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時は経ちAレートへ

前回のおさらい

教会長にミノタウロスを討伐。その詳細を話をする。

イギリスで魔物氾濫が起きる。

イギリスで発生した史上最大規模の《魔物氾濫(スタンピード)》。

あの日の映像は、日本中の探索者へ大きな衝撃を与えた。

崩壊する都市。

命懸けで戦う探索者。

そして、人類でさえ容易には止められない魔物の存在。

蓮たちも、自分たちが立っている世界が決して平和ではないことを改めて思い知らされた。


◇◇◇


それから季節は流れる。

秋を迎える頃には、蓮と恵の生活は大きく変わっていた。

第三ゲヘナ第二層での特殊個体討伐。

その功績は一般へ公表されることこそなかったが、探索者協会内部では極秘事項として共有されていた。

そして数日後。

協会から学校へ、一通の正式な通知が送られる。

『神代蓮、一条恵の両名は、国家指定重点育成探索者として登録。探索者としての活動を優先するため、学校への出席は任意とする。欠席は公欠扱いとし、成績については別途対応する。』

突然の決定に教師たちは驚いた。

もちろんクラスメイトには詳しい事情は伏せられている。

「探索者ってそんな制度あるんだ……。」

「二人ともすごいんだな。」

そんな噂だけが学校中へ広がっていった。

翔太と夏鈴も驚いていたが、それでも二人を応援してくれた。

「ちゃんと戻って来いよ。」

「学校来た時はまた四人で遊ぼ!」

その言葉に蓮と恵は笑って頷いた。

それから二人は、本格的に探索者としての日々を歩み始める。


◇◇◇


第三ゲヘナ。


第三層は、二人にとって苦戦する場所ではなかった。

探知(ディテクション)》で敵を把握し、

解析(アナライズ)》で弱点を暴き、

蓮が前衛を務め《魔法盾(アイギス)》と《魔力付与(エピテマ)》で戦場を支配し、恵は蓮が引き付けている間に剣と魔法で応戦。

さらに《魔力付与》を習得した蓮の剣は、以前とは比較にならない威力を発揮するようになっていた。

魔力を刀身へ流し込む。

それだけで切れ味も耐久性も何倍にも跳ね上がる。

最初は制御も難しかった。

何度も失敗を重ねた末、少しずつ自在に扱えるようになっていった。

恵もまた、《剣魔共鳴(レゾナンス)》をさらに成長させていく。

魔力を剣へ纏わせた属性攻撃。

剣を媒体としての魔法攻撃。

二人の連携は日を追うごとに洗練されていった。


◇◇◇


第三ゲヘナ最下層。

今までより遥かに上回る強敵たちが待ち受けていた。

巨大な岩竜。

群れを成す飛行型魔物。

高位悪魔種。

それでも二人は止まらなかった。

互いを信じ、

互いの背中を預け、

一つずつ壁を乗り越えていく。

そして。

第三ゲヘナ攻略完了。

休む間もなく第四ゲヘナへ挑む。

未知の環境。

未知の魔物。

しかし、その頃には二人の実力は既にAレート探索者へ届きつつあった。

数ヶ月前までただの高校三年生だった二人とは思えないほどの速度で成長していく。

数多くの功績が認められ、冬を迎える頃。

探索者協会本部から正式な通達が届いた。

『神代蓮』

『一条恵』

両名を…

Aレート探索者へ昇格とする。

日本史上最年少記録と並ぶ。

探索者協会は異例とも言える昇格を正式に発表した。

テレビやニュースでも話題になったが、二人の詳細な能力や経歴は国家機密として伏せられた。

世界情勢が不安定となった今、有望な探索者の情報を不用意に公開する危険性を、協会は十分理解していたからだ。


◇◇◇


そして冬。

吐く息が白く染まる朝。

蓮と恵は探索者協会地下にある訓練施設を訪れていた。

「今日は久しぶりに測定だね。」

恵が笑う。

「どこまで成長してるかなぁ。」

蓮も苦笑した。

最後に測定した時とは比較にならない。

二人とも、何度も死線を潜り抜けてきた。

今、自分たちがどれほど強くなったのか。

それを確かめるためだった。

巨大な測定装置の前へ立つ。

育成課長がモニターを操作する。

「それでは始めます。」

最初は蓮。

レベル。

身体能力。

魔力量。

保有スキル。

取得アーツ。

取得パーク。

全てが自動解析されていく。

ピッ…測定終了。

大型モニターへ結果が表示された。

────────────────

神代 蓮

レベル 176

探索者レート A

身体能力 A+

魔力量 SS

スキル

魔法盾アイギス》Lv.5

魔力付与エピテマ》Lv.2

アーツ

反射パリィ》Lv.7

前方城壁スクード》Lv.6

《盾神の守護(プロテクション)》Lv.1

パーク

探知ディテクション》Lv.9

解析アナライズ》Lv.9

暗視(ナイトビジョン)

