#45 予選②[もういいかい、の精神]
試合前日
聖都グロリア 宿屋
カズ「・・・エントリーしようにも枠が埋まってしまっていて、取り消そうにも5億Gの違約金が生じると」
ユイ「5億Gくらいなら、システィーナ家の財力をもってすれば取るに足らん額ではないのか?」
マリア「たしかに取るに足らない額ではありますが、違約金ごときにお金を使うのは控えるようにお父様に言われておりまして」
ネロ「取るに足らない額か・・・、私にも少し分けてほしいものだな」
カズ「・・・まぁということで、こうなってしまったからにはマリアに優勝してもらうしかなくなった」
カズ「そこでだ、マリア。お前に1つだけアドバイスをしておく。倒すべきはチャンピオンの凶魔・シャドウだけだ。道中の一般人相手との試合で、くれぐれも派手な動きはするなよ」
カズ「シャドウに悟られないためにもな」
マリア「大丈夫ですわ、怪我しないよう頑張りますわ!」
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地下闘技場「アンダーワールド」
第1試合終了後
観客「うおおおおおおケーネたそぉぉぉぉ!!!!」
カズ「・・・なぁ、俺きのう言ったよな。派手な動きはするなと」
ネロ「そうか、そんなに派手な動きじゃなかったと思うが?正拳突き一発で倒してたし」
カズ「いや、派手な動きって身体的な派手さじゃなくて、目立つなって意味で言ったんだけど。みんなマリアに大注目してんだけど」
ユイ「じゃあ最初っから『目立たないように』って言っておけばよかっただろうが。なに回りくどい言い方してんだよ」
カズ「え、俺のせい?マリアの天然のせいじゃなくて俺のせいなの?」
ネロ「まぁまぁいいじゃないか。それにしても見ただろうマリア殿のパワー。一瞬時が止まったかのような衝撃がここまで伝わってきたぞ!」
ユイ「・・・たしかに、あんな頼もしいマリア、今まで見たことがないな」
ネロ「そうだろう、あれならシャドウなんて楽勝に倒せるぞ!」
カズ「・・・」
カズ(そうだと、いいんだがな・・・)
実況「さぁ~て第4試合が終わり、1回戦すべての試合が終了しました!ここで1回戦のハイライトを見ていきたいと思います!」
実況「第1試合、ケーネ選手の見事な正拳突きが炸裂し、キリング選手を瞬殺!初の女性選手にして、アンダーワールド史上における最速決着記録が生まれました!地下を振るわすダークホース、2回戦以降の活躍に期待ですね!」
実況「・・・まぁ第1試合が凄すぎて、他の試合が霞んで見えるため、これで1回戦ハイライト終わり!」
観客「しゃ~な~~~い!!!!ケーネたそぉぉぉぉ!!!」
実況「それではァ~、熱の冷めないうちに2回戦へと移っていくぞ~~~!!!2回戦・第1試合、ダークホースヴァルキリー、ロンリネス・ジェノサイディア・ケーネ選手と、王国の聖なるスピア使い、アーススター・レイモンド選手の入場だぁぁぁ!!!」
カズ「・・・!」
カズ「・・・あのレイモンドってやつ、恐らくグロリア王の直属の兵士だった男だ。以前会ったことがある」
ユイ「なるほど、シャドウはエロゲー大臣の言うようなああいう男たちを合法的に殺しては戦力を削っていっているのだな」
カズ「いつまでエーロゲ王の名前で遊んでるんだお前は」
ネロ「そうだぞユイ殿、エロゲーのおっちゃんに失礼だぞ!」
カズ「・・・お前が1番失礼だぞ」
レイモンド「第1試合、見させていただきました。見事な一撃、敵ながら魅了されてしまいました」
マリア「あら、嬉しいことを仰ってくださりますのね」
レイモンド「・・・と同時に、私の勝利を確信させていただきました」
マリア「すました顔で何を言うと思いきや・・・、笑えないジョークでしてよ?」
レイモンド「ふっ、失礼。決してジョークなどではございません。その理由は、私の使う武器にあります」
マリア「なんですのそれ、物干し竿ではありませんの?」
レイモンド「はっはっは、こんな先端の突出した物干し竿などご覧になったことがあるのですか?そちらこそ面白いことを仰る。まぁいいでしょう、論より証拠・・・戦って証明してみせましょう!」
審判「・・・それでは2回戦・第1試合を始める。レディーーーーーー」
審判「ゴォォーーーーーーッッッッッ!!!!!」
レイモンド「参りましょう・・・!」
実況「おっと、先に動いたのはレイモンド選手!先ほどのキリング選手とは違って、ゆっくりとケーネ選手に向かって歩き出しました!」
レイモンド(先ほどのキリングとかいう選手は、ナイフを使えぬままに敗退した。しかし私の武器は槍・・・ナイフとは比べものにならないほどのリーチを誇る。故、彼女の拳の届く範囲より外から攻撃することが可能!負けることなどありえない!)
