第41話 邂逅
黄虎「ママー! ママ!」
ラミー「どうしたんです?」
黄虎「抱っこ!」
ラミー「もう黄虎くんは甘えたさんですね」
白虎「黄虎ばっかずるい! 僕も抱っこ!」
ラミー「白虎くんはもうお兄ちゃんなんだから我慢しなさい」
白虎「やーだー! 僕も抱っこ抱っこ!」
黄虎「お兄ちゃんは我慢しなちゃい」
白虎「うぅぅ」
ラミー「またすぐ泣く。困ったお兄ちゃんですね」
白虎「えーん。ママの意地悪! パパ、早く帰ってきてよー」
〜142日目〜
隼丸が言うには目の前にいるのは人種モンスターのオーガらしい。
本来ならば残虐非道で仲間意識もない凶暴者とのことだが、こいつは泣いていた。
「ワニーが目を覚まさん」
この女の子のことだろう。
オーガにとって大事な存在なのがすごく伝わってくる。
おもわず肩に手を置いていた。
オーガが真っ直ぐに見てくる。
真っ赤な瞳。
どこかで見たことがある目だ。
「お願いだ」
思い出した。
あのときのゴブリンがこんな目をしていたんだ。
「助けてください」
オーガは涙ながらに頭を下げる。
なぜだろうか?
こいつを見ていると胸が締め付けられる。
自分でも知らず知らずのうちに抱き締めていた。
「任せろ」
力強く宣言する。
「俺がなんとかしてやる!」
そう言うとオーガは堰を切ったように泣いた。
体格は俺と同じぐらいなのに、泣き顔や仕草は小さな子供のようだ。
「とりあえずここを出よう」
女の子をポケットに避難させようとしたが、これはオーガが猛反対。
結局オーガが背負うことになった。
落とさないように縄でしっかり縛っておく。
「行くぞ」
オーガを連れ立って通路に戻る。
「こっちだ」
警戒しながら進んでいく。
長い通路の先に見えたのは開けた場所。
そこにいたのは数え切れないほどのエルフ。
そのうちの1人と目が合った。
「脱走者発見」
その声を合図にエルフ全員が振り向く。
「脱走者は排除」
『脱走者は排除』
まるで鍛え上げられた軍隊かのように足並みを揃え、
『魔法『火』』
一斉に攻撃を開始してきた。
「創生魔法『バリア』」
イメージは光りの壁。
俺の拙い魔力操作でも、1番弱い魔法なら十分に防げるはず ⋯⋯ だった。
けれども、この数は脅威だ。
徐々に押され出し、バリアにもヒビが入っていく。
そこへさらなる追い討ちが。
「第2射撃て!」
『魔法『火』』
だめだ。
耐え切れない!
「創生魔法『バリア』」
もう一枚光りの壁を作ってから、
「創生魔法『スモーク』」
目くらましの意味で煙幕も生み出す。
「こっちだ」
オーガの手を取って近くの部屋に入り込む。
扉は切って捨て、代わりに創生魔法で侵入を阻む壁を作っておく。
部屋の中は転移した部屋と同じ作りだった。フェアリースと同じでエルフの1人が意識なく横たわっている。
「なんだったのだ、今のは。エルフは蛇神の味方なのか?」
驚き半分憤り半分といった感じのオーガ。
その気持ちはわかる。
蛇神にならともかく助けようとしているエルフに迎撃されるいわれがない。
それともエルフは元々蛇神と共謀していて、俺を嵌めようとしていたのか?
『違うな』
なにか感じたのか隼丸?
『詳しくはわかんねえけど、あいつらの異常さはわかったぜ』
どういうことだ?
『あのエルフ全員、魂が感じられねえんだよ。抜け殻なんだ。それによ、あいつらからは同じ魔力の流れしか感じなかった』
同じ魔力?
意味がわからない。
『俺様だってわかんねえよ。ただ ⋯⋯ あいつらは個々であっても全員で1人なんだ』
隼丸の見解をこのまま聞きたかったものの、
「人間!」
オーガの声によって遮られる。
「あのエルフが動き出したぞ!」
あのエルフ?
まさか!
倒れていたエルフがいたところに目をやる。
いつの間にか立ち上がっていた。
「脱走者発見」
声を発する。
「脱走者は排除する」
右手をこちらに向けられた。
魔法か!?
使わせない!
間合いを詰め、隼丸の柄で鳩尾を打つ。
全力は危ないのできっちり手加減して。
エルフの体がくの字に曲がり、前のめりに倒れた。
よし。
『じゃねえ!』
え?
