#111 ネロ・奪還⑦[センチメンタル・ノイン]
前回までのあらすじ
右目ポイー
作戦開始より30分経過
クローディア教会・地下4階(拷問室)
(カズ・ノイン・ツヴァイ組)
カズ「なんだ・・・この部屋の荒れようは」
ノイン「まるで獣が暴れまわってたみたいな荒れ方だね」
ツヴァイ「カズ君、見てこれ」
カズ「これは・・・鎮静剤?」
ツヴァイ「ついさっき使ったような形跡がある。もしかしたら、ネロが何らかの実験を受けているのかもしれないわ・・・」
ノイン「じゃあ、この部屋を荒らしたのも・・・」
ツヴァイ「彼女かもしれないわね」
カズ「・・・」
ノイン「神になるためだか何だか知らないけど、自分の都合で人をもてあそぶなんて・・・」
カズ「・・・先を急ごう」
1分後
カズ「・・・っ!」
ノイン「あれ、この部屋・・・」
ツヴァイ「さっき来た所だわ。拷問室」
ノイン「そんな・・・戻ってきちゃったってこと?」
ツヴァイ「多分ね。でもおかしいわ、私たちは直線の道を歩いていたはず。逆走でもしない限り、ここに戻ってくるはずないんだけど・・・」
カズ「・・・もう一回行こう」
1分後
ノイン「げっ、またこの部屋だ!なんで戻ってきちゃうんだよ~!?」
カズ「・・・」
ツヴァイ「・・・どう思う、カズ君?」
カズ「ループ、でしょうね」
ツヴァイ「そうね。恐らく、残る1人の幹部の能力で、どこかに隠れて私たちを延々ループさせるよう操作している・・・」
ノイン「そんな・・・!」
カズ「・・・なぁ、ノイン。一つ頼みたいんだが」
ノイン「え、何?」
カズ「部屋の隅にさ、ダイナマイトが置いてあるだろ。3つほど、あそこに」
ノイン「あぁ、あるね」
カズ「お前の能力で、それぞれコピーして増やしてくれないか?」
ノイン「え、あぁいいけど・・・」
カズ「そしてツヴァイさん。あなたの能力『リバティ・トレース』はあなたが一度行ったことのある空間であれば、自分を含め人を自由に行き来させることできるんですよね?」
ツヴァイ「えぇ、そうよ」
カズ「人以外のものでも、行き来させることは可能ですか?」
ツヴァイ「・・・?」
ノイン「はい。ダイナマイト、コピーしたよ。全部で6つになった」
カズ「・・・よし。2人とも、ちょっと耳貸して(小声)」
ノイン・ツヴァイ「・・・?」
カズ「・・・(小声で何かを伝える)」
ノイン・ツヴァイ「・・・っ!?」
カズ「では、その流れでお願いします(小声)」
ノイン・ツヴァイ「・・・了解(小声)」
カズ「・・・くっそ~~~なんで先に進んでるのに何回もこの部屋に戻ってきちまうんだよ~~~!!!(壁を叩く)」
ツヴァイ「どうなってるのよこれ~」
???(ククク・・・困ってる困ってる!)
ノイン「も~~早くネロを助けにいかなくちゃいけないのにぃ~~~!!!」
ルーピア[教団幹部](残念だったな。この俺の能力『ロード・トゥ・ラビリンス』によって、お前たちは何度先に進んでもこの拷問室に戻ってきちまうんだよ!!)
ノイン「くそっ、誰かの能力か!?でもこの部屋にはアタシたち以外に誰もいないし」
ルーピア(ふん、探したって無駄だ!なんたって俺は、拷問室の隅にある超硬質繊維でできてるボックスの中に隠れているんだからな!!開けようとしてたら日が暮れちまうぜ~~!!)
カズ「はいじゃあせ~の・・・」
「ドォォォォォン!!!(爆発音)」
ルーピア(っ、なんだ!?)
「ボォォォォォ!!!(部屋が燃える音)」
ルーピア(まさかあいつら・・・拷問室を燃やしやがったのか!?)
