11_【第十一話】魔導弾丸に魔術を入れるんです!!
「マーメルクちゃん」
「はい。ぶすすす!!」
「自己申告?」
「がう!!」
「ああ、そうじゃなくてさ。あの応接室わかるだろ? あの部屋にコーヒー二つ頼むよ。シンと商談があるんだよな」
「ぬむ! 私を外そうというのですかあ!?」
「え? だってマーメルちゃん、シンが怖いって言っていたじゃん?」
「それとこれとは話がアザー!! 大人の階段外されてたらたまらないから!! 私にもお話聞かせてオークレー!!」
「べつにいいけどよ? んじゃ、お茶を三つ持ってきな。それから、グリーンガラスの灰皿な?」
「おっけいイエスMYターン!!」
*デートルト魔道具店応接室
「シン。ソファーに座っとけ」
「ああ、もらう。それから吸うぞ?」
「ん? ああ。そろそろマーメルクが灰皿と茶を持ってくるからよ。もうちょい待ちな」
「そうか」
さてっーと。俺のところに久々に来たこの銀髪の客。名をシンといってんな。フルネームは、シン=フォニア。そうなんだよな、うちの市の市長、リーン=フォニア侯爵とおんなじファミリーネーム。姓の一致なんてよくあることだって? いやあ、これには事情があってな。ふつう、侯爵と同じ性のものが同じ市に住むときは、改姓ってもんをしてややこしさを避けるもんだが。もしシンがリーンと血縁がなければなぁ。はは、さて。
「おまたせです!! コーヒーにシナモンかけてきました! あと、ガラスの灰皿です!! 私タバコの煙大っ嫌いです!!」
おお。自己申告の余計なもん引っ提げて、マーメルクちゃんが戻ってきた。
「はい!! てんちょー!! コーヒー!! シナモーン!!」
「おお、あんがと。へえ、いい香りに仕上げたな!」
「ぬっはっは! 天才でわすから!!」
「シンにも出してやって」
「はぁい!」
さぁて? 銀髪憎しのマジョリティ価値観を持った、マーメルクちゃんが。真意どう接するだろうかと俺が少々目を眇めて様子を見ていると?
「ようこそ、ご客人。わたくしはマーメルクと申します。このアギッツ様のお店で店員とし使っていただいている不才のものです。どうぞ今後よろしくお願いいたします。お茶を淹れてまいりました。よろしければお召しあがりください」
あ? あああ? なに? 馬鹿とか阿保とかじゃなかったん? マーメルクちゃん?! なにその完璧な挨拶の言葉は?!
シンは、なんだよ! なんだよその自然な動作は! シナモンコーヒーを優雅なしぐさで一口すすると……。
「む。いい香りだ。淹れた人間の人品が薫るようだな。良いものをいただいた、淑女殿」
てめえもなんだあ!! シン!!
「マーメルク嬢。君は煙が好きでないようだが、この珈琲の薫香にはシガレットがよく合う。わたしは喫煙を好むが……。目の前であるが、少々よろしいかな?」
「あは。どうぞ、その程度のこらえは十分いたせます。ご存分に」
「ふむ、では。一服呑ませていただく」
うむうううううううん!! シンは懐からスリムシガレットを取り出して炎魔石の小型ライターで火をつけて。落ち着いて煙を楽しみ始めた。
んじゃ、俺も吸うかね。
「くさい」
え? マーメルクちゃん? なんで突然おっかねえジト目で俺のこと睨むの?
「アギッツ様。嫌煙のものが空間をともにしている場合の喫煙のルールもご存じないのですか?」
うがっ!!? なに?
「吸うのであれば申告なさってください。くさい」
「え、だってシンは吸ってて?」
「シン様はお断りをくださいました。それに比べていいお年をなさった貴方の為し様はどうですか? くさい」
「くっ! あははははははははははははは!!」
うわっっ!! なんだ? シンが突然はじける様の笑ったぞ?!
「いやいや、お見事マーメルク嬢。もう、性格の悪い女二人で気のいい中年をいじめるのはやめにしよう。いいかな?」
「はい、給わりました。位階低き物の蛮行に腹を立てても詮無き物ですし。くさい」
こっ!! こいつらああああああ!!
「マーメルク!! お前そんな女だったのか!!」
「はい!!」
「ぎゃー!! うがっ!! それにシンもお前!! そんな顔今まで俺に見せたことなかったじゃねえか!!」
「見せていなかったからな!!」
「ががふっ!!」
「泣くな、女の怖さを見くびったお前が悪いだけだ」
「うおおおおおおおおお!!」
俺は女が怖くなった。本当にもう嫌だ!!
「それでだな。今日はだ。私がお前のところに来るということはだぞ?」
ん……。まあそうだろうな。
「魔導弾丸の補充に来たな?」
11話 END




