第40話 ゴブリンくんが行く 〜その5〜
睦月「最近、むーの出番がまったくないニャ」
如月「ママが1番最初のヒロインだったのにね」
弥生「やっぱり色気が足りないんだよー」
皐月「ママに必要なのはチラリズムだと思う!」
卯月「ここにセーラー服があるんだけど着てみたら?」
睦月「なぜあるのか不思議にゃけど、着てみるにゃ!」
子供たちで囲む。
卯月「ママ、ママ。下着もあるけどつける?」
皐月「だから、なぜそんなの持ってるんだ?」
卯月「ある人の部屋にこういうのいっぱいあったよ」
皐月「ある人って誰だよ?」
卯月「コショコショコショ」
皐月「あの人が? それは意外だったな」
卯月「あとはバニーガールとか黒のガーターベルトとかもあったよ」
皐月「パパが帰ってきたら悩殺するつもりだな。これはママも負けてられないな!」
着替える睦月。
弥生「ママっておっぱい大きいね」
如月「柔らかいし〜」
睦月「ちょ、触っちゃだめニャ」
弥生「あたしも大きくなるかな?」
如月「揉んだら大きくなるらしいよ!」
弥生「ほんとに? 揉んで揉んで!」
睦月「って、むーのおっぱいを揉むんじゃないニャ〜!」
我はゴブリン。
⋯⋯ ではなかった。
我はオーガ。
レッドベアーことベアベアを仲間にし、ノリにのっているモンスターである。
配下も増えた。
進化こそまだしていないが、18種21体ものモンスターが我の下に集っている。
今日もまた1匹やってきた。
イエローフォックス。
黄色い狐だ。
狐は元々黄色い?
そんなこと言われても、そういう種なのだから仕方なかろう。
さて、こやつにも名をやらねばなるまい。
オックスだ。
礼はよい。
貴様も今より我が家族だ。
「ゴブ様〜!」
ワニーが我を呼んでいる。
しかし、オーガになった今もゴブ様と呼ばせていいものなのか。
ならばオーガ様?
いやいやあり得ん。
これもみな人間の父が名をつけてくれんのが悪いのだ。
⋯⋯ こうなったら自らつけるか。
うむ、それも1つの手だな。
そうと決めれば格好いい名前を考えねば
「ゴブ様ってば! 聞いてますか?」
おっと、思考に夢中になりワニーのことを忘れておった。
「なんだ?」
「だから、さっきからゴブ様に会いたいというモンスターが来てますよ」
今日2匹目の配下希望か?
人気者には休む暇もないのだな。
嬉しい悲鳴だ。
「通せ」
現れたのは青い蛇。
ブルーナーガだ。
閃いた!
「貴様はルーガだ」
蛇が体ごと横に振る。
拒否られた。
気に入らなかったか。
「ではブルガだ!」
これまた拒否。
「ブルブル!」
拒否。
「ブルーガ!」
拒
「ええい! では、どんな名がいいと言うんだ!」
「シャハジャ」
蛇は普通に喋った。
スキルの言語を持ってるらしい。
「シャハジャ、か。我の趣味ではないがそれがよいと言うなら認めよう。貴様はこれよりシャハジャと名乗るがよい」
「モトヨリ、シャハジャ」
元より?
それはつまりすでに主人持ちということを意味する。
「チュウコク。ケンゾク、モドス」
ケンゾク?
「眷属のことですよゴブ様。同族や配下の者のことです」
なるほど。
ピンクナーガのことを言ってるのだな。
「断る!」
「 ⋯⋯ チカラズク」
ブルーナーガが牙を剥いてきた。
やる気なら相手をしよう。
新エクスカリバーこと角に手を伸ばす。
睨み合う。
一触即発の空気が場を支配する中、
「やめなさい」
静かな声に制される。
いつしか我とブルーナーガの間に1人の女が立っていた。
いつ来た?
いや、いつからいた?
人間なのか?
それともモンスターなのか?
なにもわからない。
「貴様は誰だ?」
「蛇神」
名乗られた瞬間、汗が滝のように噴き出た。
こいつはいかん!
