#93 執行者・ネロ①[コンゲーマーズ]
前回までのあらすじ
ミズキさんが死んだ
インダストレージ・クローディア教会前
中年「お嬢さん、大丈夫か?」
ユイ「・・・はい」
中年「くれぐれも気持ちを強く持ちなさい。決して、早まったりしてはいけないよ」
ユイ「大丈夫です。彼女の分まで私が生きないと、いけませんから・・・」
中年「そうか。強いんだね、君は」
ユイ「・・・弱くはないつもりです」
中年「・・・幸いなことに、ここは教会だ。彼女の遺体をしばらく預けてもらうといい」
ユイ「いえ、彼女は家に連れ帰ります。彼女をここでひとりにさせるわけには、いきませんから・・・」
中年「わかった、君が望むならそうしなさい。私が手を貸そう」
ユイ「構いません。おぶって行きますから、私ひとりで大丈夫です」
中年「そうか。では、気をつけて。彼女の魂に、神の安らぎがありますように・・・」
インダストレージ・裏路地
ユイ「・・・」
ユイ「大丈夫ですか、ミズキさん」
ミズキ「・・・」
ミズキ「先ほどまで死にかけていたんだ。大丈夫なわけがないだろう」
ユイ「そう、ですよね」
ミズキ「まぁ、君が治してくれたおかげで傷も癒えたし、身体的には何も問題はないよ」
ユイ「そうですか、よかった・・・」
ミズキ「とはいえ、色々なことがありすぎて少々疲れた。このまま君の言う通り死んだふりを続けさせてもらうよ。私をおぶったまま帰るというのは大変だろうが、頼んだぞ。ユイ」
ユイ「えぇ、任せてください」
ミズキ「・・・そうだ。死んだふりに戻る前に、1つだけ言っておくことがある」
ユイ「はい、なんです?」
ミズキ「見て分かったと思うが、私は剣で腹を刺されて重傷を負った」
ユイ「えぇ、そのように見えました」
ミズキ「ネロだ」
ユイ「・・・え?」
ミズキ「私はネロに刺された」
ユイ「っ!?」
ユイ「ネロに、刺された・・・どういうことです、ネロがいたんですか!?」
ミズキ「声が大きいぞ、ユイ。人気が無いとはいえ、油断するな」
ユイ「す、すみません」
ミズキ「・・・教会にネロがいたんだ。妙な仮面を被り、シスターの格好をしたネロが。そして私は彼女に刺された」
ユイ「そんな、そんなことあるわけ・・・ミズキさん、それは本当にネロだったんですか?」
ミズキ「あぁ、ネロだった。それは間違いないことだ。だが、彼女はネロではなかった」
ユイ「え、どっちですか・・・?」
ミズキ「見た目は間違いなくネロだった。確実に言い切れることだ。だが、心はネロではないように感じた。まるで洗脳され、誰かに操られているかのような・・・」
ユイ「・・・」
ミズキ「伝えておくことはそれだけだ。今度こそ死んだふりに戻る。ていうか寝る。研究所に帰ったら、私の寝室に横たえておいてくれ・・・」
ユイ「・・・わかりました」
ユイ「・・・」
ユイ(まったく、何がどうなってやがるんだ・・・!)
ミズキの研究所
ユイ「・・・ただいま」
カズ「おかえり、ユイ・・・って、え―――」
カズ「姉さん・・・!?」
ユイ「だ、大丈夫だ、カズ。ミズキさんは死んではいない。私が治したから・・・」
カズ「なにやってんだよ、ユイ!どうして姉さんをおぶってんだよ・・・どうして姉さんの服にそんなに血がついてるんだよ・・・!」
ユイ「分かってる、その話はちゃんとする。その前に、ミズキさんを寝室に寝かせないと・・・」
カズ「質問に答えてくれ!何があったんだ!?なんで姉さんがこんなことに!?」
ユイ「刺されたんだ・・・」
カズ「っ!!?」
カズ「さ、刺された・・・?ユイお前、今『刺された』って言ったのか?」
ユイ「そうだ。ミズキさんは北の教会で刺されたらしい・・・」
カズ「・・・」
ユイ「そしてにわかに信じられないことなんだが、その刺した犯人は・・・」
カズ(こつぜん)
ユイ「っ、カズ!?」
ユイ(いない・・・まさか、教会に向かったのか?私の目の前から消えたことに気付かないくらい刹那の速さで・・・!)
