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異世界子作り日記 〜知らぬ間に世界征服?〜  作者: ずんぺー
第ニ章 強引に諸国漫遊
41/69

第38話 新しい町

新シリーズ突入です。

〜138日目〜


3日間かけて俺とカブリラは壱と(ヨン)を繋ぐ国境橋近くにある小さな町「サハラテ」に移動していた。


本当は真っ直ぐ(ロク)の国に戻りたかったんだけど、(ヨン)の国に桜雪親子がいるとわかったので合流しようということになったのだ。


サハラテはさほど大きな町ではないので、1、2時間ほどで見て回ることができた。


ベズエラと違って、ここは農業が盛んでところどころで畑を耕している人を見かけた。


「マスター、もう一杯」


唯一の酒場。

度が強いだけのあまり美味しくないお酒をお代わり。


口をつけようとしたとき、


カンカンカンカン!


なにか音が聞こえてきた。


「マスター、あれは?」


「冒険者たちが帰ってきたんです」


そうそう。

大事なことを忘れていた。


ここサハラテには冒険者ギルドというものがあるんだった。


モンスターが増えたことで1番得をしているのは彼らかもしれない。


そういえばつい最近、1人の幼女が大物のレッドベアーをあと少しのところで逃したらしい。という話を聞いた。


さくらの顔がよぎった。


まさかと思うけど、合流したら聞いてみよう。


「今回の戦利品はなんでしょうね。ピンクラビットがあるんなら毛皮が欲しいところなんですけど ⋯⋯ お客さんも見に行きませんか?」


マスターがウズウズしている。


なるほど。

客の俺がここにいると見に行けないってことか。


まっずいお酒を一口で飲み干し、


「お釣りはいらないよ」


マスターと連れ立って外に出る。


すでに人だかりができていた。


「ああ! 遅れた」


マスターが人だかりの中に消えていく。


俺は ⋯⋯ カブリラを発見。


近づく。


「倒したモンスターなんか持ってきてどうするんだ?」


「聞いた話では毛は服飾に、牙や爪は武器に、肉は家畜の餌になるらしいですよ」


ふーん、と適当に相槌。


「隼人さんもやってみたらどうです? すぐにS級になれますよ」


「めんどいからパス。先に宿屋戻っとくよ」


いい感じに酔いが回ってきた。


硬いベッドでもぐっすり寝れそうだ。


〜139日目〜


昼まで寝てた。


カブリラはすでに起きていてどこかに行ったようだ。


外に出た。


「おばちゃん、これ1つ」


金貨を渡してりんごに似た赤い果物をもらう。


味はいちごだった。


「今日はどうやって時間潰すかな」


やることがないって本当に暇だ。


「 ⋯⋯ 冒険者ギルドにでも行ってみるか」


なにかしら暇つぶしになるだろう。


冒険者ギルドの建物を探す。


どこだ?


果物屋のおばちゃんに聞く。


酒場の二階部分?


それは気付かなかった。


まずは酒場に入る。


「よお、兄ちゃん。今日も飲むかい?」


「あとで来るよ」


二階に上がる。


昨日帰ってきたという冒険者4人組が円卓のテーブルに座っており、奥にフードをかぶった怪しい人が1人、カウンター内に1人。

計6人の人がいた。


「冒険者ギルドにようこそ」


カウンター内にいた女性が声をかけてくれた。


「冒険者登録ならこちらに。冒険者依頼ならあちらに。冒険者ならあそこのボードに依頼が張ってあります」


「お構いなく。冒険者ギルドって見たことがなかったんで、ちょっと入ってみたくて」


「どこの田舎者だよ!」

『ぎゃはははは!』


4人組に笑われた。


「ちょっとギランさんたち! 絡まないであげてください。みなさん飲み過ぎじゃないですか?」


「いいじゃねえかよ。昨日までは酒どころじゃなかったんだしよ」

「モンスターを倒すのは本当に大変なんだぜ」

「神経はまいるし、誰かは寝ずに見張りに立たないといけないし」

「帰ってきたときぐらい浴びるだけ飲むぜ!」

『かんぱーい!』


完全に酔っ払いだ。


無視してボードに近づく。


どんな依頼があるんだろう。


討伐系が多かった。

中にはモンスターを指定して狩ってきてくださいってのもあった。

あとは食料用の獣をとってきてほしいとかかな。


これといってたいしたものはないな。


一杯引っ掛けて帰るか。


一階に降りるため階段に向かおうとしたら、


「少しいいか?」


フードをかぶった怪しい人に腕を掴まれた。


声から女性だとわかる。


「話がしたい」


暇だし、付き合おう。


「ここで?」


「いや、誰にも聞かれたない。魔法『転移』」


冒険者ギルドから一瞬で森の中へと移動させられた。


創生魔法以外でも転移ってできるもんなんだな。


「ここはどこだ?」


「我らが里だ」


言って女性はフードをとる。


真っ先に目に入ったのは細長い耳。


こっちの世界に来て初めて見た。

エルフだ!


