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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第473話 魔法の花火


 屋台で盛り上がり、お神輿で盛り上がり、リハーサルは今のところ完璧だ。

 残すはラストを飾る花火のみ。


 今日はそこまで多く打ち上げる予定はないものの、新作の花火を数発打ち上げてくれるとのこと。

 花火を楽しみに待っていると、ヴェレスさんが離れた場所にいるのが見えた。


「シーラさん、ちょっとヴェレスのところに行ってきてもいいでしょうか?」

「もちろん大丈夫ですよ。……ヴェレスさんはあんなところで何をやっているんですかね?」

「うーん、分かりません。それを聞いてきたいと思います」


 私はシーラさんと一時別れ、遠くの暗がりにいるヴェレスさんのもとへ向かった。

 何やら空を見上げているようで、切り取ったら絵になるくらいの神々しさを感じる。


「ヴェレス、そんなところで何をやっているんですか?」

「あー、これは佐藤様ではないですか。私は空を見ていたところです」


 空を見ていることは分かっていて、見ていた理由を知りたかったんだけど……。

 夜の星空を見て、何か分かったりするのかな?


「空ですか? 星を見ていたというわけではないですよね?」

「ええ、何だかよくない空気を感じましてね。もしかしたら佐藤様に迷惑をかけてしまうかもしれません」

「えっ? 私に……ですか? すみません。いまいち理解できていないのですが」

「まだ勘のような段階ですので、そこまで深くは考えないでください。確信に変わったときはお伝えさせていただきますね」


 最初から最後までよく分からなかったけど、深く聞いたところで理解できないと思う。

 とりあえず私は頷いてから、シーラさんのもとへ戻ることにした。


「佐藤さん、何て言っていましたか?」

「うーん……ちょっと分からないですね。悪い予感がするとか何とか」

「ヴェレスさんは変わっていますもんね。せっかくなら、お祭りを楽しんでほしかったのですが」

「いえ、お祭りは楽しんでくれていたと思います。両手に縁日で購入したであろう食べ物のゴミを持っていましたし、口にはフランクフルトのケチャップがついていました」


 私もお祭りに誘おうと思って近づいたんだけど、楽しんでいたことが分かったため、何も言わずに戻ってきたのだ。


「そうだったんですか? なら良かったです」


 そんな会話をしていたところで――空に小さな火の玉が上がった。

 この小さな火の玉は、これから花火を行うという合図であり、シーラさんと一緒に空を見上げる。


「佐藤さん、あの火の玉は花火の合図でしたよね!?」

「はい、そのはずです。新しい花火も打ち上げてくれるとのことでしたし、ワクワクしますね」

「ロッゾさんがドヤ顔をしていましたし、よほどの自信作とうかがえました。すごく楽しみです」


 その会話の直後、小さな花火が連続して打ち上がった。

 これは去年までと同じながら、一発一発の色に違いが見え、すごく綺麗だ。


 それから花火は徐々にサイズアップしていき、最後は大きな花火。

 去年のクライマックスに打ち上げられたものと同じで、どっと歓声が沸いたものの……まだ去年と同じ。


「うわー、大きな花火ですね!」

「すごいですが……まだあると思います」


 シーラさんの感想にそう返事をした瞬間、空にヒョロヒョロとした火の玉が打ち上がった。

 打ち上げ音もほとんどなく、一見ショボいように見えたその花火だったが……。


 打ち上がった瞬間、カラフルな氷の花が咲いた。

 恐らく氷魔法によるものであり、幻想的でもあるその氷の花に感嘆の声が漏れる。


 祭りの文化とファンタジー世界が融合したような感覚があり、何とも言い知れぬ感動を味わっている。

 私はそんなカラフルな氷の花火だけでも感動していたのだけど、魔法花火はこれで終わりではなかった。


 空に打ち上がった氷の花は、最初はゆっくりと、そして徐々に高速で回転し始め、カラフルな氷の結晶となって霧散した。

 どうやっているのかは分からないけど、風魔法によるものだと思う。


 オーロラのようになっている夏の夜空を見上げながら、心の底から生きていて良かったと思った。

 このとんでもない花火を製作してくれたロッゾさんたちには、本当に感謝してもしきれない。


「……すごい一発でしたね。佐藤さんが思い描いていた花火って、こんなにすごいものだったんですか!」

「いやいや! こんな花火は想像もしていませんでした。ロッゾさんたちがすごすぎるんです」

「なるほど……! ロッゾさんの成長が目に見えて分かりますよね。異世界の文化に触れたからでしょうか?」

「触発されたことは間違いないと思いますが、元々すごい方だったんだと思います」


 ロッゾさん、シッドさん兄弟の技術力は、この世界で群を抜いている。

 そんな方々が移住してきてくれたのは、今更だけど幸運だったと思う。


「佐藤なのじゃー! ちょー綺麗な氷の花を見ておったのじゃ!」

「……すごく綺麗でした。インスピレーションも湧いた気がします」


 興奮した様子で駆け寄ってくれたのは、ヤトさんとローゼさん。

 ヤトさんのシンプルな感想もいいけど、ローゼさんのインスピレーションが湧いてきたという言葉は嬉しい。


 恐らくだけど、漫画のことであり、右肩上がりに売れていることもあって、早いところ二巻も製作したいからね。

 ……単純に私が読みたいのも大きいけど。


 それから、出会う人みんなから氷の花火の感想を言われ、ホクホク顔でロッゾさんたちのことを自慢させてもらった。

 お神輿も製作してくれたわけであり、縁日への多大な貢献には何かでお返ししたいな。



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