18_【第十八話】信水の剣士と銀髪の死神
*市民公民館・本棟内
「うわっ!! エクスプロージョンのスペルか!!」
「ちがいます!! あれは、最近外国から入ってきた火薬爆弾、ダイナマイトと云う物です!!」
ちっ!! 煙がもうもうと立ち昇る室内!! ダイナマイトとやらのせいで、脆い公民館の壁には爆発風で大穴が開いている。
「けけけけ!! おれは退かせてもらう! 魔導師なんか相手にしたら俺みたいな弱者、なくす命は1ダースじゃ足りやしねえからな!!」
くっそ!! あの赤パンチの情報屋!! 我らを謀ったのか!!
「へっへっへっへ!! どうやら来たみたいだぜ。お待たせの銀髪の死神さんがよ!! トーフォルト!! お前を相手にするのは俺じゃねえ!! 銀髪の魔導銃の使い手だ!!」
そういって、煙の中に飛び込む赤毛の情報屋。いや、赤毛の敵性勢力の者!!
やがて、煙の向こうに背の高い、動きの洗練された人の影が現れ。
コツ、コツ、コツ、コツ、と。硬い靴底のブーツで石畳を踏む音が響いてきた……。
「ロッツ、下がっていろ。巻き込まれたらお前だけ死ぬぞ」
「……俺だけ弱いからっていいたんだろ?」
「そうだ」
「うるせえよシン!!」
「いいからさがっていろ!!」
そのような声が聞こえているうちに。煙が晴れて来て……!!
美しき容貌をもった、長身の銀髪の女の姿が浮かび上がってきた。
「水魔導師団第二分隊長、トーフォルト=ククルカン。貴様がそれに相違ないか?」
なにやら。何かを撃ちだせる力持っているような、妙な魔道具を構えてその女は口火を開いた。
「……いかにも。貴様は何者だ? 銀髪の女!! ただ事でない戦場を、死線を。いくつも越えて来たな貴様。その臭いは私は知っている」
「お褒めに預かったのかな? これはどうも」
「さて、どうかな?」
私はそう言って。自分で背に背負っていた、凍結の魔法が掛けられたバスタードソードである『フリーズソード』を鞘から抜いて構えた。
「下がっていろ、ファナシー。こと肉弾戦なら私かその方が動けることをお前は知っている」
「ふふ。いかにもですわね……。お励み下さい、トーフォルト分隊長!!」
*壁と屋根が吹っ飛んだ公民館本棟
「フリーズソード!! 我が魔力食って冷気の刃を出せ!!」
おおっと!! あれが音に聞く信水の剣士トーフォルトの宝剣フリーズソードか。斬り付けると、水クオリアに魔力を注ぐことによって発生する凍結魔法にって!! 斬撃と同時に相手を凍り付かせる厄介な武器!!
「……魔導弾丸開放! アンチマジックフィールドブリット!!」
はいよ、シンのセオリールーチンが始まったぜ。レジストフィールドのないシンたち銀髪の民が上位魔法から身を護る結界、アンチマジックフィールド!! 文字の浮かぶ闇の膜が。シンを包む。あの妙な膜は、内側から魔法を放つことに支障がないうえで、外部からの魔法を全て弾くという狂気の性能を持っている術だ。
「……闇眷属の厄介な術を! しかも魔道具か! 銀髪の民が用いるとは! だがな、それでは魔法は完殺できても! これは防げんぞ!!」
両手に構えたフリーズソードの、魔法エンチャントを切ったトーフォルト!! 蒼白石の剣身は切れ味と重みをもつ存在感を放ちまくっている!!
「行くぞ銀髪の死神!! 雌雄を付けようではないか!!」
うっかー!! 見栄の切り方までカッコいいぜ、このクソイケメンがぁ!!
「お行きください! トーフォルトさま!! 私は援護に参ります!!」
うおっと、後ろに控えていたトーフォルトの女副官が!! 呪文詠唱を始めやがった!!
「われ名を宣誓す!! 我が名はファナシー=シュアイナン!! 水神ナードよ、御業下し給え!! 我が望むは我が敵の動き奪う凍結の場!! 代償に捧ぐは我が魔力!! 発効せよ!! アイシクル・フィールド!!」
うっわ!! きやがったぞ、水の眷属の搦め手によく使われる、敵の足を地面に凍結させて縛り付ける水魔導四段術!! 『氷床縛結』が!!
凍り付く周囲の地面!! シンはアンチマジックフィールドで直撃は避けた物の!! 地形が凍結したので、動きに支障がでなきゃいいんだけどよぉ!!
18話 END




