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特例昇格試験 終

前回のおさらい

目標地点の前にストーンゴーレムとの戦闘が始まる。

ストーンゴーレムは砕けかけた右腕を引きずりながら、一歩、また一歩と蓮へ迫る。

ズシン……。

ズシン……。

一歩踏み出すたびに渓谷が揺れ、小石が崖から転がり落ちる。

ストーンゴーレムの右腕はほとんど使い物にならない。

だが、残る左腕だけでも十分脅威だった。

ストーンゴーレムは左拳を高々と振り上げる。

「ゴォォォッ!」

轟音とともに拳が振り下ろされた。

「《魔法盾アイギス》!」

ガァァァン!!

凄まじい衝撃が蓮の身体を襲う。

「ぐっ……!」

両足が地面を滑る。

それでも踏み止まった。

(今なら押し返せる!)

《魔法盾》越しに力を込める。

ゴーレムの巨体がわずかによろめいた。

その一瞬を見逃さない。

「はっ!」

蓮は盾を消すと同時に懐へ飛び込み、左脚の膝関節へ斬撃を叩き込む。

ガギィン!

硬い。

しかし確かな亀裂が入る。

さらに二撃、三撃。

同じ場所だけを狙い続ける。

バキッ!

ついに膝の岩が砕けた。

ストーンゴーレムの体勢が大きく崩れる。

片膝をつき、動きが鈍る。

「今だ!」

蓮は一気に距離を詰める。

狙うのは胸部中央。

全身の岩を繋ぐように淡く青白く光る核だった。

(あそこが……!)

今まで分厚い腕に隠れて見えなかった急所。

ゴーレムは最後の抵抗とばかりに左腕を薙ぎ払う。

「《反射パリィ》!」

黄金色の盾が一瞬だけ輝く。

ガァンッ!

左腕は弾かれ、大きく外側へ逸れた。

「終わりだぁぁっ!」

蓮は全身の力を込め、剣を突き出す。

ギィィィィンッ!!

剣先が核へ突き刺さる。

一瞬の静寂。

次の瞬間。

バリンッ!!

核が砕け散った。

ストーンゴーレムは動きを止める。

全身に無数の亀裂が走り、岩の身体が崩壊を始めた。

ズズズ……。

巨体は光の粒へと変わり、静かに消滅していく。

『討伐確認』

『ストーンゴーレムの討伐を確認しました』

蓮はゆっくりと息を吐いた。

「勝った……。」

試験官は腕を組みながら小さく頷く。

(十分だ。戦闘技術、判断力、危機対応……どれもBレート相当。)

観覧室でも拍手が起こる。

「見事だ。」

「最後まで冷静だったな。」

佐伯も満足そうに笑う。

「これで課題はほぼ達成だ。」


◇◇◇


蓮は端末を確認する。


『第一目標地点まで 0・3キロ』

渓谷を抜けると、小高い岩山の上に黒い石碑が見えた。

協会の紋章が刻まれている。

「あれが……。」

ゆっくりと階段状の岩を登る。

やがて石碑の前へ到着した。

端末が反応する。

『目標地点到達』

ピッ。

続けて新たな表示が現れる。

『帰還地点へ向かってください』

『残り時間 二時間二分』

「帰るだけか。」

気を抜かず来た道とは別ルートを進む。

途中、小型魔物が数体現れたが、蓮は危なげなく討伐していく。

《魔法盾》を巧みに使いながら確実に敵を処理し、体力を温存する戦い方は最後まで崩れなかった。

そして四十分後。

岩場の先に青白い転移陣が見えてきた。

「着いた。」

転移陣へ足を踏み入れる。

『帰還地点到達』

『特例昇格試験終了』

眩い光が蓮を包み込んだ。


◇◇◇


探索者協会本部。

地下転移室。

光が収まると、そこには蓮の姿があった。

待機していた職員が笑顔で迎える。

「お帰りなさい。」

「お疲れ様でした。」

蓮はようやく肩の力を抜いた。

「ありがとうございました。」

そのまま控室へ案内され、水を受け取る。

数分後。

育成課長、そして試験官が部屋へ入ってきた。

試験官は蓮の前に立つと、静かに口を開いた。

「神代蓮。」

「今回の特例昇格試験の結果を伝える。」

部屋の空気が張り詰める。

蓮は自然と背筋を伸ばした。

試験官は一枚の書類へ目を落とし、力強く告げた。

「君は全課題を達成。」

「戦闘能力、状況判断能力、生存能力、すべての評価基準を満たした。」

一拍置き、笑みを浮かべる。

「よって――」

「神代蓮をBレート探索者として認定する。」

その瞬間、部屋に拍手が響いた。

育成課長が笑顔で手を差し出す。

「おめでとう。」

「ありがとうございます!」

蓮はその手をしっかりと握り返した。

試験官も珍しく笑みを見せる。

「途中でスキルを成長させた受験者は初めて見た。」

「今後も鍛錬を怠るな。」

「はい!」

力強く返事をする。

試験官は探索者カードの提示を要求してきた。

明日、Bレートに更新した探索者カードを渡すとの事。

探索者になってまだ間もない少年は、前例のない速さでBレートへ到達した。

しかし彼自身はまだ知らない。

第一ゲヘナで失われた祠の秘宝。

そして日本中を揺るがす事件。

そのすべてが、Bレートとなった彼を中心に、ゆっくりと動き始めていることを。

誤字脱字等御座いましたら指摘お願いします!

続きが気になる!面白い!と思ってくださったら評価お願いします。励みになりますm(_ _)m

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