#31 修行④[死期に放つは甘美]
前回までのあらすじ
チキンは美味しい
ユイ「はぁ・・・はぁ・・・」
ユイ(いけない、つい冷静さを失って爆裂超電磁弾を放ってしまった。あれは結構な魔力を使うから、放つのは家にゴキブリが出たときだけと決めていたのに、くそっ)
ユイ「まぁ、ゴキブリみたいなもんだからいいか」
カーミル「誰が、ゴキブリだって?」
ユイ「はっ!?」
ユイ(コイツ、いつの間に私の後ろに!?)
カーミル「なかなか良い一撃だったぞ。今までで1番強い攻撃だった。しかしこんな攻撃では、ゴキブリは殺せても私は殺せないぞ」
ユイ(ちくしょう、あの一撃を食らって全然ピンピンしてやがる。袖が破れただけでダメージはほとんどない。なんて屈強なんだ・・・!)
カーミル「おいおい、まさか今ので終わりだなんて言わないだろうな?」
ユイ「はぁ、はぁ・・・」
カーミル「う~ん参ったな。これでは本当にただの自意識過剰な勘違い野郎じゃないか。それもド典型的な。どうしたものか、どうしたものか」
ユイ(いちいち癇に障る野郎だ。だが力が劣るのが悔しい。どうすればいい、どうすれば奴を殺せる・・・?)
カーミル「いまいち緊張感がないようだな。よし分かった、今から私もお前を殺すことにしよう」
ユイ「なにっ!?」
カーミル「今までは私が一方的に攻撃を受けるだけだった。それじゃあ正直リアリティもへったくれもないだろう。ならば私もお前を殺そうとする。互いに殺意を向け合えば、お前も本気を出さざるを得ない。出せよいい加減、本気を」
ユイ(本気を出してるなんて、とてもじゃないが言えない・・・!)
カーミル「じゃあ行くぞ(目の前から消える)」
ユイ「はっ!?」
ユイ(消えた・・・、どこに行った?)
[カーミルの攻撃:神の矢。ユイの頭上から、矢の雨が降ってくる!]
ユイ「っ上か!?(回避)」
カーミル「ほう」
<『神の矢』は、カーミルの使用する弓攻撃。魔力を込めた矢を目標に向かって放ち、触れた者の皮膚を溶かす。魔力誘導により、弾道を曲げることも可能である>
カーミル「真上からの『神の矢』、よくぞ避けた。避けなければお前は死んでいた。さて、何発目で死ぬかな」
ユイ(こいつ、本気で殺しにきている・・・ここは一度、逃げるしかない!)
ユイ「くっ(逃走)」
カーミル「おっと、逃げるのか?」
ユイ「違うっ!撤退的前進だ!!!」
カーミル「なるほど、あくまで『逃げ』ではないと」
ユイ「『逃走経路』!!!(目の前から消える)」
カーミル(消えた・・・。さしずめ空間移動魔法だろう。時間稼ぎか、それとも・・・)
5分後
モートア・ジノ村 クッドゥークホテル跡 2階中央広場
ユイ(さて、完全に奴を撒いたが、ここからどうするか)
ユイ(奴を倒す術は、私にあるのか・・・?)
☆ユイの攻撃手段☆
物理攻撃
・ラファエルの杖(殴るだけ)
魔法
・攻撃魔法(電撃魔法:浄化の雷撃など)
・回復魔法(天使の祈りなど)
・補助魔法(転移魔法:逃走経路など)
<『逃走経路』は、ユイの使用する転移魔法。自分の現在位置から半径700mの範囲でランダムに瞬間移動する。転移魔法の中でも比較的低いランクに位置する>
ユイ(やはり電撃魔法で押し切るしかないのか・・・。他に、もっと攻撃魔法が使えたらいいのだが)
ユイ(奴の武器は弓だ。恐らく魔力を込めた矢を放ってきている。矢に触れた地面が溶けていたところを見ると、直撃すればすなわち死だと考えておいたほうがいいだろう)
ユイ「・・・」
ユイ(・・・それにしてもこのホテル、飾られている絵といいシャンデリアといい、どこか既視感がある。私は過去に、ここに来たことがあるのだろうか)
ユイ(ってバカ、そんなこと言っている場合じゃない・・・!)
ユイ(よし・・・ここはやはり、あいつの隙を突くしかない。不意打ちだ!)
カーミル「・・・おやおや、こんな高級ホテルから負け犬の匂いがするなぁ。それも特別弱い負け犬の!」
ユイ「っ!」
ユイ(まずい、見つかったか!?)
カーミル「どこにいる、ユイ!隠れていても無駄だぞ」
ユイ(気付いていない。奴の姿を捉えられているのは私だけだ。ならば、後ろを見せた瞬間に・・・)
カーミル「な~んてなぁ!(ユイの背後に立つ)」
ユイ「っ、いつの間に背後に!?」
カーミル「人の気配を察知して瞬間移動できる魔法、『強制捜査』。この程度の転移魔法、とうの昔に修得したわ!!!」
<『強制捜査』は、カーミルの使用する転移魔法。自分の現在位置から半径300mの範囲にいる者の気配を察知し、その者のもとに瞬間移動する。ただし、一度干渉したことのある者でなければ効果は得られない。転移魔法の中でも圧倒的に高いランクに位置する>
ユイ「なんて厄介な・・・、さすがはカズと共に魔王を倒しただけのことはある」
カーミル「クク、褒め言葉として受け取らせてもらおうか」
カーミル「さて、今から私は再び『神の矢』をお前に放つ。この距離で当たれば即死だ。せいぜい逃げ、足掻くがいい」
ユイ(体力をかなり消耗し、魔力が乱れている。これでは『逃走経路』を使うことはできない)
ユイ(奴との距離、およそ10m。こんな至近距離で矢を避けるなど、私にできるだろうか・・・)
カーミル「しかし悲しいな。廃村にも関わらず綺麗なまま残っているホテル跡。恐らくウェディングなどでも使われたであろうこんな美しいホテルが、お前の墓場となるとは」
ユイ「・・・!!!」
カーミル「さて、私は親切だからカウントダウンをしてやろう。特別サービスだよ。カウントダウンが0になったら放つだなんて避け放題だよ。まぁ、『神の矢』の速度に追いつければの話だがね」
ユイ(飾られている絵・・・)
カーミル「じゃあ10から始めるぞ。はい10~」
ユイ(シャンデリア・・・)
カーミル「9~、8~、7~」
ユイ(既視感のある、ホテル・・・)
カーミル「6~、5~」
ユイ(ウェディング・・・)
カーミル「4~、3~」
ユイ(カーミル・・・、アイギス・レム・カームキル・・・)
カーミル「2~、1~」
ユイ(・・・。)
カーミル「0ッ・・・、発射ァァッ!!!」
ユイ(・・・生ハムメロン!!!!!)
ユイ「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
[カーミルの攻撃:神の矢]
[ユイに直撃。しかし、はじかれてしまった!]
カーミル「なにっ、『神の矢』がはじかれた・・・?なぜだ、なぜ当たらない!?そしてなんだ、このプレッシャーは・・・」
ユイ「生、ハム・・・メロン・・・」
カーミル「な、なんだ、生ハムメロンがどうしたというんだ・・・!?」
ユイ「私の、生ハムメロンを・・・返せぇぇぇぇぇ!!!!!」
覚醒する系女子