睡眠耐性(アンチスリープ)

────────────────

「……。」

部屋が静まり返る。

育成課長は思わず眼鏡を外した。

「魔力量……SS?」

「まだ高校生だぞ……。」

協会長も静かに腕を組む。

「予想以上だ。」

魔力量だけなら、日本でも指折り。

いや、既にSレート探索者へ匹敵する数値だった。

続いて恵が測定装置へ入る。

数十秒後。

モニターへ新たな結果が表示される。

────────────────

一条 恵

レベル 165

探索者レート A

身体能力 S

魔力量 S

スキル

剣魔共鳴(レゾナンス)》Lv.6

パーク

暗視(ナイトビジョン)

並列思考マルチコアマインド》Lv.5

魔力操作(マナコントロール)》Lv.4

《睡眠耐性》

────────────────

「身体能力S……。」

育成課長が苦笑する。

「完全に化け物だな。」

恵は照れ臭そうに笑った。

「そんなにですか?」

「十分すぎる。」

協会長は静かに頷く。

「君たち二人だけで、通常のAレート部隊以上の戦力がある。」

蓮と恵は顔を見合わせる。

数ヶ月前。

探索者になったばかりの頃なら考えられなかった評価だった。

しかし。

協会長の表情だけは晴れなかった。

大型モニターには、今も世界地図が映し出されている。

赤い印。

それは、ゲヘナが確認されている場所だった。

さらに。

イギリスは壊滅的な打撃を受けたが世界各国のSレート以上の探索者達によって《魔物氾濫(スタンピート)》は鎮圧された。

しかし、原因はまだ不明。ゲヘナ内に入り少しづつ魔物の数を減らしている段階だった。

「君たちは確かに強くなった。」

協会長は静かに言う。

「だが、世界はそれ以上の速度で悪化している可能性がある。」

その言葉に部屋の空気が引き締まる。

「近いうちに、日本も無関係ではいられなくなる。」

協会長は二人を真っ直ぐ見据えた。

「だからこそ、君たちにはさらに強くなってもらう。」

「これから先に待つ戦いは、第三、第四ゲヘナとは比べものにならない。愛知県は第四ゲヘナまでしかないが東京、大阪には第五ゲヘナがある。2人には東京に向かってもらい第五ゲヘナを挑んで欲しい。ちなみに第五ゲヘナは大阪とも繋がっている。話は東京支部に伝えておく。それと2人はパーティー。パーティー名も考えて欲しい。パーティー名があった方が今後都合が良い。」

蓮は頷く。

隣では恵も静かに頷いていた。

幼い日に交わした約束。

『一緒に探索者になる。』

その約束はもう果たした。

だが、二人の旅はまだ始まったばかりだった。

世界が大きく動き始める中、神代蓮と一条恵は、人類の最前線へ歩みを進めようとしていた。

スキル等詳細

《盾神の守護》周囲の探索者へ物理、魔法の耐性を付与する。レベルに応じてより強固な耐性に。

《剣魔共鳴》剣を媒体に魔法を詠唱する事もでき、詠唱時間を短縮、剣に魔法を付与など、近接戦闘中でも魔法を使用する事が可能。レベルに応じて詠唱速度、持続性、威力など上昇。

《暗視》暗いところでも見えるようになる。

《睡眠耐性》寝ずとも活動に支障が無くなる。5日ほど継続して活動可能。

《並列思考》近接戦闘をしながら魔法の詠唱や、魔法の詠唱を複数難なくこなせる。レベルに応じてより多くの魔法を詠唱可能。

《魔力操作》魔力の操作が容易になる。レベルに応じて、より複雑な魔力の操作も可能になる。


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