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第二十話「胸」

翌日に俺は1人で

徐庶先生に会いにきた。


「来ると思っていましたよ。謙信殿」

「はい。

どうしても徐庶先生を

仲間に入れたいのです」

「昨日は商人との繋がりを見せて

私と家族の脱出経路の

安全性を示した」

「はい。

家族を大切にする徐庶先生の

一番心配される点だと思いまして」

「そして関将軍の娘も同伴し、

荊州での信頼関係も示した」

「はい。

関羽は地元の名士や知識人に

厳しく対応する場合もあります。

孫権に対して

キツく当たってしまう事もあります。

しかし

一度胸を開いて

義侠の輪に入れば

これ程頼もしい武人です」

「そうですね。

関将軍とは

私も最初苦労しました。

懐かしい……。

しかし義侠心のあつい謙信殿。

あなたは胸に何か

潜ませてはいませんか?」


「え??」

………


「貴方は初日にいくつか

失言をしていました。

一つに

『この時代では情報が大事』

と言ってました。」


ヤバいヤバい。


「まるでこの時代では

無い時代を知ってるような言葉選びです。

普通は使いません。

他にも13歳とは思えない言動。

曹丕様や司馬懿についても

何故かご存知の様子。

違和感と言いますか、

腑に落ちない点がいくつかあります」


誤魔化すか。

…。

いや、

これはもう隠しきれない。

そして誠実でなくなる。


「徐庶先生の言う通りです。

私も胸に含む事を持っては

信頼してくれと言っても

説得力がありませんね」


俺も正直に話して

誠意を見せなければ人を動かせない。

覚悟を決めよう。

どんな反応をされるかはわからない。


「徐庶先生。

他人に打ち明けるのは初めてになるので、

どこまで信用してもらえるか解りません。

聞いてくれますか?」


「はい。聞かせてください」


俺は正直に全部を話した。

漢中王即位の式典で劉禅に転生した事

三国志の結末を知っている事

樊城の戦いの流れを知ってる事

孔明にも手紙で伝えた事

関羽を救出して、

蜀の未来を変える為に動いてる事。

……

………

徐庶は最後まで静かに聞いてくれた。


「いくつか質問しても宜しいでしょうか?」

「もちろんです。

何でも聞いてください」


「樊城に于禁と龐徳の援軍が来る事を知っていた。

それを1ヶ月前に孔明へ知らせてたんですね?」

「はい。

手紙で樊城の戦いの流れを送りました」

「于禁と龐徳に遠具の命令が出されたのは3日前です。

謙信殿の話は驚愕でしたが、

信じるに値しますね」

「ありがとうございます」


「もう一つ質問です。

天下は曹操様ではなく、

曹丕様が統一されるのですか?」

「たしか曹操は関羽の首を見た後、

正月過ぎに病死しました。

曹丕ではなく司馬懿の一族が統一しました」


「司馬懿が……

ですか…

なるほど……

あり得ます…

………

それは嫌ですねぇ……」

「司馬懿の孫が曹魏を倒して

統一したけど、

すぐにまた戦乱の時代になってました」

「この三国に勝者はいないと?」

「はい」

「未来の話を聞くのは危険ですね」

「はい。

悪夢で見た事にしてますが、

あまり他言しないようにします」

「恐らく孔明も気づいているでしょう。

謙信殿が以前の阿斗様と違う点に」

「そうかもしれません」

「玄徳殿もあるいは」

「たしかに」

「次にお会いした時に

玄徳殿と孔明だけには

打ち明けてみるのも良いかもしれませんね」

「そうします」

「三国に勝者なし…。

司馬一族とその後の戦乱…。

孔明はこういった

大きな戦略的思考が得意です。

私には目の前の問題に対しての

戦術的思考しかできない」

「俺だってそうです。

関羽を救いたい。

蜀を救いたい。

英雄譚の続きが見たい。

蜀の滅亡は見たくない。

大団円の未来が見たい。

俺が選択できるのならば

全部叶えたい。

僅かでも叶えたい。

せめて

樊城だけでも勝たせたい!」

「そうですね。

面倒なのは孔明に考えさせましょう。

その時は私も同席致します」

「えっ?……

それって……」


徐庶殿は立ち上がって頭を下げた。

「謙信殿。

この徐元直

今より漢中王軍の元でお世話になりたいと思います」

「本当ですか?」

「はい。

貴方は三度、

礼を尽くしてくれました。

そして胸を開いて

正直に

話してくださいました」

「おおおおお!

あ、ありがとうございます徐庶先生。

これで関羽が!

劉玄徳も、張飛も

蜀漢もみんなみんな救えます」

「ご期待に添えるようお仕え致します。」


俺は立ち上がって

徐庶とガッチリ握手した。


「謙信殿、

いえ若君。

魏との戦に備えて

私の存在を暫くは

隠しておいた方が得策です。

樊城に勝つあたりまでの

半年間で構いません。

何か偽名を付けていただけませんか?」

「名前かぁ…」

「字だけで構いません」

字は元直だったから、

元…

信玄

上杉謙信とセットで言えば

武田信玄になるっしょ?


「シンゲンってどうだい?

玄徳を信じると書いて信玄」

「ふむ。

良いですね。

玄徳殿を信じる。

齢30にて魏に下り

42にて一度死に

玄徳殿を信じて

謙信殿の説得に応じる」

「信玄殿

こちらを選んでくれた事、

後悔させませんよ!」

「殿は不要です。

信玄と呼んでください」

「わかった。信玄」


おおおお!謙信と信玄

夢のコラボ


「私も色々と準備します。

謙信殿。

明日、この時間に

南の港に待ち合わせましょう」


「わかった信玄。

漢中王軍は歓迎いたします。

本当にありがとうございます」


これできっと

歴史は大きく変えられるかもしれない。

頼もしい軍師が仲間になった!




第二十一話 船上会議 つづく




三国志人物伝

徐庶ジョショ 字は元直ゲンチョク

42歳 生没年不詳

豫州潁川郡長社県出身

劉備の幕僚。司馬徽門下で、諸葛亮、龐統の学友。

三国志演義では新野にいた劉備に軍師として迎えられ、曹操が派遣した呂曠、呂翔の部隊を初陣で撃破。続いて来襲した曹仁と李典も、曹仁が敷いた「八門金鎖の陣」を破って退けた。その才を欲する曹操に母親を捕らえられ、偽手紙で曹操陣営に招き寄せられる。孝心が募った徐庶は偽手紙と見抜けず、曹操のためには一計も案じないと誓って劉備の下を去った。その別れ際、後任に諸葛亮を推薦する。後に徐庶の母は子の道を誤らせたと嘆き自害した。

正史では元の名は徐福。曹丕の代、御史中丞まで昇進した。

統率85.武力64.知力93.政治80.魅力81

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