第27話 ドラゴン
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〜103日目〜
夜が明けても子竜が見つかったという吉報はあがらなかった。
村といえどもそう広くはない。
竜人総出で探して見つからないのなら、あとは山への下り道だけしか残っていない。
「イルパーシブル、兵に準備を」
ヴァサエアさんが決意する。
「はっ!」
イルがヴァサエアさんの家を出ようとしたとき、
「失礼します!」
1人の兵士が飛び込んできた。
「サーサがヴァサエア様に至急会いたいと言っております」
カブリラの友達だ。
子竜のことでなにか知っているのか?
「通しな」
サーサがやってくる。
その表情はどこか青ざめていた。
「どうしんだい?」
なるべく優しく訊ねるヴァサエアさん。
「 ⋯⋯ 今回のことと関係ないかもしれないけど、それでもなんか関係してる気がして。でもやっぱり関係してないのかも。どうなのかな」
しどろもどろだ。
「落ち着きな。で?」
「あの、その ⋯⋯ みんなが子竜くんを見に集まってるとき、カブリラちゃんに連れられて闘技場の中に入っていったんです」
「中に? 鍵はここにしか置いてないはずだが ⋯⋯ いや、全員が子竜を見に行っていたか。盗るのは簡単だな」
「そうなんです。それで中の人間となにか話して帰ったんですけど ⋯⋯ 彼女、鍵を閉めてなかった気がして」
「なん、だって!」
イルパーシブル、とヴァサエアさんが呼ぶ前に、
「至急調べてきます」
イルが飛び出していった。
結果、闘技場に残っていたのは牢屋に入れている心を壊された人間だけで、あとはみな脱走していたことが判明。
「最悪の事態だよ。人間たちが魔龍の怒りを買う前に連れ戻さないと。イルパーシブルは兵の準備を。あと誰かカブリラをここに!」
兵士が動き出す。
しばらく待ってカブリラが連れてこられた。
「あんた、とんでもないことをしてくれたな」
「 ⋯⋯ やっぱりサーサが全部話したんですね。連れていかなければよかったわ。そうですよ、全てあたしがやりました」
抵抗する様子もなくカブリラは正直に白状した。
「人間に子竜がドラゴンを操れることも言ったな」
「言いましたとも。この山を下りたい人間たちは嬉々として赤ちゃんをさらっていくことに協力してくれました」
「 ⋯⋯ バカが。カブリラを闘技場の牢に入れておけ。沙汰は追ってする。今は子竜と人間たちを追いかけるほうが先決だ」
そして山狩り隊が結成された。
俺やイルももちろんメンバーに加わっている。
「隼人様、どうか子竜を!」
人間を連れ戻すさい戦闘になる可能性があるためミゾルトたち一般人はお留守番となった。
「ああ、きっと連れて帰る。ミゾルトは文竜と眠竜を頼むな」
ミゾルトたち非戦闘員に見送られ、山の下り道へと入った。
〜104日目〜
一昼夜、休憩なしで山を下っていく。
それでもまだ人間たちの姿は見えてこない。
途中、別れ道にさしかかると部隊を半分に分けた。
俺含めてイル率いる20人は左の道を、ヴァサエアさん率いる25人は右の道を行くことになった。
誰もが無言のまま山を突き進む。
と、急にイルが立ち止まった。
「まずいな。ここから先はドラゴンの住処だ」
間に合わなかったか。
「だからと言って引き返すわけにもいかないよな。みんな、準備はいいか」
イルの後ろにいる兵士たちが神妙な面持ちで頷いた。
「行くよ」
辺りを警戒しながら、さらに山を下りてい
「止まれ!」
「どうし
「静かに。あそこにドラゴンがいる」
イルが指差した方向。
そこに小さなビルほどはある巨大なドラゴンが寝息をたてていた。
「起こさないように行くよ」
静かに静かに。
物音1つたてないように細心の注意を払ってドラゴンの横を通り抜けていく。
『なあ相棒』
いつもながら突然隼丸の声が頭に響いた。
こんな大変なときになんだよ?
『俺様いいこと思いついたんだけど、言っていい?』
下ネタだったら怒るぞ。
『違うわい! あのな、子竜って間違いなく相棒の子供なんだろ』
そうだけど、それがどうした?
『なら竜使役のスキルって継承されてるんじゃね?』
⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ あ。
というわけで急遽、巨大なドラゴンを使役することになった。
方法は簡単。
目を合わして従えと命じるだけらしい。
とりあえず起こしてみようと近くの石をみんなで投げてみた。
あ、起きた。
すかさず目を合わす。
俺に従え!
『仰せのまま』
頭の中に声が響いた。
成功だ。
お前は昨日からここにずっといたか?
『おりました』
人間の集団が通らなかったか?
『通っていません』
寝ていてもわかるのか?
