくてもそうするよ!
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シャルルの情報網に、次第に集まってきているクレンの私兵の力を借りて聖槍を捜索すること半日。
あっさりと見つかった。
なにしろ今まで全然もてていなかったハゲていて太っている中年男性の屋敷に、若くて綺麗な女性が毎夜のごとく集まっていると噂が広まっていたのだ。
兵の1人が屋敷を見張ると、わずか数時間の間に数人の女性を取っ替え引っ替えしているのを目撃したとのこと。
あの年齢でお盛んなことだ。
ちなみに屋敷に入っていく女性のほとんどが年の頃20前後。
金髪のショートカット美人ばかりらしい。
それら美人さんたちと事をなしている寝室には槍らしきものもあったと報告を受けた。
これはもう確定だな。
「乗り込もう。みんなはどうする?」
「あたしはパスさせてもらう」とハクハ。
「縁を切ったと言えども実の父だ。快楽に狂い切った父の◯◯◯◯シーンなど見たくもない、くくく」
そう──聖槍を持っていると思われる人物は何を隠そうダマラカス伯爵だったのだ!
「俺も遠慮しとく。一応義父にあたるからな」とクレン。
「クレン様が行かないなら私も残ります」
「デューイも来ないとなると ⋯⋯ 」
全員の視線がシャルルに集まる。
「な、なぜ私を見るんです? 嫌ですよ私だって。ダマラカス伯爵は元々会うたびに私の体を舐め回すように見てきて気持ち悪いったら ⋯⋯ 思い出しただけで寒気がします! 私は絶対に行きませんよ! ハヤ1人で行けばいいじゃないですか。女性の姿をしているんですから、今なら簡単に潜り込めることでしょう」
「まあ、確かに」
それに聖槍の媚薬効果にあたってしまうと面倒なことになるだろうし、ここは1人で行くべきか。