美しいとしか言いようがない顔立ち。

モデルのキュッと締まったウエスト。

胸は残念さんだけど ⋯⋯


「長老の家に来てほしい」


案内されたのはツリーハウス。


中にいたのは、これまた美しいエルフ。


「ようこそいらっしゃいました。私はこの里で長老を務めますマーギュラリーと申します」


「申し遅れたが、私はマーギュラリー様に仕える戦士クリュソだ」


名乗られたので名乗り返そうとしたけど、


「豊月隼人様ですか」


「なんでわかるんですか?」


「失礼ながら鑑定させてもらいました」


おいおい。

加護(チート)持ちかよ。


って、鑑定?

観察じゃないのか。


「鑑定とは?」


「ステータスを覗くことができるスキルです。ただ称号や所持スキルは見ることができません」


観察の劣化版っぽいな。


「クリュソが連れてきただけあって、高いステータスをお持ちなんですね」


「まあそれなりに」


「御謙遜を」


「いえいえ本当の話をですよ」


上には上がいることは知ってるし。

桜雪とかマニエルとか。


「それで俺をここに連れてきた理由をそろそろ聞かせてくれないかな?」


長老マーギュラリーが語った内容はこうだ。


ここ数年、エルフの若者が次々とスキルを失っていき、最終的に姿まで消してしまうという摩訶不思議なことが起きている。

原因は不明。

共通点はある年に生まれた者ばかり。

その年になにがあったのか調べているうちに、これは蛇神様の呪いではないかという結論に至った。


「蛇神?」


「子宝を司る神の1人と言われています」


そういえば日本でも蛇といえば子宝や安産の守り神って言われたはず。


「その神様にどうして呪いなんかかけられたわけ?」


「お恥ずかしいことなんですが、昔ある日を境に子供がまったくできなくなったんです。そこで蛇神様をこの地に招き、子宝祈願を行なったんですが ⋯⋯ 」


尻すぼみの声が小さくなっていく。


「私たちは誰も知らなかったんです。蛇神様が邪神だとは」


邪神ときたか。


「それで呪われたと?」


「200歳の誕生日を迎えた者から次々と姿を消していくんです」


200歳!?

さすがエルフ。

長命だな。


「このままでは里から若い子がいなくなり、そのうち滅亡してしまいます」


「それで俺になにをしてほしいわけ?」


ま、ある程度わかってますけどね。


「蛇神様を倒していただけませんか?」


ですよねー!


「報酬はもちろん用意させていただきます。どうかよろしくお願いいたします」

「いたします」


2人から頭を下げられる。


どうしたもんかな?


『やっとけ相棒』


聞いてたのか隼丸。


『美女の匂いがしたからな』


刀のくせに犬なみの嗅覚だな。


『かっかかか。褒め言葉と受け取っとくぜ。それよりも相棒、この話受けろ』


けど神様なんだろ。

俺で勝てるのか?


『蛇神の弱点は知り尽くしてるから大丈夫だ。なによりも子宝の邪神はピスティの商売敵。恩を売っとくのに最適な相手だぞ』


言われてみればそうだな。


『それによ、気になることもある』


気になることって?


『邪神であっても、あいつは呪いをかけるような奴じゃなかったはずなんだ』


知り合いなのか?

前から思ってたけど、お前はいったい何者なんだ?


『俺様は相棒の愛刀さ、今はな。そのうち話してやるよ』


いつもとトーンが違った。


聞くな、と言われてる気分だ。


『それよりも、うまくいけばエルフも抱けそうだな、かっかかか』


結局そこか!


『1番の目的はそれしかないだろうが、かっかかか!』


⋯⋯ まあいいや。


確認しとくけど、蛇神は勝てる相手なんだな?


『それは俺様が保証する』


ならやるか。


「2人とも頭を上げてください。俺でよければお力をお貸ししますよ」


こうして桜雪親子を待っている間に邪神退治することになったのだけど ⋯⋯ まさかこのことが(ヨン)の国を揺るがす大事件に繋がるとは誰も想像できなかった。

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