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15_【第十五話】永続守護契約締結のこと!!



「ふん。お前は愚物か? アギッツ。あのような堅気の娘に。入れ込んでも見返りはない。それも分からんで。この私にそんな話を持ち掛けるとはな」


 うっわ、こえー。アギッツの旦那の店の応接間。ソファーに腰かけて、スリムシガレットを吸いながら言い放つシンの冷え冷えとした声がマジおっかねえ!!


「うるせえ!! お前は金が必要なんだろう? だったら!!」

「ああ、必要だ。銀髪の民は貧しくてな。親が子供に食わせないのが当たり前でな。私は私の幼少時以下の食生活をしている子供どもを見過ごして生きられるほど。大人ではなくてな。バカではあるが、炊き出しをしてばかりいるよ」

「だからよ!! 俺の持ちかけた取引を飲めよ!!」

「ダメだな。それはお前が損をし過ぎる」

「うるせえええ!!! 俺がいいって言っている!!」

「ふん!! お前が大金を出して。あのマーメルクとか言うお嬢さんの守護を私に依頼する。私はお前から膨大な富を得る。マーメルク嬢はそのうち何も知らずに、嫁に行き幸せになる。残るのは。お前が20数年かけて築いた富の半分を私に払って。大きな欠落を得て落胆で終わる結果だ。私はお前の友として、お前の愚行を頑として止める!!」

「……なあ、シン。おまえには、メローネの事は話したな?」

「ああ、見たこともある。私がお前と知り合った10年前。お前の伴侶になり損ねた赤毛の女だな?」

「そうだ。メローネは俺に言っていた。出ていくときにな。なんで貴方は!! 私とは幸せになれないと勝手に決めて距離をとり続けたのよ!! この臆病者!! ってよ……。俺は、あの痛恨のミスを繰り返したくないんだ……」

「……ふむ」

「ああ、わかっている。若い魅力的な娘に熱を上げる、バカな40歳の親父だってな!! でもよ、結婚とか恋人じゃなくてもいい。俺はアイツにそばにいて欲しい。健康に笑っていてほしい。それだけなんだよ、シン。俺はバカかなぁ……」

「はは、ははははは!」


 うっわ怖え。アギッツの旦那があの店員お嬢ちゃんへの真情を漏らしてうなだれてるのに。笑いやがった、シンの奴。


「とても、そうだな。例えようもなく愚かに見える選択だよアギッツ。それはな。手につかめぬ水や風に。大きな支出を向けたいと願う。バカだな?」

「……ああ」

「よし、認めたか。ならば契約を詰めようか」

「おお? 何を言っているんだシン? お前俺に説教していたじゃないか?」

「ああ、していた。効くと思ったからな。だがわかったさ、効きはしないよ説教などおまえには。恋であれば止まったかもしれんが、お前のそれは愛情だからな。処置なんてしようがないさ」


*デートルト魔道具店・門前


「ふん、確かに小切手を受け取った。4億シードルの記載、お前のサイン。これで銀髪の子供たちにどれだけ食事を与えられるか……。私からは感謝だ、アギッツ。私に対してこれほどの価値を刻んでくれたことにな」

「はは……。俺の目するところ、お前って奴はシクシスエレメントデューク並みの個体戦力を持つ戦士と言っていい。おまえこそよくその程度のはした金で動いてくれるもんだよ」

「随分買いかぶったものだな。そんな大したものではない。私は銀髪の死神と呼ばれるテロリストに過ぎんさ、この国ではな」

「……辛くは、ないのか? そのような激しい生き方を続けて……」

「辛くはないさ。やりがいも生き甲斐もある」

「人の仕事じゃねえよ、お前が自分に課している誇りはよ。おまえ、シン……」

「ふん、これも趣味のようなものさ。生存に苦戦し続けて、強くなり過ぎた哀れな女のな」

「吸うか?」


 アギッツの旦那が、シンにタバコを差し出して。少しうなだれていたシンが薄く笑った。


「貰う」

「ああ。えっと、火は……。あ、やべえ、応接室に置きっぱなしだ!!」


 あーあ。締まらねえ奴らだなあ。


「おい、旦那。それにシン。これ使いな、硫黄のマッチだ。けっこう風流な香りするぜ、擦るとな」


 はいよ、俺ことロッツさん、気が利くねえ。マッチを渡して、少し距離をとる。俺は今は吸わねえ。空機を共有してはいけないのはわかるからな。あの二人の気持ちの交流を濁しゃしねえよ。


*枯れ木森の砦亭


「シン、みてろ? 俺はお前が最近あげてくれた報酬に応えて見せるぜ。トーフォルト=ククルカン水魔導師団第二分隊長。奴の動きをバッチリつかんで。撃退するための情報を集めて来てやるからよ!!」


 さて、盗賊かつ情報屋のロッツさん。いっちょ踏ん張ってくるかね!!


                 15話  END


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