実力測定#3
前回のおさらい
明らかに新人の能力値じゃありませんでした。
身体能力測定を終えた新人たちは、次の会場へ案内された。
そこは、直径十メートルほどの白い部屋だった。
壁や床一面に魔法陣が刻まれ、中央には透明な水晶柱が設置されている。
「こちらが魔力量測定室です。」
担当職員が説明を始めた。
「この水晶に手を触れ、魔力を流してください。」
「測定結果はAからEまでの五段階で表示されます。」
「なお、規格外の魔力量を感知した場合のみ『S』と表示されますが──」
職員は苦笑した。
「この表示が出た例は、国内でも数えるほどしかありません。」
新人たちからどよめきが起こる。
「Sか……。」
「見てみたいな。」
「まあ無理だろ。」
蓮も話を聞きながら、自分の番を待った。
(魔力なんて意識したことないな……。)
《魔法盾》を発動するときも、自然と使えてしまう。
だから、自分の魔力量がどの程度なのか全く分からなかった。
測定は順調に進む。
「Aランク。」
「Cランク。」
「Bランク。」
新人ではBが出れば優秀。
Aが出る者は数人しかいなかった。
「次、神代蓮さん。」
蓮が前へ出る。
「手を置いて、ゆっくり魔力を流してください。」
「はい。」
水晶へ右手を添える。
目を閉じ、意識を集中した。
すると、水晶が淡く光り始める。
光は徐々に強くなっていく。
「お……?」
測定員が画面を見る。
数値が勢いよく上昇していた。
「まだ上がる……。」
5秒後。
水晶は眩いほどの輝きを放った。
ピーーーーーッ!!
突然、警報音が鳴り響く。
「なっ!?」
「停止!」
職員たちが慌ただしく動き出す。
蓮は慌てて手を離した。
「すみません!」
「い、いえ!」
測定員は急いで端末を確認する。
画面には一つの表示だけが残っていた。
《測定上限に達しました》
「測定不能……?」
周囲がざわつく。
責任者も画面を見て眉をひそめた。
「機器の故障か?」
「確認します!」
別の職員が予備の測定器を起動する。
十分後、再測定。
「神代さん、もう一度お願いします。」
「はい。」
再び手を置く。
今度は少しだけ魔力を抑えるよう意識した。
しかし……。
ピーーーーーッ!!
また同じ警報が鳴った。
画面には再び、
《測定上限に達しました》
責任者は静かに息を吐く。
「……装置の限界です。」
「現行の新人用測定器では数値化できません。」
新人たちは騒然としていた。
「測定不能って何だよ……。」
「そんなことあるのか?」
「初めて聞いたぞ。」
蓮本人も困惑していた。
「すみません……。」
責任者は苦笑しながら首を振る。
「神代さんが謝ることではありません。」
「協会でも初めてのケースです。」
見学席。
Sレートクランの幹部たちも、さすがにざわついていた。
「身体能力だけじゃない。」
「魔力量まで規格外か。」
「本当にEレートなのか?」
一人の女性クランマスターが静かに言う。
「いいえ。」
「Eレートだったんじゃない。Eレートにされてしまったのよ。ルールによってね…。」
その言葉に、誰も反論できなかった。
ブラックホーンウルフ討伐。
異常な身体能力。
測定不能の魔力量。
ここまで揃えば、2つの結論しかない。
「元から規格外だったのか、ブラックホーンウルフとの戦闘を経て覚醒したか……。」
誰かがそう呟いた。
しかし、その答えを知る者はまだいない。
「これより最後の測定を行います。」
館内放送が流れる。
「スキル適性測定です。」
蓮は小さく息を吐いた。
(いよいよか。)
《魔法盾》。
自分でも、その全貌はまだ分かっていない。
蓮は静かに最後の測定会場へ向かう。
そして、この測定によって、協会が長年蓄積してきた「スキルの常識」が覆されることになる。
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