マリア(・・・みたいに、武器にリーチがあるくらいで勝ちを確信なされているのなら、とんだ拍子抜けですわ)
実況「ケーネ選手、向かってくる相手に対してまたしても動かないぃぃ!!この試合も瞬殺狙いなのでしょうかぁぁ!?」
レイモンド(ふん、瞬殺するのは彼女じゃない。私だ・・・!)
レイモンド「・・・覚悟ッ!!」
マリア「っ!?」
[レイモンドの攻撃:一閃]
[マリアに直撃!]
実況「うわぁぁぁぁ、こっこれはぁぁぁぁぁ!目にも止まらぬレイモンド選手の一瞬の槍さばき!!槍の先端が見事ケーネ選手の脳天に炸裂したぁぁぁぁ!!!」
観客「うわぁぁぁぁぁケーネたそがぁぁぁぁぁぁ!!!」
ネロ「うわぁぁぁぁぁケーネたそがぁぁぁぁぁぁ!!!」
ユイ「気持ち悪い観客に混ざるなネロ、お前もろとも消し去るぞ」
ネロ「うわぁぁどうしようどうしようカズ殿!マリア殿がぁぁぁ!!」
カズ「落ち着けネロ・・・あれはマリアじゃない・・・!」
ネロ「な、カズ殿・・・なにを言って・・・!?」
レイモンド「・・・き、消えた?」
マリア「どこを狙っていますの?」
レイモンド「!?」
実況「んっ、んんんんん!!?なんということでしょう、ケーネ選手いつの間にかレイモンド選手の背後に回り込んでいる!!?しかも、突かれたはずの脳天にキズが一切ありません!ピンピンしております!!!」
レイモンド「な、なにぃっ!?おかしい、今たしかに槍をお見舞いしたはずなのに・・・いつの間に背後に!?」
マリア「残像でしてよ」
レイモンド「ざ、残像だと・・・!?」
マリア「まさか・・・本当に槍のリーチ程度でわたくしを倒せると思っておられたなんて、とんだふぬけ者ですわね」
レイモンド「読まれて・・・いましたか・・・!」
マリア「それにしても・・・こんな美少女の脳天を迷い無く突いてくるとは思ってもいませんでしたわ。勝つためとはいえ、正直見損ないましてよ」
レイモンド「っ・・・!」
観客「そうだそうだーーー!ケーネたそが怪我したらどうするんだーーーー!!!」
観客「女の子の脳天を狙うなんて恥ずかしくないのかーーーー!!」
観客「死ねボケェーーー!!!!」
レイモンド「うぅぅぅるせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
実況「!?」
観客「!?」
レイモンド「女に槍ぶっ刺しちゃあダメだなんてルールねぇだろうがよぉ、ここはアンダーワールドなんだからなぁ・・・無関係のカス共がうだうだほざいてんじゃねぇぞゴミクズがぁぁぁ!!!」
マリア「クールなお方かと思いきや・・・それがあなたの本性ですのね」
レイモンド「せぇぇっかく狙いバッチリだったのによぉ、残像だが銅像だが知らねぇがうっとうしいことしやがってよぉ・・・!」
レイモンド「その上この俺に恥かかせやがって・・・、もう考えるのめんどくせぇ!!!残像もろとも刺し殺してやるわぁぁぁぁ!!!!!」
実況「レイモンド選手、本性を現わし激昂!激昂につき、槍をデタラメに振り回しております!!!ケーネ選手、これでは近づけない!!危ない、なんと危ない所行でしょうか!!!?」
マリア「はぁ、なんと野蛮な・・・」
マリア「『ロイヤリティ・ブロー・AM』・・・!」
実況「おおっと、ケーネ選手またしても正拳突きの構え!!しかしキリング選手と違って、相手との距離が遠いですが、どうするつもりなのでしょうか!?」
レイモンド「くけけけ、バカかおめぇはぁ!?槍を振り回してるヤツにどうやって拳を叩き込もうってんだクソアマがぁ!!」
マリア「やれやれ、拳を叩き込むだなんて、一言も言ってませんわよ?」
レイモンド「あぁ、じゃあどうやって・・・」
マリア「・・・解放ッッッッ!!!」
[マリアの攻撃:ロイヤリティ・ブロー・AM]
レイモンド「な、なんだこれれれれれらららららららら」
[マリアの拳から放たれる正拳突きの余波が、衝撃波となってレイモンドに襲いかかる!]
マリア「ふぅ、せいぜい余波に苦しめられるといいですわ」
カズ「・・・」
カーミル<・・・多少は強くなっただろうが、いずれも我々の期待を下回る成長だ>
イザベル<トータルから言わせてもらうと、彼女たちはまだまだ弱い>
カズ(誰がまだまだ弱いって、皆さん?)
ロイヤリティ・ブロー・AMのAMは「AfterMath(余波)」の略。