ルーピア(なるほど、俺を炙り出そうって魂胆か・・・追い詰めたつもりなんだろうが、追い詰められたのはお前たちも同じ。お前たちは絶対に、この部屋のループから逃れることはできない!!)
ルーピア(・・・)
ルーピア(・・・しかし妙だ。悲鳴も断末魔の声が一切聞こえない。もう死んだか。いや、にしては早すぎる)
ルーピア(奴らの必死の悲鳴が聞こえるまで・・・姿を現わすわけには・・・!)
ルーピア(・・・)
ルーピア「くそ・・・もう、駄目だ・・・(ボックスの中から出てくる)」
ルーピア「あ、あれ・・・?」
ルーピア(奴らがいない・・・どこに行った!?俺が能力を解除しない限りは、絶対にこの拷問室から出られるはずはないのに!くっ、もう頭が・・・回らな・・・)
ルーピア「ち、く・・・ょう・・・!(気絶)」
ルーピア「・・・」
ノイン「よっと!(ワープホールから出てくる)」
カズ「・・・幹部は?(ワープホールから出てくる)」
ノイン「多分、あれじゃないかな?あそこに倒れてる」
ルーピア「・・・」
カズ「よし、これで能力は解除された。ツヴァイさん、火を」
ツヴァイ「えぇ、分かってるわ。『リバティ・トレース』!」
火「さよなら」
ツヴァイ「はい、転送完了♪」
カズ「どこにやったんです、火?」
ツヴァイ「最寄りの、ベラドンナ海に送ってきたわ」
カズ「そうですか、じゃあ先を急ぎましょう」
ノイン「・・・えっ?」
カズ「ん、どうしたノイン?」
ノイン「・・・いや、なんでもない。靴紐を結び治すから、先行っててくれ」
カズ「そうか。わかった」
ノイン「・・・」
ツヴァイ「どうしたのノイン。靴紐、結び治さないの?」
ノイン「・・・ツヴァイ姉、あの幹部の男をどこかの診療所に転送してあげて」
ツヴァイ「大丈夫。もう送ったわ」
ノイン「そう・・・」
ツヴァイ「・・・」
ノイン「部屋を幹部ごと燃やすという大胆かつ残酷な作戦を思いつくのもさながら、幹部の安否なんていっさい気にかけることもせず、見捨てて走り去っていった・・・」
ツヴァイ「そうね。私が幹部を転送していなければ、まず助からなかったわね」
ノイン「カズは幹部が生きてようが死んでようが関係ない。ただ自分が先に進めればいいんだ。そのためなら、どんなことでもする。それってもう・・・人殺しと同じじゃないか・・・!」
ツヴァイ「でも、カズ君が倒そうとしている司祭は、もっと多くの人を利用し殺しているのよ。そんな奴に仲間が囚われいるってなったら、他人の心配をする余裕はないんじゃないかしら・・・」
ノイン「分かってる、分かってるよ!あいつにだって守りたい人はいるんだ。そのためなら仕方無いのかもしれない・・・。カズは優しい男だ。自分の命を省みず、アタシやアイン兄を助けてくれたんだ。悪い奴だなんて思いたくない。でも今、ちょっとだけ・・・カズのことが怖いんだ・・・」
ツヴァイ「・・・」
ツヴァイ「ノイン、あなたはここで帰ったほうがいいわ(ワープホールを作る)」
ノイン「な、なんで・・・!」
ツヴァイ「これから、あなたはもっと残酷なカズ君を見ることになるかもしれないからよ」
ノイン「っ!」
ツヴァイ「そうなったら、あなたの心は耐えられる?」
ノイン「・・・」
ツヴァイ「いい、ノイン?この世には『悪人』なんていないのよ。誰もが皆、自分の正義のために生きているの。正しい人間が間違っているように思うこともあるし、悪い人が正しいと思うこともある。今あなたはカズ君にそれを実感して、揺れているの」
ノイン「・・・!」
ツヴァイ「あなたはこれからも揺らぐことがあるかもしれない。でも、あなたはそれでいいのよ、ノイン。正しいことを正しいと感じ、悪いことを悪いと感じる。これが簡単そうで、もっとも難しいことだから」
ノイン「・・・わかった」
哲学の話になった




