第58話 伍の国
すみません!
風邪をこじらせて寝込んでます。
土曜に更新予定です!
〜151日目〜
伍の国は絶対的覇者バシャル・ラーマーンを国王にし、大陸一統制のとれた国である。
その絶対的覇者が倒れたいま、後継者争いで国は乱れていた。
長兄グレンズ・ラーマーン。
クレンの兄は重臣たちを手中に収め、我こそが次の国王だとばかりに王城で権力を振るっている。
それを良しとしないのが、クレンの妹にして長女シャルル・ラーマーン。
グレンズに反対する勢力をまとめ上げ、王城にて抵抗中。
そしてもう1人。
バシャルの弟でクレンの叔父にあたるポポス・ラーマーン。
こちらは地方の貴族たちを集め、現在王城に進行中であった。
そんな中を俺たち一行はクレンに連れられ、肆と伍の国境付近にある小さな町を訪れていた。
「じゃ、マリーは戻るね」
普通なら5日はかかるであろう行程を瞬きするほどの時間に短縮してくれたマリーが肆の国に帰っていった。
なにやら変な爺さんに見初められ、肆の国で魔法研究所を建立することになったらしい。
パパは年の差結婚は認めないからな!
そう言うとマリーは笑って、
「マリーはパパと結婚するから大丈夫!」
思わず顔がにやけてしまった。
横にいた母親であるマニエルが嫉妬するほどに。
そのマニエルだが3000人の獣人を家に連れ帰っている最中だ。
桜雪とさくらも病み上がりのため、蛇神は出産のため同行している。
なので現在俺の側にいるのは睦月親子だけ。
白虎やホークファルコン兄弟にはマーキュリーを託した。家に戻れば面倒を見てくれる母親たちがたくさんいることだし。
俺も早く家に帰りたい。
そのためにもさっさとクレンの要件を終わらせようっと。
睦月たちを宿屋に残し、呼び出された小さな酒場の扉を開ける。
「マスター、もう一杯!」
「クレン様、飲み過ぎですよ」
カウンターですでに酔っ払い化してるクレンを発見。たしなめているのはデューイだ。
ジョイはまだ本調子ではないので肆の国に置いてきていた。
「なあマスター。俺が誰かわかるか? 俺の名はクレンズ・ラーマーン。こう見えて伍の国の第二王子だ。おっと、呼ぶときはクレンと呼んでくれ。ズをつけられると兄貴と一緒くたにされてる気がして嫌なんだ。知ってた?
そんなに有名な話なのか。ま、隠してるわけじゃないからいいけどな。話は変わるが、俺はさっきまで肆の国にいた。信じれるか? 本当についさっきまで肆の国の王都ダラにいたんだぜ。馬を休まず走らせたって丸5日はかかる行程だ。これだから魔法使いは恐ろしい」
なにやら語り出したぞ。
内容は肆の国での武勇伝か。
しかし、クレン。
それはマスターじゃなくて、狸の置物だ。
まあ、誰も酔っ払いに付き合いたくないからいいか。
「横、失礼。マスター、あいつと同じのを」
「隼人様 ⋯⋯ すみません。クレン様があんな感じになってしまって」
「たまには酔っ払いときもあるもんだよ。それで状況はどんな感じなんだ?」
「正直芳しくありません。クレン様が酔っ払いたくなるほどに」
話を聞くと、クレンが聖女を求めて肆の国に行っている間に彼を支持していた貴族たちをシャルルに取り込まれたらしい。
さらにクレンの私財や領土はポポスが保護という名目で接収したため、残されたのはジョイとデューイと言った直属の300名のみ。
「なによりもクレン様の腹心とも言えるダラマカス伯爵がグレンズ様に寝返ったのが痛かったです」
また知らない人の名前が出てきた。
俺の頭はそろそろ容量オーバーになりそうなんですけど ⋯⋯
「その人が寝返ったことでどうなったんだ? あ、お代わりで」
デューイは近づき小さな声で、
「クレン様が国王様を毒殺しようとした犯人だと嘘の証言をさせたんです。腹心からの内部告発と言うこともあり、周囲は信じ切っています。おかげでクレン様は指名手配犯ですよ」
「のわりには、この町に入っても騒ぎにならなかったな」
「広まってるのは王都周辺や大きな町だけのようです」
「なるほど。ま、なんであれ俺の仕事は国王の体から毒を除去すること。それに変わりはないんだろ?」
仕草でお代わりを指示。
この酒、美味い。
「もちろんです。バシャル様さえ回復すれば内乱も終わりを告げますし、クレン様への誤解もとけましょう。ただ問題はそこまでどうやって行くか、ですね」
いつの間にか寝ていたクレンを同時に見る。
「大きな町は避けるとしても、王都に入るためには必ず門番を通さなければなりません。変装でもしてくれればいいんですが、
なぜ俺が顔を隠す必要があるんだ。正義は我にあり。堂々と行くぞ!
そう言って聞かないんですよ、この人」
「面倒臭い奴だな。眠りこけてるうちにやってしまえば? もう一杯お願い」
「怒られますよ」
苦笑いするデューイ。
「それに起きたら変装解いちゃいますし」
「それもそ⋯⋯ 」
ふとフラヴィオの顔が浮かんだ。
「なら、いっそのこと女にしてしまうか」
「え?」
「よし決めた。そうしよう!」
「あの、隼人様。なにをなさるつもりで」
「いいからいいから。俺に任せておけって」
「まさか酔っ払ってません? そもそもお二人はいったい何を飲んで ⋯⋯ カピリオの原酒? アルコール度45℃こえるやつじゃないですか! あぁ、隼人様ストップストップ」
デューイの制止を振り切って、俺はクレンに改編のスキルを使った。
「ついでに──」
「なんでこっちに来るんですか!? 待ってください! 僕はいいですから! 本当にいいですから!!」
〜152日目〜
「な、な、ななななんじゃこらぁ!」
宿屋中に響き渡るほどの叫び声で目が覚めた。
外を見るとまだ若干暗い。
明け方といったところか。
今の声はなんだろうか?
「──パパ」
腕の中で寝ていた卯月が眠たそうな目を開けた。
「ごめんごめん。起こしちゃったか。もう少し寝てていいよ」
「パパは?」
「俺も寝る」
昨日は飲み過ぎた。
3杯目あたりからの記憶がない。
頭も痛いしもう一眠りしよう。
んで昼頃。
クレンたちとの合流場所にいってびっくり。
なぜならクレンとデューイの2人が女装ではなく、本物の女性になっていたからだ。
それだけじゃない。
クレンの私兵300名全てが女性化していた。




