#30 修行③[証明しろ、その力]
前回までのあらすじ
我慢せぇや
バドニーユ市街地から4kmほど離れた モートア・ジノ村
カーミル「さぁ着いたぞ、ここが修行の場だ」
ユイ「なんだここは、廃村じゃないか。薄気味の悪い・・・」
カーミル「ここなら、心置きなくやれると思ってな。」
ユイ「心置きなく・・・やれる・・・?き、キサマもしかして!!」
カーミル「どうしたいきなり奮い立って。あと仮にも師匠に向かってキサマとはなんだ、キサマとは!」
ユイ「こんな人気のないところに連れてきて、さては私を襲う気だな!?」
カーミル「・・・っな、何を言うお前!この清廉潔白の塊みたいな私がそんな穢らわしい真似するわけなかろう!?」
ユイ「いいや違うね。真面目で怪しくない男ほど、実は裏の顔がドス黒いんだ。特にキサマみたいな胡散臭い奴は尚更な!」
カーミル「いやだからキサマって呼ぶな」
ユイ「やいカーミル」
カーミル「略すな、カームキルの部分を略してカーミルって呼ぶな」
ユイ「カーネル」
カーミル「なんか美味しいフライドチキンを作りそうな名前だな。ていうか違う!略すなって言っているんだ!私の話をちゃんと聞いているのか!?」
ユイ「じゃあ襲わないなら一体何をするというんだ、言ってみろサンダース」
カーミル「完全にフライドチキンの人ではないか!さてはお前確信犯だな?」
ユイ「・・・いや、違う」
カーミル「む、何がだ?」
ユイ「確信犯というのは、『分かっている上で行う行為』ではなく、『自分の信念に従って行われる行為』のことを指す。私が行ったのは前者なので、この場合は確信犯ではなく『故意犯』と呼ぶのが正しい。そんなことも知らないのか、賢者というわりには私よりも賢くはないのだな。ぷふっ」
カーミル「・・・。」
ユイ「さぁ~~完全論破もされたことだし、さっさと何をするか言ってみろ。どうだ、悔しいのか?うん、悔しくて言葉も出ないか?」
カーミル「・・・フッ、フフフ」
カーミル「フハハハハ!!!」
ユイ「くっ、やはりコイツ異常者だった!冷静そうな奴が1番ヤバいという私の考えは間違ってなどいなかった!」
カーミル「フハハハ、面白い。クロエ・カズの言う通りお前は自意識過剰な人間だ。それも相当な。いいだろう、私の修行の内容を教えてやる」
カーミル「いたってシンプル、1週間のうちにこの私を殺してみろ!!」
ユイ「・・・なにっ?」
カーミル「力を隠し持っているんだろう?お前はその気になればカズよりも思っているのだろう?ならばその力、証明しろ。お前の考えが誤っていないことを!」
ユイ「殺すだと、そんなことできるわけがないだろうが!」
カーミル「それは道徳的にか、それともお前には私を殺すほどの力がないという意味でか?どちらにせよ、そんなスタンスでは所詮お前はただの口だけ野郎ってことだ!」
ユイ「カチン!」
カーミル「どうした怒ったか?さすが、プライドが高いだけある。しかし、愚かだなぁ。プライドの割に実力が伴わぬというのは」
ユイ「・・・キサマ、よくも私を侮辱したな。」
ユイ「いいだろう殺してやる!死んでから後悔するんじゃねぇぞこのクソ野郎がぁーーーー!!!」
カーミル「・・・そうだ、それでいい。」
☆10分後☆
ユイ「はぁ、はぁ・・・」
カーミル「おいおい、私は一歩も動くことなく、ただここに立っているだけだぞ。それなのにキズ1つついていない。何をやっているんだ?」
ユイ「はぁ・・・くそ・・・」
ユイ(私の電撃魔法や杖による打撃はたしかに奴に直撃している。先ほどから一歩も動かずに立っている絶好の的・・・、それなのに何故コイツは一切ダメージを受けていないんだ?)
カーミル「どうした、攻撃はもう終わりか?」
ユイ「くそっ、舐めやがって・・・!」
カーミル「悔しそうながら、解せぬという表情をしているな。いいだろう、何故私に一切ダメージがないか、2つの理由を教えてやろう」
ユイ「・・・!?」
カーミル「1つは私の体力の高さと防御魔法の強さにある。賢者としてもトップクラスの体力を誇っているから、基本的に打たれ強い。その上、防御魔法を自分の身に纏うことで、ほぼダメージを0に近づけているのだ」
ユイ「・・・へぇ分かりやすい。で、もう1つは?」
カーミル「もう1つか。クク、果たして言っていいものだろうか。迷う、実に迷う」
ユイ「つべこべ言わずに教えろ!!!」
カーミル「仕方がないなぁ~~~~」
カーミル「もう1つはな、単にお前が弱いだけなのだよ!!!」
ユイ「・・・チッ」
ユイ「なぁめんなぁぁぁぁ~~~!!!!」
ユイ「爆裂超電磁弾!!!!」
[ユイの攻撃:爆裂超電磁弾。膨大な電磁弾が、カーミルに放たれた!]
カーミル(!?)
カーミル「ほう、これは・・・」
―――
同時刻 リステリン渓谷
轟音「ぎゃあああ」
マリア「な、なんですの?今の轟音は?」
マリア(地面が一瞬揺れるような衝撃・・・。ユイさんが修行している方向から?)
イザベル「はいはいマリアちゃん。口調が丁寧になってるわよ」
マリア「は、はいっ!申し訳ありま・・・ゴメン・・・」
―――
同時刻 ハズーペルキマウンテン山頂
轟音「ぎゃあああ」
ネロ「うおお何だ今の音!ドーーーンって花火みたいな音がしたぞ!」
ジャスティス「うん、今のは恐らくカーミルたちの仕業だろうね。うんうん」
ネロ「なるほど、ユイ殿も頑張っているのだな!」
ジャスティス「うんうん。とりあえず木を伐採するのはやめようか、もう3本目だよ!」
こうして、自意識の高いユイの力を証明させるカーミルの修行が幕を開けた。遠くまで響くユイ渾身の電撃魔法の衝撃は、遠く離れたマリアとネロにも届くほどだった。そんな強大な電撃魔法の光の中に包まれたカーミルの運命は・・・?
轟音は、人間だった・・・!?




