隠し通路
前回のおさらい
蓮は《探知》を使い、隠し通路を見つけ、奥へ進む。
蓮はライトで足元を照らしながら、隠し通路へ足を踏み入れた。
通常の通路よりも狭く、湿った空気が肌にまとわりつく。
壁には苔が生え、地面には人の足跡も見当たらない。
《探知》は発動したままだ。
ぼんやりと周囲を探っていた蓮の表情が変わる。
(反応……一つ。)
通路の奥。
大きな魔力反応。
これまで遭遇した魔物とは明らかに違う存在感だった。
(強い……。)
蓮は剣の柄を握り直し、慎重に歩みを進める。
やがて通路は途切れ、小さな空洞へと繋がっていた。
天井は高く、中央には赤黒い岩でできた広場が広がる。
その中央に、一体の巨躯が座り込んでいた。
身長は三メートル近い。
全身を赤黒い筋肉が覆い、皮膚は岩のように硬そうだ。
額からは二本の角。
右手には、人間ほどの大きさがある鉄塊のような棍棒を握っている。
蓮が姿を現した瞬間、その魔物はゆっくりと立ち上がった。
ギロリ…。
黄金色の瞳が蓮を射抜く。
『レッドオーガ』
『討伐推奨レート:B』
「……!」
蓮は思わず息を呑む。
(Bレート……。)
第二ゲヘナで戦ったC+の魔物とは、放たれる威圧感がまるで違う。
レッドオーガは棍棒を肩へ担ぐと、不敵に口元を歪めた。
「グォォォ……。」
低い唸り声だけで空気が震える。
逃げるという選択肢が頭をよぎる。
しかし、その直後。
レッドオーガが突進してくる。
蓮は横飛びで難なく避けるが、レッドオーガがニヤリと笑みを浮かべる。
来た道を防がれ退路は失われた。
レッドオーガは逃がす気など最初からなかった。
「やるしかないか。」
蓮は静かに剣を抜いた。
黄金色の魔力が右手へ集まる。
「《魔法盾》。」
盾が展開された瞬間。
レッドオーガが地面を砕きながら突進してきた。
巨体とは思えない速度。
棍棒が真上から振り下ろされる。
ガァァァン!!
《魔法盾》へ激突した衝撃だけで足元の岩盤が砕け散る。
「ぐっ……!なんて力だ……。」
腕が痺れる。
《魔法盾》がなければ即死していた。
レッドオーガは間髪入れずに攻撃してくる。
横薙ぎ。
蓮は紙一重で回避。
棍棒が壁へ激突し、岩壁そのものを粉砕した。
「《反射》!」
振り返りざまの一撃を弾き返す。
しかし、レッドオーガは体勢をほとんど崩せなかった。
「効かない……!」
これまでなら《反射》で生まれていた隙が、ほとんどない。
それほどの難敵。
蓮はすぐに距離を取る。
(弱点を探すしかない。)
レッドオーガが咆哮を上げる。
「グォオオオオッ!!」
空洞全体が震えた。
次の瞬間、レッドオーガの身体が赤い魔力に包まれ、筋肉がさらに膨れ上がる。
一歩踏み出しただけで地面が爆ぜた。
(自己強化か!)
蓮は動きを読みながら必死に《魔法盾》を使いながら回避する。
一撃、二撃、三撃。
どれも致命傷になりかねない威力だった。
レッドオーガが体を使いタックルをしてくる。
「《前方城壁》!」
黄金色の城壁が地面からせり上がる。
ズドォォォォン!!
レッドオーガが城壁へ直撃する。
凄まじい轟音が響き渡り、洞窟全体が揺れた。
流石《前方城壁》ビクともしていない。
しかし、レッドオーガはBレート。
今まで戦ってきた魔物とは格が違う。
それでも蓮は剣を握る手を緩めなかった。
蓮は相手の動きを捉え続け、《魔法盾》でレッドオーガの攻撃を防ぎ、隙を見て剣で攻撃する…。
(必ず突破口を見つける。)
蓮は再びレッドオーガへ向かって踏み出した。
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