第30.5話:バザルタ屋台・決算報告書
営業が終わった深夜。
修也の屋台のカウンターには、羊皮紙とそろばん代わりの計算器、そして山のように積まれた銅貨と銀貨が広がっていた。
向かいに座るマルクが、手元の帳簿を指でなぞりながら、興奮を抑えきれない様子で声を震わせる。
「シュウヤ殿……今月の最終収支が出ました。恐ろしい数字です……!」
隣で仕込みの後片付けをしていたカイも、ゴクリと唾を呑み込んで二人の手元を覗き込んだ。
【佐藤修也屋台・月間収支決算】
※月26日営業(金曜4日+平日22日稼働 / 週1日定休)
※通貨換算:銅貨1枚=100円 / 大銅貨1枚=1,000円 / 銀貨1枚=10,000円
【売上(収入)】
金曜限定『海軍カレー&焼き鳥セット』(単価500円 / 月4回)
1日300食 × 4日 = 約600,000円(銀貨60枚分)
平日『焼き鳥単体&特製タレ焼き鳥丼』(丼300円、串1本30円 / 月22日稼働)
1日平均売上 約25,000円 × 22日 = 約550,000円(銀貨55枚分)
【総売上】:約1,150,000円(銀貨115枚相当)
【経費(支出)】
食材仕入れ費(鶏肉、米、野菜等):約300,000円
人件費(カイの日給)(日給8,000円 × 月26日):約208,000円
レオンハルト商会・特別ロイヤリティ(売上の約20%+手厚い協力報酬):約230,000円(銀貨23枚分)
屋台維持・備品・炭代:約32,000円
調味料仕入れ費(※【チート生成】のため実質ゼロ):0円
【総経費】:約770,000円
【差し引き純利益】:約380,000円(銀貨38枚)
「ま、マルクさんへのロイヤリティが銀貨23枚(23万円)……!? そしてカイの給料が20万円越え……!?」
数字を見たカイが目を丸くする。
マルクも思わず身を乗り出した。
「シュウヤ殿、いくらなんでも商会へのロイヤリティが多すぎます! 私は仕入れの手配と管理の手伝いをした程度で……!」
「いいえ、マルクさん。公爵家とのパイプや、怪しい仕入れ妨害(鹿亭)の情報をいち早く掴んでくれたのは商会のおかげです。それに、これから始まる『新食材の調達』や『将来のFC卸売り』には、レオンハルト商会という最強のパートナーが必要なんです。これは今後の投資ですよ」
修也がニヤリと笑うと、マルクは胸を打たれたように深く感銘を受け、力強く頷いた。
「……分かりました。そこまで買っていただいているなら、我がレオンハルト商会、全力を挙げてシュウヤ殿の『次の野望』をバックアップいたします!」
カイの給料もしっかり20万円オーバーとなり、マルクへのロイヤリティも手厚くしたことで、チームの結束力は最高潮に達した。
手元に残る純利益約38万円も、新食材の買い付け資金としては十分すぎる額だ。
「よし。資金も絆も完璧だ。……明日からはバザルタの市場へ繰り出すぞ!」




