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戦利品の鑑定

前回のおさらい

強敵が急接近、しかし撒くことに成功し、鑑定するために帰還する。

第三ゲヘナを出る頃には、空は茜色へ染まり始めていた。

今日の収穫は多い。

魔力鉱石や魔鋼鉄の鉱石に加え、第二層で発見したパークブック。

そして数日前に宝箱から手に入れた虹色の結晶。

どちらも正体が分からない以上、自分で扱うわけにはいかない。

蓮はそのまま探索者協会本部へ向かった。


◇◇◇


「お帰りなさい、神代さん。」

受付の女性職員が笑顔で迎える。

「今日も第二層ですか?」

「はい。」

蓮は収納ポーチから今日回収した素材を取り出す。

魔石、魔力鉱石、魔鋼鉄。

査定が進む中、蓮は別の布へ包んでいた二つの品を机へ置いた。

「あと、これの鑑定をお願いしたいんですが。」

女性職員の表情が少し真面目になる。

「……また珍しい物を?」

「たぶん。」

布を開く。

パークブックと、虹色に輝く透明な結晶。

「少々お待ちください。」

職員はすぐ奥へ連絡を入れた。

数分後。

以前から何度も世話になっている年配の鑑定士が姿を現す。

「神代君。」

「また面白い物を持ってきたようですね。」

「お願いします。」

「では鑑定室へ。」


◇◇◇


鑑定室。

机の上へパークブックと虹色の結晶が並べられる。

鑑定士はまず結晶を手に取った。

魔道具へ乗せ、慎重に魔力を流していく。

透明だった結晶が淡く七色へ輝き始めた。

「……やはり。」

鑑定士は頷く。

「これは《能力継承結晶(スキルクリスタル)》ですね。」

「能力継承結晶?」

蓮は初めて聞く名称だった。

「極めて希少な天然結晶です。」

「天然……?」

「はい。」

鑑定士は説明を続ける。

「ゲヘナ内部の濃密な魔力が、長い年月をかけて結晶化した物です。」

「これ自体に能力はありません。」

「しかし――」

鑑定士は結晶へ目を移す

「特定の条件を満たした時、この結晶は新たなスキルを宿す媒体になります。」

「媒体……。」

「条件は様々で例えば古代遺跡や特殊な祭壇、あるいは極めて強力な魔物を倒した時。そうした特殊な環境で反応し、新たな能力を記録することがあります。」

蓮は目を見開く。

「つまり……。」

「今は空です。」

「ですが将来的には、とてつもない価値を持つ可能性があります。」

鑑定士は慎重に結晶を机へ置いた。

「市場価格は現在でも数億円。」

「ですが、能力を宿した状態なら価値は比較になりません。」

「売るつもりはありません。」

蓮は即答した。

「そうでしょうね。」

鑑定士も優しく笑った。

「神代君ならそう言うと思いました。」


◇◇◇


続いてパークブックが机へ置かれる。

表紙は長い年月を経ても傷一つない。

鑑定が始まる

「……これは。」

表情が変わる。

「このパークブックは《解析(アナライズ)》魔道具等使わずに解析、鑑定が出来るというものですね、これは鑑定士が喉から手が出る程のものです。もちろん探索者の中でも重宝されています。」

「《解析》…」

蓮が呟く。

「この前の《探知》と同じで汎用性が高いパークなので習得をおすすめします。」

鑑定士の助言通り蓮は習得することにした


----------------------

《解析》

対象を一定時間観察することで情報を取得する。

対象の情報量は熟練度によって増加する。

----------------------


「……。」

《探知》とは違う。

こちらは対象を詳しく知る能力。

鑑定士は興奮気味に説明する。

「神代君。」

「《解析》は万物に有用で武器、防具、鉱石、薬品。ありとあらゆる物へ使用できます。魔物にも使用できますが、人には何故か使えません。熟練度が上がれば、通常では鑑定用魔道具しか分からない情報まで読み取れる可能性があります。」

蓮は思わず自分の白い剣へ視線を向けた。

試しに《解析》を発動する。

数秒後。

頭の中へ情報が流れ込んできた。


『魔鋼鉄製片手剣』

『耐久度:極めて良好』

『魔力伝導率:高』


「見える……。」

蓮は驚きの声を漏らす。

鑑定士も頷いた。

「まだ初歩段階です、ですが将来的には、魔物の弱点や武器の欠陥まで見抜けるようになるかもしれません。」

その言葉に蓮はレッドオーガとの戦いを思い出した。

《探知》で魔力の流れを読み、急所を見つけた。

もし《解析》も育てば。

戦い方に幅が出る。

「また、良い物を手に入れてしまいましたね。」

鑑定士は苦笑する。

「神代君は本当に運が良い。」

蓮は照れ笑いを浮かべた。

鑑定士が助言をくれる。

「神代君。《解析》も《探知》と同じです。魔力消費は若干増えますが、可能な限り毎日使い続けてください。熟練度次第で、能力は想像以上に伸びるでしょう。」

「はい。」

蓮は力強く頷く。

探索を重ねるたびに、自分だけの戦い方が少しずつ完成へ近付いている。

鑑定室を出る頃には、外はすっかり日が落ちていた。

協会を後にした蓮は空を見上げる。

夏の星々が静かに輝いている。

「明日からは、《解析》も鍛えないとな。」

第三ゲヘナ第二層。

そのさらに奥には、まだ見ぬ強敵と秘宝が眠っている。

蓮は静かに歩き出した。

新たな力を携え、さらなる高みを目指すために。

誤字脱字等御座いましたら指摘お願いします!

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