今まで相対してきた誰よりも危険だ。
「みな散れ!」
我の号令とともに配下たちが一目散に散っていく。
我だけは逃げん。
配下が少しでも遠くに逃げられるよう時間を稼ぐ。
そう考えておるのに、
「ゴブ様」
「命令違反は重大な罪だぞ」
「ワニーはいつでもゴブ様のお側に」
見上げた忠誠心だ。
貴様は必ず我が守ってみせよう。
ワニーを背中に隠し、今度こそ新エクスカリバーを抜いた。
「え?」
蛇神と名乗った少女の目が大きく見開かれる。
「冗談でしょ? 自分の角を引き抜くおーががいるなんて信じられない」
驚くのは早いぞ。
スキル再生を使って、頭に空いた穴から新しい角を生やす。
それも抜くと、
ジャジャーン!
二刀流の完成だ。
「──ぷっ。あは、あはははは」
笑われた。
しかも腹を抱えての大笑い。
なぜだ?
「笑えるわ。あなた面白いわね。決めた。あなた、あたしの配下に加わりなさい」
「我は王。誰の下にもつかん」
「コトワル。ユルサナイ」
ブルーナーガが殺気を撒き散らしてくる。
「やめなさい」
蛇神が窘めた。
「あなた、お名前は?」
「まだな
「ゴブ様です!」
ワニーが意気揚々と答えた。
「この方はワニーの恩人! 将来モンスターの王となる偉大なお方、ゴブ様です」
ゴブ様を広めるではない!
「ゴブ様ね」
「いや、ちが
「ゴブ様ね」
「ワニーが勝手に言っ
「ゴブ様ね」
「 ⋯⋯ もうそれでよい。なんだ?」
「返事をしたわね。スキル蛇喰い」
蛇神が投げキッスをしてきた。
我に惚れたのか?
すまんが年増は好みではないぞ。
って、スキルだと!?
警戒する。
だが、なにも起こらない。
「 ⋯⋯ 偽名を使うだなんて、用心深いオーガね」
我はさっきから否定しようとしていたではないか!
「だったら、その子をもらうわ。ワニーと言ったわね」
「ゴブ様につけてもらった大事な名前を気安く呼ばないでください!」
「返事したわね。スキル蛇喰い」
再びの投げキッス。
ただし、今度は小さな半透明な蛇が飛んできた。
咄嗟にワニーを庇う。
庇ったはずなのに、我の体をすり抜け半透明の蛇はワニーへと吸い込まれていった。
「あら、大したスキルは持ってないのね。じゃ、一気に食べちゃいましょうか」
「うぐっ!」
ワニー!
急に喉を押さえながら苦しみだした。
「貴様、なにをした!?」
「うふふふ」
女は光悦の笑みを浮かべるのみで答えない。
くそ!
「ワニー、大丈夫か?」
虚ろな目。
けれども我を心配させまいと無理やりに笑おうとする。
余計に痛々しい。
「おいで、あたしの子供」
「あが、げほ、うぐぐ」
苦しみが増し、その口から先ほど女から放たれた半透明の蛇が出てくる。
同時にワニーが意識を失った。
「ワニー! ワニー!」
呼びかけるものの返事はない。
「貴様!」
蛇神を名乗る女を睨みつける。
「その子の魂はあたしが預かったわ。返してほしければ、あたしの配下になりなさい」
「誰が貴様などに!」
「なら、その子は一生そのままよ」
くっ!
唇を噛みしめる。
我の腕の中でワニーはぐったりとしている。
呼吸は感じられるが起きる気配はない。
「考える時間は与えるわ。よーく考えなさい。魔法『転移』」
蛇神とワニーの体が白く光る。
次の瞬間、我とワニーは見知らぬ場所にいた。
ここはどこだ?
いや、どこであろうと構わん。
それよりもワニーだ。
「目を覚ませ、覚ましてくれ!」
魂とはなんだ?
そんな難しいことを言われても我にわからん!
傷ついたなら回復させればいいのではないのか!?
「魔法『回復』」
MP尽きるまでかけてやる。
だから、起きてくれワニー!
健闘むなしくワニーは目を開けなかった。
代わりに我の前に1人の人間が立っていた。
我はこの男を知っている。
以前命を救ってもらった心優しき人間だ。
自然と涙が溢れてくる。
口が勝手に動く。
「ワニーが目を覚まさん」
男の手が我の肩に置かれる。
暖かい手。
「お願いだ」
なぜだろうか?
この男の前では素直になれる。
「助けてください」
ブックマーク75件ありがとうございます!
ますますやる気が出ました。
これからも頑張ります。




