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『【毎日更新】異世界転移した元社畜、無限の調味料チートと屋台飯で第二の人生を味わい尽くす』  作者: ヤミラミ


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第29話:公爵邸の試食会

バザルタの街を治める公爵家の邸宅。

その豪華絢爛な食堂に、重厚な炭火の香ばしい匂いと、甘辛いタレの濃厚な香りが広がっていた。


「……ふむ。これがシュウヤ殿の新しいメニューか」


重々しい声でそう呟いたのは、バザルタの領主である公爵本人だった。

隣には、目を輝かせている公爵令嬢のエリス、そして護衛剣士や執事たちが固唾をのんで見守っている。


修也は公爵家に招かれ、近況報告とあわせて平日の新メニュー『特製タレ焼き鳥丼』の試食会を行っていた。持ち込んだ七輪で肉を炙り、出来立ての丼を差し出す。


「はい。金曜日の海軍カレー(約500円)に続き、平日に働く庶民や冒険者が大銅貨1枚(約1,000円)で大満足できる『日常のファストフード』として開発しました。店頭価格は銅貨3枚(約300円)です」


「ど、銅貨3枚……!? このようなご馳走が、パン3個分の値段だと……?」


驚く公爵をよそに、エリスが上品にスプーン(と箸)を取り、パクリと口に運んだ。


「〜〜〜〜っ! 美味しい……! 炭火の芳醇な香りとジューシーなお肉、そしてこの甘辛いタレが白米に絡んで……手が止まりませんわ……!」


公爵も一口頬張ると、その圧倒的な美味さと「白米との相性の良さ」に目を丸くした。


「美味い……! 豪快でありながら、タレの深みが尋常ではない。これで300円とは……街の労働者が夢中になるのも頷けるな」


「ありがとうございます。仕入れ妨害を仕掛けて自滅した『黄金の鹿亭』の件もありましたが、うちの店が平日の食事と金曜のルーティンを支えることで、バザルタの活気は以前にも増して上がっています」


「うむ。報告は受けているよ。シュウヤ殿のおかげで東通りの治安も安定し、冒険者や職人たちの士気も上がっている。領主として感謝する」


公爵は満足そうに頷くと、修也の隣で緊張でカチコチになっている青年に視線を向けた。


「そちらの青年は?」


「新しく雇った見習いのカイです。元は『鹿亭』で下働きをしていた料理人ですが、筋が良く、今やうちの貴重な戦力です」


「カ、カイと申します! シュウヤ師匠のもとで、本物の料理と仕事の姿勢を学ばせていただいております!」


カイが深々と頭を下げると、エリスが優しく微笑んだ。


「素晴らしい師匠に出会えて良かったですね。シュウヤさん、あなたはこのバザルタになくてはならない存在になりつつありますわ」


公爵邸での近況報告と試食会は大成功に終わり、修也は領主一族との絆と信頼をより強固なものとした。


――そして、公爵邸からの帰り道。


「師匠……公爵様やエリス様にまで認められるなんて、俺、本当にすごいお店で働けてるんですね……!」


興奮冷めやらぬカイに、修也は穏やかに微笑みかけた。


「ああ。バザルタでの足場はこれで完璧に固まった。……だがなカイ、うちの噂はもう、バザルタの中だけにとどまらなくなってきているらしい」


「え……? どういうことです?」


修也は、マルクから事前に聞いていた「明日、隣町から大物商人が視察に来る」という情報を思い浮かべ、夜の街を見つめた。


バザルタの領主すらも味方につけ、完璧な土台を築いた修也の屋台。

その評判は、いよいよ「街の外の世界」を引き寄せようとしていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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