#112 ネロ・奪還⑧[センチメンタル・ラバーズ]
前回までのあらすじ
3週間空いた
作戦開始より40分経過
クローディア教会・地下4階
(カズ・ツヴァイ)
カズ「随分と長かったですね。靴紐を結ぶだけにしては」
ツヴァイ「まぁね。ちょっと手こずっちゃった♪」
カズ「で、ノインはどうしたんです?」
ツヴァイ(・・・)
ツヴァイ「具合が悪くなったから帰らせたわ。さっき、煙を多く吸っちゃったみたい」
カズ「そうですか」
ツヴァイ「・・・」
ツヴァイ(ノインの心配もなし、か。ネロちゃんが司祭によって壊されてしまう予感がよぎっているから、他人の心配をする余裕なんてないのも無理はないけど・・・)
ツヴァイ「ねぇ、カズ君」
カズ「なんです」
ツヴァイ「あなたは、自分のことを正しいと思う?」
カズ「・・・何の質問ですか?」
ツヴァイ「深い意図はないわ。率直に答えてくれればいいのよ」
カズ(・・・)
カズ「正しいですよ。悪を倒そうとしているんですから」
ツヴァイ「・・・」
カズ「これでいいですか?」
ツヴァイ「えぇ。ありがとう。つまらないこと聞いてゴメンね」
カズ「いえ」
ツヴァイ「・・・」
ツヴァイ(残念だけどノイン。どうやら彼は、悪い人みたい―――)
地下4階
2つの扉・前
ツヴァイ「さぁカズ君。扉が2つあるけど、どっちに行く?せっかくだから、赤の扉を選ぶ?」
カズ「・・・二手に分かれましょう。俺は右の部屋に行きます」
ツヴァイ「そう、わかったわ。何かあったら大声で叫んでね」
カズ「えぇ」
クローディア教会・地下4階
書斎(右の部屋)
カズ(教会の地下4階に書斎、ねぇ。ひとり静かに書に没頭するにはもってこいだろうが、一方で何か見られたくないものでも隠そうとしているようにも見える・・・)
カズ(『魔力支配論・入門書』、『力の継承理論』、『限界臨死点について』・・・机に置いてある本も不気味だな、マーシャの趣味か・・・ん)
カズ「手書きのノート・・・マーシャのものか?」
カズ「・・・っ!?」
~レポート74~
『力の継承』
・人間の力は他人に継承することができる
・『継承』とは『剥奪』である。他者から剥奪することで、力は継承される
・『剥奪』にも様々な種類があるが、多く用いられる方法は『殺害』である
『神の資格』
・神とは創造上の存在ではない。たしかに存在するモノである
・あらゆる人間に、神になる資格がある。それに必要なのは、強大な『魔力』
・神には人智を越えた力が与えられる
カズ「な、なんだこれ・・・っ、まさかあの野郎ネロのことを・・・!!」
「パァン!!!(銃声)」
カズ「っ!?」
「パァンパァン!!!(銃声)」
カズ「隣の部屋から銃声・・・?」
カズ(銃を持った敵かマリアか、それとも敵か・・・)
カズ「とにかく、行ってみるしかない」
左の部屋(資材置き場)
カズ(これまた広い部屋だな・・・マリアどころか、ツヴァイさんも見当たらない)
カズ「ツヴァイさ~ん、どこですか!?」
マリア「・・・カズさん!?」
カズ「っ、マリア!無事だったか!」
マリア「えぇ。なんとか」
カズ「そうか、よかった。じゃあさっきの銃声はお前のだったんだな」
マリア「えぇ。敵がいましたので始末しましたの」
ユイ「お、カズ。やっと来たか」
カズ「ユイも・・・2人とも無事そうだな!」
ユイ「なめんな。あんな雑魚どもにやられるかっつーの」
カズ「それもそうか。あれ、ところでツヴァイさんはどこに・・・」
マリア「・・・『始末した』と、言ったはずですが?」
カズ「・・・は?」
マリア「そして、あなたも(発砲)」
カズ「っっっ!?(回避)」
マリア「ほう・・・」
カズ「な、なにやってんだよマリ・・・」
ユイ「えぇいやぁ!!!(ナイフを向ける)」
カズ「ぅぐっ!!(ナイフを蹴飛ばす)」
ユイ「ちぃっ!!」
カズ「どうしたお前ら、なぜ俺を攻撃する!?俺は敵じゃねぇだろうが・・・はっ!?」
カズ(ツヴァイさんが『敵』ってことは・・・まさか!?)
