#92 ルージュ・サイエンティスト
前回までのあらすじ
後ろから刺される
ネロ失踪から27時間後
研究所
カズ「・・・おはよう」
マリア「おはようございます、カズさん」
カズ「あれ、姉さんは?」
マリア「ネロさんを探していますわ」
カズ「そうか、俺も行かないと・・・」
ユイ「待てよ、飯くらい食っていけ」
カズ「そんなことしてる場合じゃ・・・」
ユイ「いいから食えよ(あんパンを投げる)」
カズ「ぐはぁ(口でキャッチ)」
ユイ「ちゃんと食わないと、探せるモンも探せなくなるだろ」
カズ「ほうはは、はいはほうふい(そうだな、ありがとうユイ)」
ユイ「口に物含みながら喋るな」
マリア「・・・それにしても遅くないですか、ミズキさん」
ユイ「たしかに。探しに行ってから3時間は経つな」
マリア「大丈夫でしょうか」
ユイ「心配だな。ちょっと見てくるよ」
カズ「はへ、ひふんははほへほ・・・(待て、行くんなら俺も・・・)」
マリア「もうっ、口に含んだまま喋らないでくださいまし!!」
ユイ「起きたばっかなんだから、私が帰ってくるまで待ってろバカカズ」
インダストレージ・表通り
住民「ざわざわ」
ユイ(ん、なんだか街中が騒々しいな。なにかあったのか・・・?)
ユイ「まぁいい、それよりもミズキさんの様子を見に行かないと。たしか、北エリアを探すって言ってたから・・・」
中年「なぁ、お嬢さん!!」
ユイ「・・・ん、なんだ。私に話しかけてんのか?」
中年「そうだ!ピンク髪のアンタだ!」
ユイ「そうか。悪いが私は急いでいる。頼み事があるなら他をあたってくれ」
中年「待て、1つ聞きたい!お嬢さん、アンタ回復魔法を使えたりしないか!?」
ユイ「あ、なんだよ急に」
中年「・・・近くに重傷を負った女性がいるんだ。彼女を助けるために回復魔法を使える人を探している!」
ユイ「近くって・・・具体的にどこだよ」
中年「教会だ。北のほうにあるクローディア教会だ!」
ユイ「・・・え?」
中年「で、どうなんだ?アンタは回復魔法を使えるのか!?」
ユイ「・・・」
ユイ(北に重傷を負った女性、だと・・・?条件としてはミズキさんに当てはまるが、まさかな・・・)
中年「もしくは、知り合いに回復魔法を使える人がいたら紹介してほしいんだ!」
ユイ(・・・)
中年「おい、黙ってないでなにか・・・」
ユイ「・・・てけ」
中年「え、なんだって?」
ユイ「私が治すからさっさと彼女のもとに連れて行け!!!!」
中年「おぉ、回復魔法を使えるんだな!?」
ユイ「早く案内しろ!!!!!!!!」
中年「あ、あぁすまん。よし、こっちだ!!」
ユイ(・・・)
ユイ(ミズキさんは人を探しに行っただけだ。どこに重傷を負う理由がある?その女性がミズキさんなわけがない、ありえない!)
ユイ(ありえないはず、なのに・・・どうしてこんなに不気味な感覚に襲われるんだろう?)
ユイ(まるでヘルバラードで、カズたちが殺されたあの時と同じような感覚に・・・)
インダストレージ・クローディア教会前
主婦A「なんてこと・・・こんな若い女性が刺されるなんて」
主婦B「それも、神聖な教会の前で・・・なんて罰当たりな」
主婦C「と、ところで犯人は捕まったの!?」
主婦A「さぁ、どこかに逃げていったんじゃないの?もしくは、この街に隠れてたりして」
主婦B「まぁっ!殺人鬼がインダストレージに潜んでいるっていうの!?」
中年「お、おい、どいてくれ!!回復魔法を使えるやつを連れてきたんだ!!」
住民たち「おぉっ!!!」
ユイ「はぁ・・・はぁっ・・・」
中年「お嬢さん、この人だ!(重傷者を指さす)」
ユイ「・・・」
中年「おい、ボサっとしてないで早く治療してやってくれ!!」
ユイ「・・・」
中年「聞いてんのか!?」
ユイ「ミズキ・・・さん・・・?」
ミズキ「・・・」
中年「えっ?お嬢さん、この重傷者の知り合いなのか?」
ユイ「・・・あぁ」
中年「そうか、だったら尚更早く治癒魔法を・・・!」
ユイ(・・・)
ユイ「もう、使っている」
中年「なっ、いつの間に!?」
ユイ「『天使の御手』といって、私は触れるだけで傷を癒やすことができる」
中年「そ、そんなすごい能力が!?お嬢さん、アンタ一体何者・・・」
ユイ「どんな重傷者でも、触れることによって治すことができる。死んでいない限り、例外はない。たとえ複雑骨折をしていようが、致死量まで血を失っていようが傷は癒えるんだ・・・」
中年「・・・?」
ユイ「意識を取り戻すまでの時間には個人差がある。すぐに復活する者もいれば、なかなか目を覚まさない者もいる」
中年「じゃあこの女性もその、なかなか目を覚まさない方の部類で・・・」
ユイ「だが、すぐに意識を取り戻そうがそうでなかろうが、どちらにせよ心臓はすぐに動き出すはずなんだ」
中年「・・・っ!」
ユイ「彼女には既に触れた。それは紛れもない事実だ。ここにいる者全てが証人だ。それなのに脈がない。彼女の心臓は機能していないんだ・・・」
中年「そ、それって、まさか・・・」
ユイ「・・・」
ユイ「彼女は、もう死んでいる―――」
葬式です




