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ゆるクエ  作者: おでん信用金庫
Season3 少女覚醒の章(潜在能力編)
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33/114

#32 修行⑤[この恨み、万死に値する]

前回までのあらすじ


生ハムメロン覚醒



ユイ「私の、生ハムメロンを・・・返せぇぇぇぇぇ!!!!!」


ユイ「うあああぁぁぁぁ!!!」


カーミル「奴のパワーがどんどん増幅していく・・・、一体何が起こっているんだ!?」


ユイ「生ハム、メロン・・・!!!!」


カーミル(それにしてもさっきから生(・)ハ(・)ム(・)メ(・)ロ(・)ン(・)しか言っていないが、生ハムメロンがどうしたというんだ・・・?)


ユイ「爆裂超電磁弾(ハイパーレールガンショット)・・・!!!」


カーミル「はっ!?」




[ユイの攻撃:爆裂超電磁弾(ハイパーレールガンショット)]



[しかしカーミルにかわされた!]




カーミル「なんて奴だ、先ほどフルパワーで放ったであろう一撃を、こんなにも易々と放ってくるとは・・・!」



ユイ「生ハム・・・」




[ユイは力を溜めている・・・]




カーミル「ま、また来る・・・!?」



ユイ「メロン・・・」




[ユイの攻撃:電撃魔法『生ハムメロン』。爆裂超電磁弾の数倍の魔力の電撃が、カーミルに放たれる!]




カーミル(この一撃はまずい・・・!)


カーミル「『撤退行動(ベイルアウト)』!!!(回避)」




<『撤退行動(ベイルアウト)』は、カーミルの使用する転移魔法。自分の現在位置から半径900mの範囲でランダムに瞬間移動する。ユイの使用する『逃走経路(ハイドアンドシーク)』よりもやや上位のランクに位置する転移魔法である>




[ユイの攻撃は外れた]



ユイ「・・・」


ユイ「・・・生ハムメロン」







~ユイから880m離れた地点 ドマボーフ市場(いちば)跡~




カーミル「はぁ、はぁ、危なかった・・・」


カーミル(今の電撃魔法、まともに食らっていたら確実に即死だった。確証はないが、そう思わざるを得ないほどの禍々(まがまが)しさが、奴にはあった・・・!!)


カーミル(とりあえず、今言えることはただ1つ。奴は『暴走(ぼうそう)』している・・・!)




<『暴走』とは、怒りなどの精神安定により自我を失い、力のままに行動してしまう状態のこと。力のリミッターが一時的に解除されるため、長時間の暴走は身体に弊害(へいがい)をもたらす。生命維持器官の損傷による後遺症で、最悪の場合死に至る恐れもある>




カーミル(なぜ奴はこのタイミングで『暴走』を始めたんだ・・・?迫り来る死の恐怖を前に覚醒したのか・・・。いや、それよりも気になるのは奴の連呼する『生ハムメロン』だ・・・)



カーミル(生ハムメロンに、奴が暴走したきっかけがあるはずだ。余程思い入れがあるのだろうな・・・)



カーミル(生ハムメロンねぇ・・・、私もそれほど口にしたことはないな。たしか最後に食べたのは数年前。母の友人の結婚式について行った際、披露宴のバイキングで出された生ハムメロンだったか・・・。)



カーミル「・・・ん?」



カーミル(そういえばそ(・)の(・)結(・)婚(・)式(・)、さっきのクッドゥークホテルで披露宴してたっけ・・・)



カーミル「・・・あれっ?」



カーミル(ていうか奴の名前「ユイ・ルマリアンド」・・・「ルマリアンド」って確か私の母の知り合いにいたような・・・)



カーミル「・・・あっ」


カーミル「お、思い出した・・・!」





―――


~9年前 モートア・ジノ村 クッドゥークホテル~



カーミル(14歳)「あ~肉飽きたな~、デザートでも食うか」


カーミル母「ちょっとカーミル、またステーキの時みたいにバカみたいに持ってくるんじゃないわよ!!!」


カーミル「うるせぇ!デザートは別腹なんだよ!!」





カーミル「お、なんだこれ、生ハムメロン?メロンの上に生ハムが乗ってんの?こんなもん美味しいわけ・・・(試食)」


カーミル「うんめぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!!」


カーミル母「カーミル、静かになさい!!!」


カーミル「あぁ?これ結婚式やぞ?なんで結婚式で静かにしなきゃなんねーんだよ!!」


カーミル母「限度ってモンがあるでしょうが!!!限度って!!!モンがぁ!!!!」


カーミル「お前も十分うるせぇじゃねぇかババア!!!」


カーミル母「あぁ誰がババアだって!?アンチエイジングの鬼たる私がババアだったら全世界の同世代は屍になってるよクソが!!」


カーミル「なにその理論怖っ。誰かァ~~、命の母持ってきて~~!!」


???「あの~」


カーミル「!?」


???「ごめんなさい、あたしそこのテーブルに置いてある生ハムメロンを取りたいから、ちょっとどいてもらえませんか?」


カーミル母(この子はルマリアンドさん家(ち)の・・・)