マリア「すばしっこいですわねっっ!(発砲)」
カズ「えぇいっっ(回避)」
カズ(2人とも、洗脳されている・・・ということか!?)
ユイ「隙アリぃっっっ!!!(カズの背中を刺す)」
カズ「ふぐぅっっ!?」
マリア「死になさい!!!(発砲)」
カズ「ぐぁあぁぁぁっっっ!!!(左足に被弾)」
カズ(お、終わった・・・ネロを助けることもできず、マーシャの手のひらで踊らされたまま、ユイとマリアに殺されるのか・・・)
マリア「これでトドメですわ!!(カズの額に銃を向ける)」
カズ「ぅ・・・」
カズ(ごめん、アリス・・・)
マリア「・・・・・・・・・・・・」
ユイ「・・・なにやってんだマリア。さっさと撃てよ」
マリア「分かってます。分かってますわ」
ユイ「分かってんならさっさと・・・」
マリア「撃ちたく、ないんですの・・・」
ユイ「あ、なんでだよ」
マリア「だって、今引き金を引いたら・・・カズさんが死んでしまうじゃありませんか・・・!」
ユイ「・・・・・・・・・」
マリア「うぅっ、うぅっ・・・!」
ユイ「ど、どけ・・・私が殺す!(ナイフを構える)」
マリア「ま、待って・・・ユイさん!!」
ユイ「・・・」
マリア「・・・ユイさん?」
ユイ「どうしよう、マリア」
マリア「えっ?」
ユイ「こいつは敵なんだから殺さないといけないのに・・・こいつを殺そうとすると、なぜか涙が止まらないんだ」
マリア「・・・」
ユイ「なぁマリアぁ、私はどうすればいい。こいつを殺すか否か、どっちの道を選んだとしても辛い思いをする未来しか見えないんだ・・・」
カズ「後者だ・・・」
ユイ「っ!?」
カズ「足を撃たれほぼ無抵抗になった敵を目の前に、それを殺す覚悟もない半端者に殺されるのなんてゴメンだ・・・」
ユイ「それを決めるのはお前じゃねぇ、私たちだ・・・!」
カズ「あぁ、分かってる。決めるのはお前らだ。だが1つだけ言わせてくれ・・・」
カズ「お前たちが辛くない方を選べ」
マリア「・・・!」
ユイ「んだよ。お前は、自分が死んでも構わないって言うのかよ」
カズ「そうだ」
ユイ「どうして」
カズ「お前ら2人が辛い思いをするか、1人だけ辛い思いをするかってだけの話だ・・・単純だろ」
ユイ「・・・」
カズ「あ、悪い。もう1つだけ言わせてくれ。もし、お前らが俺を殺す選択肢を選ぶ場合なんだが・・・」
カズ「ネロのこと、頼んだぞ」
ユイ・マリア「!」
カズ「ぅ・・・(気絶)」
ユイ・マリア「・・・」
マリア「はぁ(銃を捨てる)」
マリア「本当に、お人好しですわ」
ユイ「まったくだ(ナイフを捨てる)」
ユイ「心底呆れる」
マリア「どうしてここまで、自分以外の人を大事にできるのでしょうか」
ユイ「決まってんだろ。カズだからだよ」
マリア「ふふっ、違いないですわね」
洗脳なんかに負けない




