助け合い
前回のおさらい
魔物の罠に掛かった高坂、石坂に加勢する。
ギィ……
静かな音を立てて宝箱の蓋が開く。
中を覗き込んだ蓮は、小さく息を呑んだ。
「これは……。」
宝箱の中には、淡く青い光を放つ鉱石が三つと、小瓶が二本納められていた。
小瓶の中では赤い液体がゆっくりと揺れている。
高坂が覗き込み、口笛を吹いた。
「おっ、まあまあな当たりだな。」
石坂も嬉しそうに笑う。
「回復ポーションだね。」
蓮は一つずつ取り出して確認する。
青い鉱石は手のひらほどの大きさで、内部には魔力が流れるように輝いていた。
「魔力鉱石……。」
探索者協会でも買い取ってくれる素材で、魔道具や武器、防具の製作に欠かせない資源だ。
質によって価値は変わるが、これだけでも十分な収穫と言える。
そして二本のポーション。
「中級回復ポーションだな。」
高坂が頷く。
「傷の治りを早める便利な代物だ。探索者にとっちゃ何本あっても困らねぇ。」
蓮は慎重に収納ポーチへしまった。
「ありがとうございます。本当に頂いてしまって……。」
「いいってことよ。」
高坂は豪快に笑う。
「命あっての探索だからな。」
石坂も笑顔で続ける。
「それに、私たちだけじゃ開ける前に全滅してたかもしれないし。」
三人の間に穏やかな空気が流れる。
高坂はふと蓮の腰の剣へ目を向けた。
「…剣、変わったか?」
蓮は柄に手を添える。
「はい。」
「レッドオーガとの戦いで前の剣が限界になってしまって……。」
「レッドオーガ!?もしかして単独撃破か?」蓮はゆっくり頷いた。
「そうか……。すげえな。」
石坂も驚いた表情を浮かべる。
澄んだ輝きを放つ刃に、高坂は目を細めた。
「いい剣だ。お前の戦い方にも合ってそうだな。」
「はい。すごく扱いやすいです。」
高坂は満足そうに笑う。
「武器も探索者の相棒だからな。大事にしてやれ。」
「はい。」
その時、《探知》が小さな反応を捉えた。
蓮は周囲へ視線を巡らせる。
「……魔物が二体。こっちへ近付いてます。」
高坂と石坂もすぐに武器を構えた。
数秒後、通路の奥からケイブウルフが二体姿を現す。
三人はあっさり倒してしまう。
石坂が感心したように言う。
「それが《探知》?」
「はい。最近覚えたばかりなんです。」
「もうそんな精度なの?」
「レベルが上がって、範囲も広がりました。」
高坂は豪快に笑った。
「便利すぎるな、おい。パーティーに一人いたら安心感が全然違う。」
蓮は少し照れくさそうに笑う。
《探知》は派手な能力ではない。
だが、第三ゲヘナでは何より頼もしい力だった。
高坂は戦斧を背負い直す。
「今日は助かった。またどこかで会ったらよろしくな。」
「はい。」
石坂も手を振る。
「次は私たちが助ける番かもね。」
三人は笑い合い、それぞれ別々の通路へ歩き出す。
蓮は《探知》を維持したまま、静かな洞窟の奥へ視線を向けた。
(まだ第一層なのに、これだけ発見がある。)
宝箱、隠し通路、強敵。
そして様々な探索者との出会い。
第三ゲヘナは、一歩進むたびに新しい発見が待っている場所だった。
「さて。」
蓮は新しい剣を軽く握り直す。
「次は第一層の踏破を目指そう。」
そう呟き、青白い鉱石が照らす洞窟の奥へと、再び歩き始めた。
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