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異世界子作り日記 〜知らぬ間に世界征服?〜  作者: ずんぺー
第ニ章 強引に諸国漫遊
25/69

第24話 竜人とほのぼの

〜91日目〜


夜中にスキル選択画面が出てきた。

睦月の子供が生まれるらしい。

魔法剣Lv1を選択し、再び眠りにつく。


朝方、またスキル選択画面が。

睦月に続いてラミーもか。

出産ラッシュだな。

スキルは嗅覚Lv1を選んだ。


2回も起こされてしまったので今日は朝寝坊した。

起きてからはミゾルトに竜人族について聞かせてもらう。


竜人族の総人口は200人ほど。

その全てが女性。


クフラから聞いたとおりだ。


このままでは滅亡を辿るだけ。


そこで現在の長ヴァサエアはある考えを実行することにした。


それが人間の強者との交配。


闘技場で活躍した人間を竜人族の女性と交わらせ子供を得るという方法を選んだ。


その第1号者が俺ってわけだ。


あれれ?


「もしかしてイルなんとかさんって ⋯⋯ 」


「イルパーシブルさんですね。あの人が隼人様の交配相手となります」


やっぱりか!

喜んでいいのやら悪いのやら ⋯⋯


『かっかかか。昨日は据え膳食わぬは男の恥とか言ってたくせによ』


うるさい。


「それにしても人間との間に子を作るんなら、ここから離れればいいと思うんだけど」


「確かに人間の街に下りればお相手はたくさんいるでしょうね。けど、できないんですよ」


「どういうことだ?」


「ここは山の頂上付近。その昔噴火によってできたくぼみに作られた村なんですが、ここから出ていくためにはドラゴンが住む山を下りなければなりません」


「あのワイバーンみたいなやつか?」


「あれらは小物です。兵士さんたちが5人もいれば手に負えます。しかし外にいるドラゴンたちは竜人族が総出でかかっても倒せやしません」


「だったら人間はどこから来たんだ? 最初からここにいたわけじゃないよな?」


「二代前の長が外から連れてきたんです。私は知りませんが竜人族の男はみんなドラゴンを操ることができたらしいです」


「そんな力があるのか! その力は人間とのハーフでも受け継がれるのかな?」


「こればかりはわかりません。ですが、もしもこの子が」


ミゾルトは愛おしそうに卵を撫でる。


「男の子でドラゴンを操れるなら、私は山を下りたい」


だから俺との子を望んだわけか。


ん、あれ?

気のせいかな。


「この卵、昨日より大きくなってないか?」


「日を追って大きくなっていきますよ。生まれる直前には抱えきれないほどの大きさになります」


マジか。

どんな子供が生まれてくるのやら ⋯⋯


ってちょっと待て。

よくよく考えてみれば、俺はどうやって帰ればいいんだ?


もしかしてクフラが言ってたように男の子が生まれるまで本当に帰れないんだろうか。


はあ、と大きなため息が出る。


睦月とラミーの出産は無事に終わったかな。

帰れたら帰れたで大目玉くらいそうだ。


〜92日目〜


二日間あてがわれた家に帰らなかったためイルパーシブルさんにめっちゃ怒られた。


特に昨日は覚悟を決めて訪ねてきたらしい。

覚悟ってもちろんあれのだよね?