カーミル母「ごめんねユイちゃん、うるさくしちゃったね。ホラ、カーミルさっさとどきなさい!」


ユイ(8歳)「ありがとうございます!(お辞儀)」


カーミル「・・・あぁ?」


カーミル母「カーミル、なにやってんだい!あんたがそこにいたらユイちゃんが生ハムメロン取れないだろ!」


カーミル「へ~ぇ、お嬢ちゃん、この生ハムメロンが欲しいのかい?」


ユイ「うんっ、欲しい!!」


カーミル「じゃあお兄ちゃんがとってやんよ~」


ユイ「えっ、いいの~!?」


カーミル「いいともいいとも、ホレ皿貸しな」


ユイ「ありがとう~!(満面の笑み)」


カーミル「はい1つぅ~、2つぅ~・・・」


カーミル母(・・・こいつ、まさか?)


カーミル「はい、これで全部だよ~」


ユイ「えぇっ、全部ぅ?あたし生ハムメロンは好きだけどそんなに食べられないよう!」


カーミル「あらそう?ざ~んねん。じゃ、お兄ちゃんが全部食べちゃうね~!」


ユイ「・・・えっ」


カーミル母「ちょっ、カーミル!?」


カーミル「あ~~ん、もぐもぐ・・・(全食い)」


ユイ「!」


カーミル母(こ、この愚息(ぐそく)が・・・)


ユイ「・・・うっ、うっ」


ユイ「うえぇ~~~~ん!!!!」


カーミル母「はっ!?」


カーミル母「ごっ、ごめんねユイちゃん!でも大丈夫、生ハムメロンはまた補充されるだろうから・・・!」


ユイ「うわぁ~~~~ん!!!」


カーミル母「ちょっとカーミル!あんたも謝りなさい!!!」


カーミル「え、なにこれチーズフォンデュ!?チーズがプールみてぇになってる!美味(うま)そ~~~!!!」


カーミル母「カーミルゥゥッ!!!!!」


ユイ「あぁぁ~~~ん、生ハムメロン~~~~!!!!」


―――



カーミル(結局あの後、生ハムメロンが補充されることはなかった。私が食べ干した分で最後だったのだ。あの子は1つも生ハムメロンを食べることなく終わってしまった。まさかあの時の子供が今暴走しているユイだったとは・・・)



カーミル(見覚えのあるホテルの景色や俺という存在により、彼女の記憶の片隅に眠る忌まわしき過去を思い出させ、そして生ハムメロンの恨みが最大のトリガーとなり奴は暴走を始めたということか。)



カーミル「・・・食べ物の恨みは怖いということだな。それにしてもあの頃の私、反抗期とはいえ品性の欠片もなかったな。反省しなくては・・・。」




[ユイの転移魔法:『わたしの生ハムメロンを奪ったのはお前か』]



[カーミルの前にユイが現れた!]




カーミル「ふぁっ!?」


ユイ「ふぅぅぅ・・・」


カーミル(こ、こいつ私を追跡してきた。この短時間でより精度の高い転移魔法を身につけたというのか・・・!)


ユイ「生ハム・・・」


カーミル「ま、まずい!!!またあの電撃魔法が来る・・・!」


カーミル(かつてない動揺のせいで、私の魔力が安定しない・・・!転移魔法も使えそうにない・・・!くっ、ここはもう・・・!)



カーミル「ユ、ユイ様!!あの時はあなたさまの欲していた生ハムメロンをいじわるして全部食べてしまい本当に申し訳ありませんでした!!!私にできることなら何でもいたします!ですからどうか、怒りをお抑えください!!!!」



ユイ「・・・」


ユイ「いま、何(・)で(・)も(・)す(・)る(・)と、言ったな・・・?」


カーミル「は、はいぃ!そのつもりでございます!!!」



ユイ「じゃあ死ね!!!!」



カーミルのプライドも何もかもを捨てた命乞(いのちご)いも虚(むな)しく、ユイの上級電撃魔法『生ハムメロン』はカーミルにクリティカルヒットし、半径20kmに渡りその衝撃の余波が伝わった。


食べ物の恨みは怖い

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