第481話 久しぶりのエデルギウス山
ただ、ヴェレスさんが行かないとなると、天使族たちが来るんだもんね。
どう動くのが正解なのか分からないけど、私が話を聞きに行くのはなしなのだろうか?
「危険な場所に一人で赴かせるわけにはいきません。ヴェレスは既に私たちの仲間ですからね。それで提案があるのですが、私が天使族のもとへ赴くのは駄目なのでしょうか?」
「佐藤様がですか? ……それは危険すぎます。偵察で私と一緒にいることを知っていると思いますので」
「だとしても、天使ならば一般人にはすぐ攻撃してこないんじゃないでしょうか? 話をするという点では、私が行った方がいいと思うんですけど」
天使といえば、神に仕えているというイメージがある。
この世界ではどうなのか分からないけど、丸腰の相手をすぐに攻撃してくることはないと思ってるんだけど。
「確かに、基本的には攻撃をしてくることはありません。ただし、私が絡んでいるとなれば話は別です。向こうも警戒をしていると思いますので、佐藤様がいきなり攻撃される可能性は少なからずあるかと」
話を聞く前に攻撃されるのは嫌だなぁ。
私は戦闘能力がないに等しいし、殺すつもりで攻撃されたらほぼ確実に死んでしまう。
だからといって、ヴェレスさんに行かせるのもやっぱり違うからね。
「それは困ります。誰か、天使と知り合いの方っていないんですかね? そもそも天使ってどこで暮らしているんですか?」
「天界と呼ばれる空島です。異世界には空島はないのですか?」
「ありませんね。ただ、物語の中には登場するので、どういったものかの想像はつきます」
海賊漫画にも登場するし、何かしらの原因で浮いている島ってことだろう。
この世界でいうと、魔力が関係していたりするんだろうか?
「ちなみに、神様と何か関係はあるんですか?」
「一応、神に仕えている種族と言われています。……もしかしたら、龍種の方々なら伝手があるかもしれませんね」
「ヤトさんですね! ちょっと話を聞いてみます」
つい先日帰ったばかりであり、非常にタイミングが悪い。
手紙でのやり取りでもいいんだけど、いつ返事が来るか分からないため、私の方からエデルギウス山に赴くことにしよう。
ドレイクさんに話をして、乗せていってもらえるなら乗せていってもらい、駄目なら陸路で向かう予定。
巨人族の村への移動などで、空での移動の楽さを感じているため、次の従魔は空路で移動可能な魔物を選んでもいいかもしれない。
そんなことを考えつつ、まずはシーラさんに話をし、その後ドレイクさんの下へと向かった。
ドレイクさんに話をしたところ、二つ返事で了承してくれ、すぐにエデルギウス山へと向かうことになった。
護衛としてシーラさんもついてきてくれるようで、前回と同じく私とシーラさん、それからドレイクさんとマージスさんの四名で向かう。
私はドレイクさんの背に乗って移動したんだけど、ヤトさんの飛行に慣れていたこともあり、あまりにも快適な空の旅だった。
逆にスリルが足りなく感じたほどではあったが、この思考はあまりにも危険なため、自分の中で振り払う。
「到着だぜ! 俺も佐藤さんと一緒に来て以来だわ!」
「ドレイクさんは全然帰ってませんもんね。家族は心配していないんですか?」
「まーったく心配してないな! 逆に清々しているまであると思うぜ!」
「うーん、そんなに薄情ではないと思うんだな」
マージスさんはそうフォローしていたものの、本当に心配はされていないみたい。
話によれば、ドレイクさんは兄弟が多く、その中でも問題児だったため、何とも思われていないらしい。
ちょっと悲しくはあるけど、ドレイクさんが気にしている素振りを見せていないからいいのか。
それに、全く帰らないということは、こちらでの生活を気に入ってくれているということでもあるからね。
そんなことを考えながら、かなりの変化を遂げているエデルギウス山を見つつ、山頂を目指す。
相変わらず大変な道だけど、前回来たときとは別の場所のようだから、一切飽きることなく歩けているのは大きい。
「ようやく見えてきた! ヤト様がいるのかが不安だけどな!」
「さすがにいると思いますよ。帰ったばかりですからね」
まぁ今回用があるのは、どちらかといえばヤトさんよりもクリカラさんの方。
伝手があるとすれば、現龍王であるクリカラさんの方だろうからね。
ヤトさんのお父さんがいてくれることを祈りつつ、私たちはエデルギウス山の山頂にそびえ立つ宮殿のような城の中へと入ったのだった。