もったいない ⋯⋯ じゃなくて申し訳ないことをした。


「今夜来ますか?」


「 ⋯⋯ ⋯⋯ ⋯⋯ か、覚悟が決まったらな」


顔が真っ赤に染まっている。


外見がきつそうに見えるから余計にかわいい。


「そ、それで今日は暇なのか?」


「別に何の用もないですけど」


「なら親睦を深めないか」


「デートのお誘いですか?」


「デデデデデートとか言うな!」


照れてる。

なにこの生き物。

かわいい。


「いくぞ」


イルパーシブルさんに村の中を案内してもらった。


昨日みたくミゾルトに嫌がらせするような竜人は少ないらしく、ほぼみんな好意的だった。


村唯一のレストランに入ると、野次馬が群がってきた。


みんなイルパーシブルさんをからかうのが楽しくて仕方がないって感じ。


「ねえねえ、もうやった?」


「なななななななにを言う!」


「その反応まだね」


「残念。初めての感想聞こうと思ったのに」


「痛かったらやだもんね」


「お前ら! 真昼間からどういう会話をしているんだ!」


「イルさんが怒った!」

「逃げろ逃げろ〜」


群がっていた野次馬たちが霧散した。


「すまない。これでは落ち着いて料理も食べれないな。カザフ、なにか包んでくれないか。外で食べる」


カザフというのはレストランの女店主。


「ほいよ。楽しんでらっしゃい、デートを」


「デデデデデートではない! ただの親睦会だ」


お弁当をもらってイルパーシブルさんは無言で歩き出す。


後ろをついて


「人間さんよ」


カザフさんに呼び止められた。


「イルのこと頼むよ」


一回頷いてから、


「豊月隼人。またイルパーシブルさんと一緒に来るから名前覚えておいてください」


「覚えとく。あと闘技場に出るときは教えてくれよ。あんたに賭けるから」


苦笑しながらイルパーシブルさんのあとを追った。


連れて行かれたのは村を見下ろせる丘だった。


「ほら」


お弁当──ふかし芋を渡される。


「ここは私のお気に入りなんだ。だからお前も、いやその、なんだ」


耳まで真っ赤にして、


「気に入ってくれると嬉しい」


若干微笑んでくれた。


「あ、かわいい」


素直な感想。


「か、かわいいとか言うな!」


背を向けてしまうイルパーシブルさん。


この日は一日中デートを満喫した。

残念ながら覚悟は決まらなかったらしく、夜にやってくることはなかった。


〜93日目〜


「隼人」


お昼頃。

イルパーシブルさんが掘っ建て小屋にきた。


「あ、イルパーシブルさん。覚悟が決まったんですか?」


「ちちちちがうから!」


「じゃ、またデートのお誘いですか?」


「デデデデデートでもない! ヴァサエア様がお前を呼んでいるんだ」


長が?


「わかりました。どこに行けば」


「ついてこい。案内する。あと ⋯⋯ 」


「なんですか?」


俺と目を合わせないようにしながら。


「私のことはイルでいいからな」


耳を真っ赤にしてそう言った。


思わず笑ってしまう。


「な、なにがおかしい!」


「なにも。さ、案内してくださいイルさん」


闘技場近くにある大きな家に連れて行かれた。


「イルパーシブルです! 長の名により豊月隼人を連れてきました」


「ご苦労。イルパーシブルは下がっていいぞ」


「は。失礼いたします」


またあとでな、と告げられてイルさんは元来た道を帰っていった。


残された俺はとりあえず家の中に入る。


「こっちだ」


声の方向に足を進めると、あぐらをかいた威厳あるおばあさんがいた。


「呼び出してすまなかったね。まあ、お座り」


対面に座る。


「そっちじゃない。こっちだ」


真横を所望されたので移動すると、


「よっこいしょと」


なぜか膝枕させられる。


「 ⋯⋯ どういう状況でしょうか、これは?」


「細かいことは気にするな。それよりもあんた、クフラの差し金でここに来たんだろう?」


「知ってたんですか?」


「少し前にお告げがあったのを思い出したんだよ。しかも、異世界人なんだろ」


そこまで知ってるのか。

隠す必要はないので肯定した。


「それが確認したかったんだ。あんたとイルパーシブルの子供なら強い子が生まれそうだね」


「それなんですが ⋯⋯ 本当にいいんですか?」


「イルパーシブルは好みじゃないのかい?」


「かわいいとは思いますけど」


「だったらいいじゃないか。案外あの子も満更じゃないみたいだし、さっさと手を出しちまいな。早く私に赤ちゃんを見せておくれ」


親戚のお節介おばさんみたいだな。

高校以来会ってないけど。


あ、そうだ。


「一つ聞いてもいいですか?」


「好きなだけ聞きな」


「どうして闘技場なんかあるんですか?」


「人間どもを鍛えているのさ。便乗して賭け事もさせてもらってるけどな」


「鍛えてるって?」


「この村にはよくワイバーンが飛んでくる。竜人ならともかく力のない人間は昔からよく襲われていた。そこで闘技場を設立、ワイバーンを倒せる者だけは外に出そうということになった」


「あなたたちで人間を守るという選択肢はないんですか?」


「向こうにここで暮らす気がなけりゃ無理だ。自由にさせているとすぐに山から下りようとする。そうすればどうなると思う?」


「ドラゴンに襲われるんじゃ?」


「それだけじゃない。魔龍ガーズドルドの怒りを買えばここにだって影響が及ぶ。あの人間たちの祖先にはどれほど迷惑をかけられたことやら。お前も見ただろう、魔龍に心を壊された人間たちを」


牢屋にいた人たちのことか。


「それに闘技場に立つよう強要はしたことがない。自主性に任せてあるから嫌なら戦わなければいい。きちんと3食は出してあるし生きていくには十分だろう」


なるほど。

自由が欲しければ戦って勝ち取れという感じか。


「そういえばさっきから会話に出てる魔龍ってなんですか?」


「ここら一帯を治めるドラゴンの王さ。私のじいさんですら、奴だけは使役できなかったらしい。触れぬ龍に祟りなしだ」


言ってヴァサエアは体を起こした。


「いつまでもあんたを拘束すると外で待ってるイルパーシブルが可哀想だからね」


「さっき帰っていきましたけど?」


「出ればわかるさ。さあ行った行った」


追い出された。


外に出るとイルさんが本当に待っていた。

俺を見つけると一瞬笑顔に、でもすぐに真顔になって近寄ってくる。


「ぐ、偶然通りかかって。もしよかったらこのまま昼を食べに行かないか」


今日も一日、イルさんと過ごすことになった。


しまった。

ミゾルトのことを話せなかった。

まあ次の機会でいいか。


卵のことも気になるし、明日はミゾルトのところに顔を出そう!

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