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第十八話「賢人」

「よぉ!久しぶりィ!」

「そうだな。30年振りくらいか」

「アッシの事

覚えててくれたんだな。

もうそんな経つけ。

だいぶ変わったなぁ」

「そちらの商売はどうだ?

何か買おうか?」

「そりゃありがテェ。

お陰さんでよ。

ようやく大きな波に乗れそうなんだ。

そっちはどうよ」

「こちらも有難いことに順調だ。

今は彭城相として太守の補佐をしている。

母も元気だし妻子もできた。

魏王様のお陰だ。」

………

……

...

簡雍のおっちゃんは他愛もない話を続けた。

俺は従者として荷物と商品を持ち、

後ろに控えてた。

しばらくすると

相手が提案してきた。


「今日は良い天気だ。

少し歩かないか。

良い場所があるんだ。」

「応、いいぜ」


俺たちは彼の後をついて行った。

建物の外の少し登った場所に案内された。

……

………



「簡雍、もう良いぞ。

ここなら聞かれるも心配ないし、

誰にも見られない」

「ふぃいいい、助かるぜ。

30年前は会って無いぜアッシらは。

ヒャッヒャッヒャッ」

「あらかじめ言っておくが、

私は今の生活に満足してるぞ」

「そいつはいい。

充実してそうで何よりだ。

おめえさんに用があんのは

アッシじゃねぇ

こっちだ」


俺は前に出た。


「はじめまして、

で、合ってまいますか?

私の名は劉禅、字を公嗣と言います。」

「君の疑問は正しい。

私は新野で君を抱っこした事もある。

阿斗殿」

「お久しぶりです。徐庶先生」


おっちゃんはもう

俺の仕事は終わり!

って感じに

少し離れたところで

徐庶から受け取った酒を飲み始めた。

おっちゃんと俺は

偽名を使って商人として

徐庶を訪ねた。

会った瞬間に徐庶はそれを理解し

俺たちに合わせてくれた。

そして頃合いを見て

決して声が漏れない場所で

本題を聞いてくれたのだ。


「玄徳殿に言われてきたのかい?

それとも孔明か?」

「いいえ、徐庶先生。

父からは好きに道草してこいと言われたので

会いたい人に会いに来ました。」

「勧誘しても無駄ですよ。

私は既に玄徳殿に不義理をしました。

二度とお会いできません」

「あの時は

程昱と曹操の策略です。

親孝行の貴方は何も悪く無い」


207年新野にいた頃、

程昱が徐庶を劉備から

引き離そうとした策略だ。

母親に手紙を書かせて、

魏に引き入れたのだ。


「しかし選んだのは私自身です。

そしてこの選択に後悔はしていません」

「私も後悔したくないのでここにきました」

「阿斗殿

貴方が生まれた年から

12年間、魏にいます。

こちらでの生活があります。

貴方よりも小さな子供もいます」


子供に諭すように優しく語った。


「あの頃の劉備軍は家無しの放浪軍でした。

今は違います。

慢性的な人材不足ですし、

家族の安全も保証できます」

「ここの方が安定してるし、

そちらには孔明がいるではありませんか?

彼は天才です。」

「確かに孔明は天才です。

しかし貴方の策があったから、

孔明は父と会えた。

貴方が

賢者は三度頭こうべを下げて礼を尽くすべしと

助言したから実現できた」

「あの後、孔明には嫌味を言われましたけどね」

「貴方の才は孔明に匹敵する。

貴方こそが我が鳳雛だと確信してます。」


水鏡先生が諸葛亮を伏龍

龐統を鳳雛と評した。


「龐統…

惜しい人物を亡くしました。

彼も私とは段違いです。

過大評価です」

「いいえ、そんな事はありません。

私は今の貴方だから欲しいのです」

「裏切り者に、更に裏切れと?』

「その点なら大丈夫です。

劉玄徳の不思議な大徳ならば

全て許されます。

千里を超えた関羽と同様です。

徐庶殿も12年越しの変わらぬ忠義心で、

漢王室復興の為に帰ってきた!

って

美談として後世に語り継がれるでしょう」

「ふふ、たしかに。

何度も負けて降伏し

裏切ってきたにも関わらず、

不思議と玄徳殿は許される。

劉璋から益州を騙し取ったに、

徳は下がるどころか上がるばかりだ。

曹操様にとっては

この上なく邪魔者だ。」


たしかに劉玄徳は不思議すぎる。

不義理な事もたくさんしてきたのに

なぜか人気が下がらない。

乱世の奸雄からしたら面白く無いだろう。

曹操は恐らく生まれながらにしての天才多才。

軍才、料理、政治、作詞など

孫氏の兵法書までも

解りやすく翻訳して孟徳新書なんて書くくらいだ。


現代社会ならば

ギフテッドと呼ばれる天才児が

金持ち環境にも恵まれて天下人になったんだろう。

そんな天才からしたら

自分の方が仕事もできて金もあるのに

コミュ力お化けの劉備の方がモテるなんて

ムカつく存在なんだろうなぁ。


「徐庶先生にあって、

孔明に無いものが最低でも3つあります」

「何でしょう。」

「一つ目は出身です。

若い頃は

ワラジ売りの玄徳と同じく、

非常に低い身分だった。

大変な苦労をして

学問を修めた義侠の人だという事です。」

「私の過去も調べ済みという事ですか」

「はい。どうしても

連れて帰りたい侠者ですから。

孔明よりも父玄徳と歳が近い。

水魚も仲良しですが、

侠者同士はもっと気が合うはずです。

気難しい曹丕に仕えるよりも絶対にウマが合います。」

「なるほど。

確かに玄徳殿とは気が合いますね。」

「二つ目は魏で過ごした

この12年間です」

「情報だと?」

「はい。この時代はとにかく情報が大事です。

現在の劉備軍にくれば

貴方ほど魏軍に精通してる幕僚はいません。

この12年の時間が大きな力となります。

そして情報だけではありません」

「それは?」

「経験です。

劉備軍から曹操軍に降った。

難しい立ち位置から

今の彭城相の地位を得るまでに

謙虚で誠実に努力されてきた。

そんな貴方だから是非とも欲しいのです。

魏での情報と経験が豊富だからこそ

味方に引き入れたいのです」

「理にかなってる。

ちゃんとしてますね。」

「いかがですか。

一緒に来てはくれませんか?」

「いいえ。

お引き取りください。

私も仕事に戻らねばならない」


「でしたら、3つ目は明日お見せします」


第十九話 新商品 続く

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