表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/16

第六話「山道」

簡雍のおっちゃんは旅の間、

旗揚げの頃からの父との話を

よく話してくれた。


「徐州の陶謙とこに行った時はヨォ、

国譲が泣きながら俺んとこに来てサァ。」

「大将が鞭でビシバシ叩きやがって、

俺と益徳で止めたもんだぜ。

あん時ァビビったぜ。」

「おめぇさんが赤ん坊の時に

子龍が抱っこしながら大立ち振舞いよ。」


こんな感じで武勇伝を肴に昼間から酒を飲んでる。

本当にすぐそばに居たんだなこのおっちゃん。

三国志の物語的にはそんな有名人ではない。

でも実は劉備軍の縁の下の力持ちだったのかもしれない。

ノンベェで和ませお笑い担当の貴重な存在だとわかった。


費詩先生が教科書通りの授業。

簡雍のおっちゃんは実践編と経験談。

2人の先生から聞いて解った事がある。

この時代は他国の情報が極端に少なすぎる。

スマホやネットが無いから当然と言えば当然である。

漫画やゲーム、小説、動画での知識しかない俺の方が詳しい。

曹操軍や孫権軍の武将の名前は特にそうだ。

新聞もなければ、天気予報もない。

地図もだいぶ曖昧な物しかないらしい。

こりゃ大変な時代だ。

おっちゃんの話によると、

孔明にはお抱えの諜報部隊がいるらしい。

詳細は分からないと言う。

隠密に動く忍者みたいな物かな。

さすが知力100の孔明だ。

羨ましい。

ボタンひとつで全体マップや、

武将一覧なんてゲームの便利機能がない。

俺にも諜報部隊が欲しい。

そんな事を考えながら山道を進んでいた。



始まりは突然の事だった。


「ぐっ!!」


先頭の兵士の声だ。

山中で襲撃を受けた。

山賊か!?

有り金全部置いてきな!

みたいな漫画みたいなセリフも無しに

いきなり殺しにきた。


この時代ならば無言で不意打ちは

当然のことなのか。

おっちゃんの動きは早かった。

盾を構えて俺を守りにきた。

紹先も剣を構えた。

護衛の兵士が応戦してる。

山賊は奇声をあげてる。


「ヒャッハー!!」

「オラオラオラ!!!」

「でりゃあああああ!」


やたらと野蛮な声で威嚇しながら3人の山賊は襲ってきた。

おっちゃんは辺りを見ながら俺たちを

大きな木の下に誘導した。


「紹先、この場合は盾だ。」

「はい!」


剣から盾に持ち替えた。


「いいかよく聞け、

戦で死ぬのはほとんどが弓矢だ。

武器持って正面で戦えば、

一対一なら怪我はするが命は落とさない。

死ぬのは逃げて背中向けた時か、

弓矢だ。

怖いのはいつだって弓だ。

戦も山賊も一緒だ。

必ず弓矢がいる。

奴らはワザと大声をあげて目立とうとしてる。

弓隊を隠すためにな。

盾から胸と顔は出すなよ。」


ガツン!!

その瞬間、

紹先の盾に弓が当たった。

ヤバいやばい。

紹先の盾がなかったら確実に当たってた。

剣を持った山賊の1人がこちらに突っ込んできた。

おっちゃんの前に来た。

やばいおっちゃんは戦闘は空っきしのはず。


ブシュ!


不意に山賊の横から弓矢が飛んできて見事に腹に命中。

倒れたところをおっちゃんが剣でとどめを刺した。

他の山賊も護衛の兵士が倒した。

どうやら初めての戦闘は終了した。


ふぅぅぅぅ。

助かったぁ〜。

怖かったぁ。

そうか、こちらの兵士にも弓隊が

距離を置いて隠れていたのか。

俺はビッショリと冷や汗をかいていた。


「紹先、ありがとう。助かったよ」

「ご無事でなによりです」


しっかりとした返答だった。

しかしよく見ると紹先の手も震えていた。

そりゃ12歳の小6じゃ当然の反応だよな。


最初の襲撃で護衛の1人が怪我をした。

それ以外の9人は無傷だった。

相手は5人の山賊。

そのうち弓矢が2人いたが、

全員処分した。

こちらは訓練された兵士だったので対応が早かった。


ひと段落すると

おっちゃんは紹先を労った。


「紹先、良い働きだったぞ。

戦では大将を落としたもん勝ちだ。

お前は絶対に謙信を守れ。

攻めよりもまず守りだ。

お前の大将は謙信だ。

大将さえやられなきゃこっちの勝ちだ。

どんなに数で有利だろうと、

大将がやられちゃおしまいだ。」

「はい!肝に銘じます。」


山賊襲撃以来、

紹先はおっちゃんに色々と戦闘での立ち回りを質問している。

やはりおっちゃんの経験値がすごい。紹先は兵士にも質問して、

訓練をつけて貰ってるみたいだ。


やはりこの時代は危険がつきものだ。

俺も紹先を見習わないと。

体力をつけておかないと

いざという時に逃げられない。


おっちゃんは戦闘以外は

昼寝してるか酒を飲んでる。

今も紹先と兵士の訓練を

見ながら酒を飲んでる。

まったく、ブレないなぁこの人は。


「大将、

アイツは強くなるぜ。」

「ああ、あの姿勢を尊敬する。」

「親父に追いつこうと真っ直ぐだ。

色んな人間を見てきた。

真っ直ぐな馬鹿は、

グイグイ伸びる。

ああいう奴を手離しちゃならねぇ。」

「わかってる。」


俺も紹先の訓練に

入れてもらった。


関羽救出作戦には

体力も付けておいて損は無いはずだ。



第七話 墓参り つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