第13.5話:ビール導入後の二日間収支と、冷え冷えの費用対効果
怒涛の二日間が過ぎた。
「冷え冷えの麦酒」と「砂肝の塩焼き」という、前世の居酒屋では鉄板だった黄金コンビは、異世界のバザルタでも凄まじい破壊力を見せた。
夜、宿に戻った俺は、心地よい疲労感に包まれながら収支ノートを開いた。
今回は高価な「純銅製ジョッキ」の購入という大きな先行投資があったため、その経費と二日間の爆発的な売上を正確に計算し、今後のキャッシュフローを把握しておく必要がある。
【純銅製ジョッキの初期投資(経費)】
支出:大銅貨30枚(約3万円相当)
内訳:専門の鍛冶屋街で、熱伝導率の高い純銅製ジョッキを30個一括購入。
※金貨から崩した大銅貨で支払い。これは一過性の「設備投資費(減価償却資産)」とする。
【直近二日間の営業結果(大繁盛)】
売上:大銅貨58枚、銅貨80枚(約6万6,000円相当)
内訳(1日あたり平均):
焼き鳥各種(ねぎま・レバー・砂肝・バラ串など合計120本前後):約1万8,000円
冷え冷え麦酒(1杯・大銅貨1枚/約1,000円、計15杯前後):約1万5,000円
※ビール導入により客単価が「串2本(600円)」から「ビール+串3本(1,900円)」へと約3倍に跳ね上がる。
【第13.5話時点:シュウヤの総資産】
現金手元:金貨1枚、大銅貨41枚、銅貨110枚(約25万2,000円相当)
内訳:手持ちの金貨2枚(20万円)のうち、1枚を両替。ジョッキ代(3万円)を差し引き、二日間の売上(約6万6,000円)と、これまでの手元資金(約1万6,000円)を合算。
権利資産:ヴァルハイト商会・商業ギルド「公式ゴールドプロテクション(後ろ盾)」
【現在の総材料・在庫状況】
肉類
ホーンチキン(モモ・挽き肉): 残り約0.5日分(※明日、市場のルートから追加配送予定)
ホーンチキンのレバー・砂肝: 完全完売(※特に砂肝は二日間で一歩も残らず売り切れ!)
オークのバラ肉: 完売(※追加仕入れの必要あり)
野菜類
ルークねぎ・グリーンペッパー: 完売(※明日の朝一番で仕入れ)
お酒
エールの樽: 残り1/4樽(※仕入れた1樽がわずか二日でほぼ底をつく。明日2樽追加発注決定)
「よし……! ジョッキの購入費3万円をガッツリ引いたのに、二日間の売上が良すぎて、手元の総資産は減るどころか増えてるな」
元サラリーマンの直感として、このキャッシュの回転率は驚異的だ。
ビールという「原価に対して利益率が極めて高い商品(液体)」をメニューに組み込めたことで、屋台全体の収益構造が劇的に改善された。
ただ、問題は材料の消費スピードだ。
あまりの売れ行きに、ホーンチキンの希少部位(レバー・砂肝)やオーク肉、そしてビールの樽が完全に追いついていない。
「明日からは、公爵家の後ろ盾をフルに使って、仕入れの規模を一段階引き上げる必要がありそうだな……!」
俺はインクの乾いたノートを閉じ、心地よい達成感とともにベッドに潜り込んだ。
資金は潤沢、後ろ盾も完璧。次は、この爆発する需要に応えるための「仕入れルートの拡大」へ動く時だ。




