変わりゆく日常
もしかしたらちょくちょく短めの投稿が一定期間増えるかもです。更新頻度は頑張って4話目指します!
前回のおさらい
銀髪の少女、一条恵と出会う。
その夜。
蓮は自宅のベッドに寝転びながら、昼間の出来事を思い返していた。
「トップクランからの勧誘……。」
《フェンリル》《ヴァルハラ》《オリオン》《白銀騎士団》
どれもニュースやネットで何度も目にしたことのある超一流クランだ。
そんな組織が、自分を欲しがっている。
今でも夢ではないかと思ってしまう。
「それに……。」
蓮は天井を見つめる。
「一条さん……か。」
突然現れた銀髪の少女。
年齢はそう変わらないはずなのに、どこか大人びた雰囲気を纏っていた。
あの赤い瞳。
どこか全てを見透かしているような笑み。
そして最後に残した言葉。
『今度、一緒に第二ゲヘナへ行こう?』
「……普通、初対面でそんな誘いするか?」
苦笑しながら呟く。
だが、不思議と嫌な印象はなかった。
むしろ……。
「また会う気がする。」
そう思えた。
◇◇◇
翌朝。
学校へ入った瞬間だった。
「神代!」
「おはよう!」
真っ先に声を掛けてきたのは翔太だった。
その隣には夏鈴もいる。
「昨日の探索者掲示板みたぞ!」
「もう学校中で話題になってるよ!」
蓮は苦笑した。
実力測定の結果は協会のみならず、ネットにも掲載される
「もう広まってるのか。」
「当たり前だろ!」
翔太が肩を叩く。
「探索者協会からトップクランが集まったって噂だぞ!」
「すげぇよお前!」
「いや……。」
蓮は曖昧に笑うしかなかった。
すると教室のあちこちから視線が集まる。
「神代君って本当にブラックホーンウルフ倒した人?」
「かっこいい……。」
「今度サインください!」
昨日までとはまるで違う。
一夜にして学校中の有名人になっていた。
「……居心地悪いな。」
蓮が小さく呟くと、夏鈴が笑った。
「有名人も大変だね。」
その時だった。
ガラッ。
教室の扉が開く。
担任教師が入ってくる。
「みんな席につけ。」
教室が静かになる。
「今日は転校生を紹介する。」
その一言に教室がざわつく。
「この時期に?」
「珍しいな。」
教師は廊下へ向かって声を掛けた。
「入ってきなさい。」
ゆっくりと教室へ姿を現した少女を見て、蓮の目が大きく見開かれる。
「なっ……!」
銀色の長い髪。
透き通るような白い肌。
見覚えのある紅い瞳。
昨日出会ったばかりの少女だった。
少女は教壇へ立つと、小さく微笑む。
「初めまして。」
「一条恵です。今日からよろしくお願いします。」
教室中から歓声が上がる。
「めちゃくちゃ美人!」
「モデルさんみたい!」
男子も女子も釘付けだった。
そんな中。
一条はゆっくりと教室を見回す。
そして、蓮と目が合った。
にこり。
昨日と同じ意味深な笑顔。
(まさか……。)
嫌な予感しかしない。
「先生。」
一条が静かに言う。
「席はどこですか?」
教師は教室を見回り、一つだけ空いている席を指差した。
「神代の隣だ。」
教室中からどよめきが起こる。
「えぇぇぇ!?」
翔太が勢いよく振り返る。
「お前、運良すぎるだろ!」
夏鈴も驚いた表情を浮かべている。
一方の蓮は固まっていた。
一条はゆっくりと歩いてくる。
蓮の隣まで来ると、小さな声で囁いた。
「また会えたね。蓮君。」
「…………。」
「これからよろしく。」
そう言って自然に席へ腰掛ける。
教師の話が始まる中、蓮だけは全く耳に入らなかった。
(なんで転校してきたんだ……。)
昨日の偶然の出会い。
そして今日の転校。
偶然にしては出来過ぎている。
窓の外では、青空を白い雲がゆっくり流れていた。
蓮はまだ知らない。
この転校生との出会いが、自身の探索者としての運命を大きく変えていくことになるとは──。
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