ユイ(状況が掴めない以上、教会に近づくのは危険だ。カズを追い、止めるべきか?いや、実の姉を刺されたと聞いて素直に帰ってくるとも思えない・・・)
マリア「おかえりなさいユイさん・・・って、ミズキさん!?どうして・・・一体なにがあったんですの!?」
ユイ「・・・」
ユイ(まずはマリアに状況を説明しよう。カズならそう簡単にやられたりはしないだろうし、アイツを追うのはそれからだ・・・)
インダストレージ・クローディア教会
カズ「はぁ・・・はぁ・・・」
カズ(ここが、ユイの言っていた教会だな・・・ここで姉さんが刺されて・・・)
カズ「誰だ・・・誰が姉さんを刺しやがったんだ・・・!くそっ、ユイから犯人の詳細とかを聞いておくべきだった・・・!」
カズ(それにしても人気がない・・・本当に使われてんのか、この教会?)
カズ「・・・ん、あれは?」
カズ(祭壇に血の跡がある・・・もしかして、あれが姉さんの血か?)
カズ(そしてその血の跡は、地下へ続いている階段のほうまで続いている・・・つまり!)
カズ「犯人は、この教会の地下にいる・・・!」
クローディア教会・地下1階
カズ「・・・」
カズ(随分薄暗い空間だな。こんなところ生まれて初めて入ったが、教会の地下ってのはどこも不気味なものなのか・・・?)
カズ「って、あれ・・・?」
カズ(血の跡がここで途切れている・・・手がかりが無くなった)
カズ(ここからは、この地下空間を根掘り葉掘り探し回るしかない・・・)
???「おい」
カズ「っっっ!!?」
???「何をしている?」
カズ「だ、誰だ・・・どこにいる!?」
カズ(くそっ、薄暗いせいでどこにいるのか分からん・・・気配を感じ取ることもできない・・・)
カズ(しかし何だ・・・この邪悪な殺意は・・・!今にも心を砕かれてしまいそうな恐ろしいプレッシャーが、俺の身体に纏わり付いて離れない・・・!)
カズ(この状況はまずい・・・地の利もなければ視界も悪い・・・!一刻も早く、地上に戻らなければ・・・!)
カズ「ぐっ・・・(地上へと駆け上がる)」
クローディア教会・祭壇前
カズ「はぁ・・・はぁ・・・」
カズ(何とか逃げ切れた・・・それにしても何だったんだ、地下で感じたプレッシャーの正体は・・・!?)
仮面の女「逃げられると思ったか?」
カズ「っっっ!?」
カズ(こいつがプレッシャーの正体か!?ていうか、いつの間に俺の前に・・・!不気味な仮面を被っていて息苦しいだろうに、呼吸を一切乱すことなく地下から俺を追跡してきたというのか!?)
仮面の女「お前、地下で何をしていた。ここは関係者以外立ち入り禁止だ」
カズ「・・・っ」
カズ(女の声・・・こいつ、この教会のシスターということか。しかしこの声・・・どこか聞いたことのありそうで、聞いたことのない声だ。・・・ん?)
仮面の女「質問に答えろ。地下で何をしていた」
カズ「・・・」
仮面の女「何をしていたのか、答えろと言ってい・・・」
カズ「お前か、さっき姉さんを刺したのは」
仮面の女「・・・何のことだ?」
カズ「ユイが言ってたんだ、姉さんは教会で刺されたって。情報はそれだけだったんでイマイチ状況が分からなかったが、祭壇にある血の跡を見て『教会で刺された』ってのが事実だって分かった。そして、『誰が刺した』かだが・・・」
仮面の女「・・・」
カズ「お前の服に血がついてる。返り血だろうな、それも姉さんの。なんで姉さんの血がお前の服につく?・・・簡単だ、お前が刺したからだ。お前はさっき、祭壇の上で姉さんを刺した・・・違うか!?」
仮面の女「だとしたら、何だというのだ?」
カズ「償わせるんだ・・・お前の死をもって・・・!」
仮面の女「私に挑むというのか、面白い。ならばお前には死の運命しか・・・」
カズ「うるせぇ!!!(剣で仮面を突く)」
仮面の女「ぐあっ!!!?」
カズ「お前が喋っていいのは、『何故姉さんを刺したか』という真実だけだ。それ以外の発言は許さな・・・」
カズ「・・・い?」
仮面の女「く、くそ・・・」
カズ「・・・」
カズ「・・・ネロ?」
カズの刺突により、シスターの仮面が割れた。そしてカズは、その仮面の下にネロの顔を見た。
主要キャラは簡単に殺せねンだわ




