#102 アリスの悲劇⑤[蹂躙の業火]
前回までのあらすじ
アリス無双
ミースギナ教会
アリス「・・・母さん?」
ミレイユ「・・・」
街人たち「511、512、513・・・」
アリス「おい。みんな、何やってんだよ・・・?」
リーリカ「517、518、519・・・」
アリス「リーリカさん・・・!」
ジーク「521、522、523・・・」
アリス「父さん・・・父さんまで何やってんだよ!!母さんが拘束されてんだぞ、なに呑気に数なんて数えてんだよ!?」
ジーク「528、529、530・・・」
アリス「聞いてんのかよ、父さん!!」
信者「おい君、なにを騒いでいる。神聖な儀の最中だぞ!」
アリス「・・・お前、教団の人間か?」
信者「そうだが、それがどうかしたか?」
アリス「答えろ、これは何の儀式だ?」
信者「神聖な儀式だ」
アリス「・・・そういうことじゃなくてな、何をするための儀式かって聞いてんだよ」
信者「部外者に話す必要はない」
アリス「・・・はぁ」
信者「邪魔をするなら出て行け。さもなくばタダじゃ済まないぞ」
アリス「なぁ、どうすればこの儀式って終わるんだ?」
信者「・・・なんだと?」
アリス「たとえばさ、お前たち教団関係者を皆殺しにすれば、この儀式って終わるのか?」
信者「まったく、最近のガキというのは礼儀の『れ』の字も知らないんだな。口の聞き方に気をつけろよ、このクソガ・・・」
アリス「はぁ(ナイフで胸を刺す)」
信者「・・・えっ?」
アリス「・・・」
信者「ぎゃあああああああああああ!!!」
街人たち「うわぁぁぁぁぁ!!?」
信者B「貴様ァ、何をしている!?」
信者C「さては反逆者だな、とっ捕まえろ!!」
信者D「気をつけろ、あのガキ刃物を持っているぞ!!」
アリス「・・・」
アリス(3人同時に襲いかかってくる・・・私ひとりで倒せるか?)
アリス(1人1人相手している間に、どうしても隙が生じてしまう。3人を同時に殺せる手段があればいいんだけど・・・!)
アリス「くっ、変な期待しても仕方ねぇ!!(信者Bの胸を刺す)」
信者B「ぐああっっ!!!」
信者C「てめっ、よくも!!!(アリスの腕を掴む)」
アリス「私に触るな!(信者Cに金的)」
信者C「〇×□△&%$#~~~!!!?」
アリス「死ねっ!!(信者Cの右目を刺す)」
信者C「ぎゃああああああ!!!」
信者D「このクソガキが!!!(背後から拘束する)」
アリス「っっ!!」
信者D「どうだ、こうなれば刃物も金的も使えまい!!」
信者E「大丈夫か!」
信者F「そのまま放すなよ!!」
アリス「ちぃっ・・・!!」
アリス(くそ、動けない・・・その上次から次へと増援がやって来やがる。このままでは殺られる・・・こんな下種な奴らに、殺されてたまるか―――)
???「やめなさい」
アリス「っ!」
信者たち「も、申し訳ありませんマーシャ司祭!!」
マーシャ「何事かね、儀式の最中に」
信者D「信者たちが次々に刺されたんです・・・このクソガキに!!」
マーシャ「そうか、それは困ったね。おや・・・?」
アリス「・・・」
マーシャ「君は、たしか前に会った・・・そうだ、私に教会の場所を教えてくれた子じゃないか。たしか名前は・・・アリス」
アリス「・・・ふん、覚えていてくれて光栄だよ」
マーシャ「ふむ、あの時はどうもありがとう。しかし妙だね。見たところ、数日前に会った時と人が変わったような気がするのだが・・・」
アリス「変わったような気、か。よく言うよ。変えたのはお前だ、マーシャ」
マーシャ「私が変えた・・・ふふ、何を言っているのか分からないが・・・駄目じゃないか、こんなことをしちゃあ」
アリス「とぼけてんじゃねぇぞこのペテン師が!!!!!」
信者D「おい、司祭様になんて口の聞き方だ!!(アリスの頬を叩く)」
アリス「うぐっ・・・!」
マーシャ(・・・)
マーシャ「・・・放してあげなさい」
信者D「えっ、ですが・・・」
マーシャ「相手は幼い少女だぞ。手荒い真似はよせ」
信者D「は、はい・・・(アリスを放す)」
アリス(・・・!!!)
アリス「死ねっっっっ!!!!(マーシャにナイフを振りかざす)」
マーシャ「・・・はぁ」
マーシャ「駄目だね」
アリス「~~~っっ!?(動きが止まる)」
マーシャ「やはりな、拘束を解かれると同時に私を殺そうと向かってくると思ったよ。殺気がダダ漏れだったからね」
アリス(身体が・・・動かない!?)
マーシャ「だが、君にできるのはせいぜいそれだけ。立ち向かうことだけだ。私に打ち勝つなど、絶対に成し得ないことなのだよ」
アリス「うるさい・・・うるさいうるさい!!」
マーシャ「その齢にしては、なかなかの戦闘能力だ。そして、私の本性に気付き教会の人間を皆殺しにでもしようとするその精神に敬意を表するよ。だがね・・・」
マーシャ「そんな力、君には似合わないよ」
アリス「・・・っ!?」
マーシャ「さようなら、アリス」
アリス「うぅっ・・・な、何を・・・」
マーシャ「さて、儀式を続けなさい」
信者たち「はっ!!」
アリス「ぐ・・・」
アリス(くそっ、意識が遠くなっていく・・・。このままじゃ、みんなが壊されてしまう。こんなペテン師どもに・・・)
アリス(ごめん・・・ガーベラ、さん・・・)
アリス「・・・」
アリスは8時間後、炎の中で目を覚ました。ここはどこなのか、なぜ自分が炎の中にいるのか・・・炎が自分の肌を焼いているということ以外は何一つ分からなかった。状況を把握する暇も与えられず、ただ火のない安全な場所を求めて走り回った。
やがてアリスは、火の迷路からの出口を見つけた。その距離20m。しかし疲弊しきっていたアリスにとって、出口までの距離は決して短いものではなかった。永遠とも思える20m、最後の力を振り絞り出口に到達すると、すぐに意識を失った。
そこから更に6時間後、アリスはベッドの上で目を覚ました。ミリーア診療所のベッドだ。火災現場の前で意識を失っていたアリスを、誰かがここまで運んできてくれたおかげで、一命を取り留めたのだ。
「おはよう、アリス」
ベッドの横から聞き覚えのある声が聞こえてきた。ガーベラだった。アリスが目を覚ますまで、ずっと傍で見守っていたのだ。一度は瀕死の重傷を負ったガーベラだが、今ではもう血色の良い元気そうな顔をしていた。ガーベラとの再会に、アリスは思わず涙を流した。
しかしそのガーベラの表情にどこか陰りがあったことを、アリスは気付かなかった。
個人的にガーベラさんは殺せない




