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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第472話 可愛いの種類


 今回はリハーサルということもあり、人が少ないため、ライムの神輿のみを使う。

 予定しているゲームは行えないけど、この激カワ神輿が練り歩くだけで、盛り上がること間違いなし。


「おう、佐藤さん! 神輿を担いでくれる人を集めてきたぜ!」

「俺らに任せてくれや! 思いっきり担がせてもらう!」


 そう言って先頭にいるのは、巨人族のゴさん。

 その後ろには、アールジャックさん、フリートさん、ドニーさんなどの強者が集まってくれている。


 比較的強面の方々に集まってもらったのは、力がある方たちのほうが神輿を担ぎやすいというのもあるけど、ライム神輿がどう見えるかを確認したかったのが一番大きい。

 せっかくの可愛いライム神輿が、担ぐ人によって台無しになるのは避けたいからね。


 あくまで一般客目線で確認するため、屋台が集まっている広場へと戻ってきた私たちは、ライム神輿が到着するのを今か今かと待つ。

 すると、遠くから野太い「わっしょい」という掛け声と共に、大きなライムが近づいてくるのが見えてきた。


 屋台で遊んでいた方々も、近づいてくる大きなライムが気になるようで、ほぼ全員の注目が集まっている。

 上下に揺れながら、空を飛ぶ大きなライム。


 担いでいる方々も個性的だし、普通なら目が行くはずなんだが……。

 視線は宙を舞うライムにしか行かない。


「うおー! ライムなのじゃー!」

「……すごく可愛い。あれ、お祭り用に作ったのかな?」

「佐藤のことだから、きっとそうでしょ。本当に面白い試みをするわね」


 そんなヤトさんたちの声が聞こえてきて、ついニヤけてしまう。

 他のみんなも喜んでくれており、何も言っていないんだが、わっしょいという掛け声に合わせて、わっしょいというコールも巻き起こっている。


「佐藤さん、大成功じゃないですか? 可愛いライムにしか目が行きません!」

「本当ですね。お祭りを闊歩する大きなライムもいいですし、その後ろを跳ねながらついていっているライムも可愛すぎます」

「自分のことを作ってもらえたのが嬉しいのだと思います。スライムパークにいるスライムたちも踊っていますし、これは明日も盛り上がりますよ」


 ハムスターレースの時も思ったけど、やはり可愛いは正義だ。

 魔物のイメージもきっと良くなるだろうし、本格的にグッズ展開も考えていいと思う。


「マスター、私の造形もあるのでしょうか?」


 ライム神輿に見惚れていたところ、すごい勢いでやってきたのはヘレナだった。

 鼻息を荒くさせており、自分も神輿になっていると思っている様子。


「いえ、今回神輿として作ったのは、ライム、マッシュ、モージの三名だけですよ」

「ガーン! ……私は可愛いから落選してしまったんですか?」

「いえ、そんなことありません。可愛いにも種類がありまして、ヘレナの可愛いは別ってことです」


 自分でも何のフォローをしているのか分からないけど、この言葉は本心であり真実。

 ヘレナはほぼ人間であり、可愛いのベクトルはシーラさんやベルベットさんと同じ。


 変なファンがついてしまう危険性もあるため、ヘレナはそもそも構想外だった。

 ライムやモージの可愛さに一番近いのは、ヤトさんだと思う。

 とはいえ、ヤトさんの神輿も作れないけどね。


「マスターは私も可愛いと思っていてくれたんですね! なら、担がれなくても問題ありません!」


 どこに納得したのかよく分からないけど、ホクホク顔で去っていったヘレナ。

 私は首を傾げながら、そんな後ろ姿を目で追っていると、肩をツンツンと叩かれた。


「……佐藤さん、私も可愛いですか?」

「へ? あー……もちろん可愛いですよ?」

「ふふ、それなら良かったです」


 可愛く尋ねてきたシーラさんに対し、どぎまぎしつつ可愛いと答えると、嬉しそうに笑ってくれた。

 一瞬、引かれるんじゃないかと思ったけど、引かれていないようで一安心。


 というか、私がおじさんじゃなかったら勘違いしてしまっていたほどに可愛い。

 気持ちを冷静にさせつつ、意識を無理やりライム神輿へと戻す。


 そうこうやり取りをしているうちに、気づけばライム神輿の周りに人が集まっていた。

 そのせいで屋台から人が離れてしまっているのは気になったものの、屋台で働いてくれている人たちも神輿を楽しんでくれているようだし、問題ないだろう。


 お神輿を出す時間をちゃんと考えれば、一時的な休憩の時間を作ることができそう。

 本番ではどうなるかはまだ分からないものの、まだマッシュとモージの神輿も控えていることを考えると、まず失敗に終わる可能性は限りなく低い。

 そんな確信を得つつ、私も神輿の近くで熱気を感じながら、ライム神輿を楽しんだのだった。



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