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退院と評価

前回のおさらい

目を覚まし報酬金額に度肝を抜かれる。

翌朝。

窓から差し込む朝日で、蓮はゆっくりと目を覚ました。

昨日まで全身を襲っていた痛みはほとんど消えている。

「治癒魔法って、本当にすごいな……。」

身体を動かしてみても違和感はない。

骨折していたとは思えないほど回復していた。

コンコン、と病室のドアが叩かれる。

「失礼します。」

昨日の若い職員が入ってきた。

「神代さん、お加減はいかがですか?」

「もう普通に動けます。」

「それなら安心しました。」

職員は一枚の封筒を机へ置く。

「こちらが正式な討伐証明書と、特殊個体討伐認定証になります。」

蓮は封筒を受け取り、中を確認した。

そこには探索者協会の印が押された証明書が入っている。


討伐対象:ブラックホーンウルフ(特殊個体)

討伐者:神代蓮

討伐形態:単独討伐ソロ


その文字を見て、改めて実感が湧いてきた。

(本当に倒したんだな。)

「それと、報酬はすでに探索者口座へ振り込まれています。」

「もうですか?」

「はい。確認されますか?」

「お願いします。」

職員から端末を受け取り、探索者専用アプリを開く。

表示された残高を見て、蓮は思わず息を呑んだ。


残高 5,283,640円


「……。」

昨日までただの高校生だった自分の口座に、五百万円以上が入っている。

どこか現実味がなかった。

「探索者は実力次第で人生が変わります。」

職員は静かに言う。

「ですが、それ以上に命を懸ける仕事です。」

「はい。」

蓮は真剣な表情で頷いた。

ブラックホーンウルフとの戦いを思い出せば、その言葉の重みは嫌というほど分かる。

あと少し判断が遅れていたら、自分はここにはいなかった。

「本日は退院可能です。」

「ありがとうございます。」

「ただし、一週間は無理な探索は禁止です。」

「……一週間ですか。」

思わず苦笑する。

早く《魔法盾(アイギス)》を試したい気持ちがあった。

「約束ですよ。」

「分かりました。」

職員が部屋を出ると、入れ替わるように佐伯が姿を現した。

「退院だってな。」

「はい。」

「送っていくよ。」

「え? そんな悪いですよ。」

「気にするな。」

佐伯は笑いながら蓮の荷物を持つ。

「それに、お前と少し話もしたかった。」

病院を出ると、朝の空気が心地よかった。

二人は管理施設の駐車場へ向かって歩く。

「神代。」

「はい。」

「お前、クランに入る気はあるか?」

突然の質問だった。

「まだ考えたこともありません。」

「そうか。」

佐伯は少し安心したように笑う。

「実は昨日の夜だけで、お前の討伐記録を見たクランがかなり動いてる。」

「そんなにですか?」

「ああ。」

佐伯は指を折りながら数え始めた。

「《フェンリル》《ヴァルハラ》「《オリオン》」

どれもテレビで何度も聞いたことのある、日本を代表する有名クランだった。

「もちろん、お前が特殊個体を倒したって事実だけだから、まだ正式なスカウトじゃない。」

「でも興味は持たれてる。」

蓮は驚きを隠せなかった。

(そんな有名クランが……。)

「焦って決める必要はない。」

佐伯は真剣な表情になる。

「探索者は強ければいい世界じゃない。」

「誰と組むかで、生きるか死ぬかが決まる。」

その言葉には重みがあった。

何度も死線を越えてきた者だけが持つ説得力。

「ありがとうございます。」

蓮は素直に頭を下げた。

「俺は、まだ強くなりたいです。」

「まずはそれでいい。」

佐伯は満足そうに笑う。

「SSSを目指すなら、なおさらな。」

蓮は思わず目を見開いた。

「どうして、それを……。」

「顔に書いてある。」

佐伯は豪快に笑った。

「もっと上へ行きたいってな。」

その言葉に、蓮も思わず笑ってしまう。

「はい。」

「俺はSSSレート探索者になります。」

迷いのない声だった。

佐伯はその瞳を見つめ、小さく頷く。

「その目なら、本当に届くかもしれんな。」

二人は管理施設の出口まで歩いていく。


その頃――。

探索者協会本部では、一枚の資料が幹部たちの前に置かれていた。

表紙には大きくこう書かれている。


【要注目新人探索者】


神代蓮 十八歳 Eレート

スキル:現時点で不明


そして、その下には赤字で一文だけ記されていた。

特殊個体ブラックホーンウルフを単独討伐

誤字脱字等御座いましたら指摘お願いします!

続きが気になる!面白い!と思ってくださったら評価お願いします。励みになりますm(_ _)m

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