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初めての依頼#1

前回のおさらい

神代蓮に依頼がはいる。

翌日。

授業を終えた蓮は、一度帰宅して制服から探索者用の装備へ着替えると、そのまま探索者協会へ向かった。

受付で依頼書を提示すると、昨日と同じ女性職員が笑顔で迎える。

「神代さん、お待ちしていました。」

「よろしくお願いします。」

「今回の依頼は第一ゲヘナ東地区、第七エリアの巡回調査になります。」

職員は地図を広げた。

「最近、この周辺で魔物の目撃数が少し増えているんです。」

「とはいえ、確認されているのは主にゴブリンやホーンラビット、スライム程度です。」

「危険度は低いので、落ち着いて行動してください。」

「分かりました。」

受付を済ませると、蓮はゲートへ向かう。

青白い光を放つ転移ゲート。

深呼吸を一つ。

そして足を踏み入れた。

視界が白く染まり、次の瞬間には見慣れた第一ゲヘナの森へと立っていた。

「さて……。」

周囲を見回す。

木々の隙間から差し込む淡い光。

遠くで鳥のような魔物の鳴き声が聞こえる。

初めて来た時とは違い、不思議と落ち着いていた。

「まずは地図どおりに巡回だ。」

蓮はゆっくり歩き始める。

三十分後。

特に異常はなかった。

途中でスライムを二体、ホーンラビットを一体討伐した程度。

どれも苦戦する相手ではない。

「この辺りは本当に平和なんだな。」

そう呟いた、その時だった。

ガサッ。

近くの茂みが揺れる。

蓮は反射的に剣へ手を掛けた。

現れたのは二匹のゴブリン。

「ギギッ!」

木の棒を振り回しながら突進してくる。

「はっ!」

蓮は横へ一歩踏み込み、一匹目の攻撃をかわす。

その勢いのまま剣を振るう。

一閃。

ゴブリンはその場で粒子となって消えた。

残る一匹も慌てて飛びかかる。

しかし蓮は冷静だった。

剣を最小限だけ動かし、相手の攻撃を受け流す。

そして返す刃で一撃。

戦闘は十秒も掛からなかった。

「これなら問題ないな。」

協会で教わった通り、周囲の安全を確認してから討伐記録を端末へ入力する。

初依頼だからこそ、基本を丁寧に守る。

それが蓮なりの考えだった。

さらに森の奥へ進む。

依頼区域も残り半分ほどになった頃だった。

「……ん?」

地面に大きな足跡を見つける。

ゴブリンではない。

ホーンウルフよりも少し大きい。

「これは……。」

しゃがみ込み、慎重に確認する。

まだ新しい。

数時間以内についた跡だろう。

依頼書には記載されていない種類の魔物かもしれない。

「念のため確認だけしておこう。」

足跡を追って森を進む。

しばらく歩くと、木々が開けた小さな広場へ出た。

その中央には、一頭の灰色の狼型魔物が横たわっていた。

体長は一メートルほど。

胸には深い傷。

既に息絶えている。

「倒されてる……?」

蓮は警戒を解かない。

周囲には戦闘の跡が残っていた。

折れた木。

抉れた地面。

戦闘後が見られた。

「他の探索者かな。」

そう考えた時だった。

森の奥から、かすかに金属音が聞こえた。

キィン――。

誰かが武器を交えている音。

「まだ戦ってる?」

蓮は表情を引き締める。

助けが必要なら向かわなければならない。

だが、状況も分からず飛び込むのは危険だ。

慎重に音のする方へ近付いていく。

木の陰からそっと覗くと。

そこには、一人の少女がいた。

銀色の長い髪。

見覚えのある後ろ姿。

「……一条さん?」

思わず小さく呟く。

その瞬間だった。

少女は一瞬で魔物との間合いを詰める。

鋭い一刺。

大型のゴブリンが悲鳴を上げる間もなく光の粒となって消えた。

その動きは、美しく、そして無駄が一切ない。

蓮は息をのむ。

(学校にいる時と……全然違う。)

普段の穏やかな笑顔はなく、探索者として研ぎ澄まされた表情。

それはまるで、長年戦場に立ち続けてきた者のようだった。

戦闘を終えた一条は、小さく息をつく。

そしてゆっくりとこちらへ視線を向ける。

「……見つかっちゃった。」

困ったように笑うその表情は、再び学校で見せる優しい一条恵へと戻っていた。

「蓮君。」

「こんなところで会うなんて、蓮君も依頼…?かな?」

誤字脱字等御座いましたら指摘お願いします!

続きが気になる!面白い!と思ってくださったら評価お願いします。励みになりますm(_ _)m

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