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大物ルーキー

前回のおさらい

遂に決着。

「おい! しっかりしろ!」

蓮の身体が倒れ込む寸前、大柄な男が素早く受け止めた。

「リーダー、この子……!」

後方から駆け寄ってきた女性が蓮の容態を確認する。

「回復を!」

仲間の女性がすぐさま駆け寄り、蓮の手首へ触れる。

淡い緑色の光が蓮の身体を包み込んだ。

「命に別状はありません。ただ、魔力切れと疲労が酷いですね。無理をし過ぎています。」

「よかった……。」

大柄な男は安堵の息を漏らす。

改めて周囲を見回すと、戦闘の激しさが一目で分かった。

地面には深く刻まれた爪痕。

あちこちの木々は薙ぎ倒され、土は大きく抉れている。

そして、ブラックホーンウルフが消滅した場所には大量の黒い毛と血痕が残っていた。

「この戦闘跡……。」

盾を背負った青年が思わず呟く。

「間違いなくブラックホーンウルフだ。」

「しかも、かなり長時間戦ってる。」

弓を持った少女も周囲を観察しながら顔をしかめた。

「一撃で倒したわけじゃない。何度も攻防を繰り返して、少しずつ削った跡がある。」

大柄な男は蓮の握る右手へ目を向ける。

そこには、血で濡れた片手剣がしっかりと握られていた。

「この歳で、この戦い方か……。」

経験豊富な探索者だからこそ分かる。

偶然では勝てない。

運だけでも勝てない。

この少年は、自分より格上の魔物を技術だけで討ち取ったのだ。

「探索者カードを確認します。」

女性が蓮の探索者カードを確認する。

そこに表示されていた情報を見た全員が目を見開いた。

「神代……蓮。」

「十八歳。」

「レートは……E。」

「馬鹿な。」

盾使いの青年が思わず声を上げた。

「Eレートがブラックホーンウルフをソロ討伐? そんな話、聞いたことがないぞ。」

「私もです。」

魔法使いの女性も静かに頷く。

「普通なら逃げる相手です。」

「いや、逃げられればまだいい。」

リーダーの男は険しい表情で首を横に振った。

「ブラックホーンウルフに見つかったEレートは、逃げ切れずに殺されるケースの方が多い。」

その言葉に全員が黙り込む。

誰もが同じことを考えていた。

目の前で眠る少年は、常識では測れない。

その時だった。

ピッ。

蓮の探索者端末が電子音を鳴らした。

「ん?」

画面を見ると、新しい通知が表示されている。


【特殊個体討伐を確認】

【討伐対象:ブラックホーンウルフ】

【討伐者:神代蓮】

【討伐記録を探索者協会へ送信しました】


「……自動報告か。しかも特殊個体。」

リーダーは苦笑する。

これで協会にも討伐記録が残る。

誰かが手柄を横取りすることもできない。

「それにしても、とんでもない新人だな。」

「ええ。」

魔法使いの女性は眠る蓮を見つめながら小さく笑った。

「この子、きっと有名になりますよ。」

「いや……。」

リーダーは静かに首を振る。

「有名どころじゃ済まない。」

特殊個体のブラックホーンウルフを倒せるEレート。

そんな存在がいると知れ渡れば、各クランが放っておくはずがない。

「とりあえず入口まで運ぶぞ。」

「はい。」

盾使いの青年が蓮を背負い、全員でゲヘナの入口へ向かって歩き出す。


◇◇◇

第一ゲヘナ入口。

探索者協会の職員たちは、帰還してくる探索者の受付に追われていた。

その時だった。

「救護班!」

リーダーの大声が響く。

「新人が魔力切れだ!」

すぐに数人の職員が駆け寄る。

「どうしました?」

「ブラックホーンウルフと戦って倒した。」

その一言で周囲の空気が止まる。

「……今、何と?」

「ブラックホーンウルフを討伐した。しかも特殊個体だ。」

「誰が?」

リーダーは背負っていた蓮を静かに降ろした。

「この新人だ。」

職員たちは一斉に探索者カードへ視線を向ける。


Eレート 神代蓮


誰も言葉が出なかった。

ブラックホーンウルフの討伐記録など、第一ゲヘナでは年に数件あるかどうか。

まして、特殊個体。それをEレートの新人がソロで討伐したなど、前例は聞いたことがない。

やがて一人の職員が震える声で呟いた。

「……これは、協会本部へ報告案件ですね。」

その言葉を聞きながら、蓮はまだ静かに眠り続けていた。

自分が初日から探索者協会中の話題になっていることなど、知る由もなかった。

特例個体は基本的にどの魔物もレートが4段階上がります。

ブラックホーンウルフの場合、D+からB+


誤字脱字等御座いましたら指摘お願いします!

続きが気になる!面白い!と思ってくださったら評価お願いします。励みになりますm(_ _)m

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