「魔法『火』」
倒れたままのエルフが魔法を放つ。
至近距離からの一撃に避けることができなかった。
火に包まれる。
「くそ! 創生魔法『ウオーター』」
水をイメージ。
火を消す。
同時にエルフと距離をとった。
「大丈夫か人間?」
「熱かっただけでダメージはない」
高い魔防のおかげで傷1つついていない。
HPもほんのちょっぴり減っただけ。
そんなことよりも目の前のエルフだ。
手加減し過ぎたか?
『問題はそこじゃねえ。こいつ、最初から意識なんかねえんだよ』
なにかわかったのか?
『ああ。こいつからもエルフ集団と同じ魔力の流れを感じた。その流れを辿っていったら、1人の存在にぶち当たったぜ』
⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ ?
『頭悪いな。いいか。察しの悪い相棒にもわかりやすく言うと、操り人形だな。魂が抜けたエルフたちをスキルで動かしてる奴がいるんだよ』
そういうことか!
なら、そいつを倒せば ⋯⋯
『エルフたちは動きを止めるだろうな。けどできない』
なんでだよ?
『そいつはここにおらず、遠く離れた場所にいるからだ』
じゃ、どうするんだよ?
「人間!」
また魔法か?
そういう呼びかけかと思ったが、実際違ったようだ。
オーガは目の前のエルフではなく──俺を見ていた?
「手が!」
手?
オーガの視線を追った先は俺の下半身。
「な、ななな!」
○次元ポケットから手が出ていた。
脳裏に浮かんだには某ホラー映画。
きっと来る〜きっと来る〜。
ポケットからフェアリースが這い出してくる。
刹那、魔法で作った壁が破られた。
エルフ集団も部屋に乱入。
やべ!
絶体絶命の危機じゃん。
どうにかしてくれ、隼丸!
『困ったときの俺様頼りか。なにしてもいいのか?』
殺さないならなんでもいい!
『かっかかか。その言葉、後悔するなよ。俺様を床に突き立てろ!』
言われるがまま刀を刺す。
『催淫効果発動!』
意識がないのに催淫が効くのか?
『エッチな気分にはなんねえだろうけど、体は正直になるぜ』
どうい、う ⋯⋯ ああ、見て納得だ。
桜雪やマニエルのときと違ってエルフたちは催淫をくらっても表情1つ変えていない。
ただ無表情のまま下半身がモゾモゾ。
口からも涎が垂れてますよお嬢様方。
俺には効かない見えない催淫効果が広がっていく。って、オーガは大丈夫なのか?
「なぜこいつらは急にお漏らしをしたんだ?」
あ、大丈夫そうだ。
モンスターには効かないのかな?
『んなわけねえだろ! 俺様の催淫が効かないのは絶倫の相棒だけだぜ』
絶倫言うな!
けど実際効いてないっぽいぞ。
『く ⋯⋯ こうなったら意地でもオーガを発情させてやる。催淫効果全開だ!』
隼丸が張り切る。
相手間違えてませんか?
あ、エルフたちがとうとう立ってられなくなった。
何人かは無表情のままビクン! ビクン! てしてる。
訂正。
何人かどころじゃなかった。
次々と陸に上がった魚のようになっていく。
そんな中──
「んお! 背中が冷たいと思ったらワニーも漏らしてるではないか。集団お漏らし事件だなこれは」
オーガはいたって普通。
『そ、そんなバカな』
隼丸がめっちゃ落ち込んでる。
そういう日もあるさ。
今日は疲れてるだけだって。
また日を改めよう。
『 ありがとう。相棒の優しさに救われるぜ』
いえいえ。
ところで、このあとどうすればいいんだ?
なんかみんなビクンビクンしながらもジリジリと寄ってきてるんだけど ⋯⋯
『こんな状態になっても相棒を排除しようとしてるのか。それとも相棒を貪り尽くそうとしてるのか。どっちにしろ足腰立たなくなるまで相手してやればいいさ』
⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ へ?
聞き間違いかな?
この人数相手にハッスルしろって聞こえたんだけど。
『そう言ったんだよ。なんでもいいって言ったのは相棒だぜ。オーガもいるから2人で分けりゃ楽勝だろ。ファイト!』
簡単に言うんじゃねえ!
いったい何人いると思って──誰ださわさわしてるの!
待て、脱がすな。
触るな舐めるな!
『かっかかか。どうやら本能が勝ったみたいだな。楽しめ、相棒』
楽しめげふっ!
げげげ。
数人がかりでタックルされて押し倒れてしまった!?
「や、やめろ! 我になにをするのあああああああああああああああああ!」
先にオーガが襲われた。
俺の方も時間の問題だ。
『グッドラック、相棒』
隼丸のくそったれが!
多くのエルフが俺の子供を宿しました。
ステータス更新しようとしたら間違って上書きしてしまいました ⋯⋯ 。
ステータス少し遅れます。




