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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第482話 この親にしてこの子あり


 仕えているであろう龍人族の方に話を通し、ヤトさんの下へと案内してもらえることになった。

 やはり、まだ帰ったばかりということもあって、ヤトさんはエデルギウス山にいるらしい。


「何度来ても、圧巻のお城ですね。王城も凄いですが、別種の凄さを感じます」

「生命力と言いますか、力強さがありますよね。龍の壁画も息を呑みます」


 前回も似たような感想を述べたと思うんだけど、本当に城内の壁画が凄い。

 柱も龍が昇っているような造形だし、美しさと力強さが両立している。


 何度見ても飽きないエデルギウス山のお城を眺めながら、ヤトさんの自室へと案内された。

 小さい頃の映像を見せてもらった時に一度入ったことがあるけど、意外にも片付けられたシンプルなお部屋。


 ところどころヤトさんの趣味のものが散見されるけど、綺麗で過ごしやすさ重視なんだよね。

 まぁ、お付きの方やアシュロスさんが掃除をしているんだと思うけど。


「失礼します。ヤトさん、遊びに来ました」

「おお! 本当に佐藤が来たのじゃ! つい先日お別れしたばかりなのに、わらわが恋しくなったのか?」

「まぁ、なくはないですが……急用があってやってきたんです。今、ヤトさんのお父さんってエデルギウス山にいますか?」

「父に用があるのかの? 昨日はいたから、今日もいると思うのじゃ!」

「なら、ぜひお会いさせてほしいです」


 どうやらクリカラさんもいるみたい。

 話をすぐに聞くことができそうでよかった。


「もちろん構わないのじゃ! でも、父に何の用があるのじゃ?」

「実は、天使族の方とコンタクトが取りたくてですね、天使のお知り合いがいないかを聞きに来たんです」

「天使……? わらわは見たことがないのう」


 うーん、やはりヤトさんには知り合いがいないか。

 クリカラさんも知らなければ無駄足になってしまうわけだけど、直接知らなくても、知っていそうな方は知っているはず。


「クリカラさんは顔が広そうですし、お知り合いにいるかと思ってきたんですよ」

「確かに父ならおるかもな! 分かったのじゃ! わらわが父の部屋まで案内するのじゃ!」


 胸を張りながら、トンと叩いたヤトさん。

 クリカラさんはヤトさんに甘々だし、ヤトさんも一緒ならば、きっと紹介してくれるはず。


 上機嫌なヤトさんと共に、クリカラさんの部屋へとやってきた。

 ノックをすると渋い声が返ってきたのだが、ヤトさんが声を出した瞬間、声が一気に甘くなった。


「父、入ってもいいかの?」

「おおー、ヤトだったか! もちろん入っていいぞ!」


 声の感じから喜んでいるのは分かったが、部屋に入った瞬間に飛び込んできたのは、想像を超えるクリカラさんのだらしない笑顔。

 私たちが一緒だということが分からなかったようで、だらしない笑顔のまま固まり、そして徐々に赤面していった。


「な、なんで佐藤がいる! 我は聞いていないぞ!」

「急に来て、すみません。ヤトさんが案内してくれると言ってくれたので、お言葉に甘えてしまいました」

「うぬ! わらわが案内すると言ったのじゃ! 忙しかったのかの?」

「む、むぅー。別に忙しくはないが、事前に言うなりしてくれないと……」


 クリカラさんはヤトさんに強く出られないのか、ブツブツと文句を言っている。

 そんな姿が面白くて笑ってしまい、クリカラさんにキッと睨まれてしまった。


「それで、わざわざ何をしに来たんだ! 用がないってことはないだろ?」

「はい。実は、天使の方と会いたいと思っていまして、クリカラさんのご友人に天使族の方はいませんか?」

「天使? また変わったものに会いたいと言ってきたな。……いないことはないが、長いこと連絡は取っていないから、連絡がつくかは分からん!」


 おお! さすがは龍族の王様。

 天使の方に知り合いがいるみたいだ。


「会えなかったとしても構いませんので、よければコンタクトを取ってもらえませんか?」

「……めんどうくさいな。天使族は変わっておるからな! できれば、連絡は取りたくない!」

「父、佐藤の頼みはわらわの頼みなのじゃ! 断るというなら、わらわはしばらく佐藤のところへ行くのじゃ!」

「……ガーン! そ、それは困る!」


 交渉にすらなっていないと思ったし、単純にヤトさんが来たいだけだと思ったんだけど、クリカラさんには効果抜群だったみたい。

 明らかに動揺を見せているし、大正解な方法だったようだ。


「なら、天使とやらに連絡を取るのじゃ!」

「分かった! ……くっ!」


 元気よく返事をしてから、何故か私を見てまたもや睨んできたクリカラさん。

 当初はオーラも凄いし、威厳のある方だと思っていたけど、今や面白パパだなぁ。


「天使族への連絡はどうやって取るんですか? 何か秘密の連絡手段みたいなのがあるのでしょうか?」

「そんなものあるわけないだろ! ワイバーンに手紙を運ばせていたが、時間もかかるし、我自ら行ってくる」

「えっ? そんなお手数をおかけしていいんでしょうか?」

「決して佐藤のためではないのだからな!」


 本当に言葉通りなんだろうけど、ツンデレキャラみたいなセリフに思わず笑ってしまう。

 三度睨まれたものの、クリカラさんはマントを脱ぐと、部屋から出ていこうとしている。


「――んんっ! クリカラさん、本当にありがとうございます」

「ヤトが世話になっているからな。構わん」


 かっこいいセリフを残し、去っていったクリカラさんの背中に私は頭を下げる。

 話によれば一日も経たずに戻ってくるとのことなので、エデルギウス山で待たせてもらうとしよう。



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