『寝たのはつい先ほどです』
となると人間たちは逆方向から下山したか。
「みんな、あいつの背中に乗れ! 空から探すぞ」
巨大なドラゴンは20人が乗ってもビクともしなかった。
『いきます』
畳んでいた翼を広げ上空高く羽ばたく。
全員で目を凝らして地上を見る。
「ヴァサエア様たちを発見!」
「あ、人間と交戦中です!」
すでに始まっていたか。
「子竜がどこにいるかわかるか?」
「見当たりま、ま、ま──魔龍ガーズドルドです!」
人間たちの進路方向から、いま乗ってるドラゴンよりも一回り、いやニ回り以上大きな真っ黒いドラゴンが出現した。
もはやゴ○ラだ。
人間たちどころかヴァサエアさんたち竜人も恐怖に凍り付いている。
その中でもたった1人だけ果敢に魔竜に近づく人間がいた。
「隼人、あいつだ!」
「だろうな!」
物怖じしないのは子竜を抱いているからだろうが、魔竜にスキル竜使役は通用しない。
それを知らない人間はどんどんと魔龍に近づき、水戸黄門の印籠のごとく子竜を突き出した。
「この子に従え魔龍!」
一瞬の沈黙のあと、魔龍ガーズドルドが膝をつく。
まさか従った?
否!
魔龍の手が子竜に伸び、人間ごと持ち上げた。
あいつ喰う気だ!
そう思ったら体が勝手に動いていた。
ドラゴンから飛び降り、魔龍目掛けて落ちていく。
「俺の、子供を、返しやがれ!」
ステータスも大幅アップしたんで、どんな奴にも負けないと過信していたかもしれない。
重力も加えた渾身の一撃は、
「な、に!」
魔龍をぐらつかせることすらできなかった。
ショックを受ける間も無く、魔龍が大きな口を開け人間ごと子竜を飲み込んだ。
「子竜!」
ポケットから隼丸を抜く。
「みな、援護しろ。撃て!」
背後からヴァサエアの指示が飛び、魔龍に矢が撃ち込まれる。
俺は合間を縫って魔龍に斬りかかった。
ガキン!
岩を叩いたような感触。
隼丸の刃が通らない。
『無理だ相棒! 魔龍ガーズドルドの防御力は5万はゆうにある。斬れ味抜群の俺様でも、相棒の攻撃が弱けりゃどうにもなんねえ!』
けど子竜が!
『そいつは生きた天災だ。言葉は悪いが諦めろ』
そういうわけにはいかない。
ミゾルトにきっと連れて帰ると約束したんだ。
『子供だってもう死んでるさ!』
まだ生きている!
俺のステータス画面で確認した。
赤文字瀕死状態になってるけど、まだHPは残ってるんだ。
生きてるんだ!
そう簡単に諦められるか ⋯⋯ ん?
待て、待て待て待て!
赤文字?
瀕死状態?
それも子竜はすぐ側にいる。
つまりスキル子はかすがいが発動してるんじゃ?
「っていうか発動してろ!」
もう一度隼丸で斬りかかる。
さっき通用しなかったので魔龍はまったく警戒していない。
攻撃力81720となった全力の一撃。
魔龍の下っ腹部分を
まるで豆腐を切るかのようにスパッと斬り裂いた。
GYAAAAAAAAAAAA!
魔龍が吠えた。
いける。
続けて下っ腹を横斬り。
GYAAAAAAAAAAAA!
魔龍の臓器が落ちてきた。
胃はどこだ!?
腸を掻き分け、先にある胃を発見。
「子竜、いま出してやるからな!」
中にいる子竜を傷つけないように胃を裂く。
いた!
人間はすでに溶けたようで見当たらないのに、そこはさすが防御に長けた竜人なだけはある。
服はほぼ溶けて、皮膚も火傷のように赤くただれているが、子竜は生きていた。
胃の中から慌てて我が子を抱き上げる。
と同時、上からなにやら怪しい気配が漂ってきた。
反射的に見上げてしまう。
『やべえ、相棒。即死の魔眼だ。目をつぶれ!』
少し遅かった。
ばっちりと目が合ってしまった。
俺と同じように魔龍の目を見た人間たちがバタバタと倒れていく。
かく言う俺もだんだんと苦し──くないね。
なぜかピンピンしてる。
あ、即死攻撃無効のスキル生存のおかげだ。
白虎に感謝。
「子竜に回復魔法をかけたいから、さっさと終わらせるぞ、隼丸!」
『おうよ!』
「創生魔法『フライ』」
自分の体を空高く浮かせ、
「うおおおおおおおお!」
気合い一閃とともに落下。
魔龍の心臓めがけて突っ込む。
!!!!!!!!!!
魔龍が声にならない悲鳴をあげ、力無く倒れた。
人間、竜人関係なく歓声があがる。
ここに魔龍ガーズドルドは長き生を終えたのであった。
戦闘シーンは苦手です。
もっと表現力を磨いて、語彙も増やしていきたい!




