第01話「出会い」
やあ諸君、元気にしているか?毎日学校や塾に行って勉強したり、会社で残業をしているのかな?それとも、もう余生を堪能していたりして、、、
それは妬ましい!いや、とても羨ましい。まあ、ぼちぼちがんばってくれや。
そういえば俺の自己紹介がまだだったな。俺の名前はエーベルハルト・アルノー・ザイデル。魔王だ。いや、だったが正しいか。みんなが思う異世界の住人だ、いやだった。
なぜ俺がこの世界にいるかは話せば長い、が簡単にいうと転生したのだ。おっ、どうやら飲み込みの早い人もいるようだがまあ少し聞いてくれや。涙なしでは語れない。この世界での換算で1年前の出来事であった。
(回想)
「よし、このダンジョンもいいね。」
私は洞窟内を散策しながらそう誰に言うでもなくつぶやいた。洞窟と言ってもここは私が支配しているダンジョンの一つだ。
「こんな、名無しダンジョンなどあなたが来なくても大丈夫です。部下たちを信用してください。」
隣を歩いている美女が俺の発言を聞いていたようで答えてくれた。彼女の名前はエレーナ・ナザロワ、私の秘書である。種族としてはナーガだが、普通に足はある。ナーガ族といえば蛇の足を持つものとしてこの世界では有名であろう。前の世界でも大昔はそうであったらしい。しかし、魔法で二足歩行の呪文を使っているうちにそれが呪い?のようなものとなり、常に二足歩行の種族へと変更したとかなんとか。詳しいくことはわからない。
彼女もその一人である
長い金髪をお団子状でまとめ上げ、メガネをかけているまあまあの美女である。仕事も早く正確で、かなり重宝をしている。ただ、未婚である。なんで未婚なのって毎回思う、がそんなことは一切に口にはしない。この世界でもパワハラやセクハラと言った概念はあるのだ。
「まだまだ仕事はたくさんあるんですから、次に行きますよ。」
そういえば私のちゃんとした自己紹介がまだだったな。名前はさっきも言ったがエーベルハルト・アルノー・ザイデル、魔王だ。名前はまあいい、もう使うことはないからな。っていうか久しぶりに本名を言った気がする。結構長い名前だが憶えているものだ。潜在意識でしみついている感じがする。もし誰かにこの名前を呼ばれたら振り向いてしまう可能性がある。
魔王と言ってもたぶんみんなが思う魔王とは意味合いは違う。唯一無二、絶対的な存在というわけではなく、ただの役職にすぎない。そうこの世界には魔王は何人もいるのだ。俺は魔族会に所属している、魔界の政府みたいなものだ。
魔界ってなに?という質問はまたまた後で説明することとする。魔族会には様々な部署があり、細かく話すと長くなるためここは割愛させてもらう。って割愛してばっかりだな。現代世界の言葉では表現しずらいし本題はそこではない。こういうものはまた需要が出てきたら話したらいいことだ。
簡単に説明をすると、目的は世界征服ともっともなことを目標に掲げているが、その実情はインフラの整備である。この魔族会の代表が邪神と呼ばれ、いわゆる代表取締役みたいなものだ。私の部署は都市管理部、ダンジョン整備科の魔王ということである。そうつまり魔王とこの世界でいうところの部長である。
ダンジョン整備科とは文字通りダンジョンを管理、運営をするものである。この世界にはダンジョンが世界各地にあり、そこから発生する魔力を用いて生活している。魔力なしではここに住むものたちの生活は成り立たなくなる、それだけ根深く浸透しているものである。
それは魔族だけではなく、他の亜人族を用いて生活をしている。他の亜人とはヒト族や獣人族、ドワーフなどがいる。
「魔力を制するものは世界を制す」
これは現邪神の口癖である。
そしてダンジョンが最も魔力を生成してくれる場所である。その花形のダンジョン整備科の魔王こそ私だ、いやだった。
そう、あの勇者に出会うまでは。
「この大陸のダンジョンはほとんど我が魔族会になりましたね。」
「そうだな、北の方では一部ヒト族に占領されているから、そこを取り返さないといけないな」
私たちはダンジョンの出口まで向かいながらそう語った。
この世界は大きくわけて星界と魔界とに分類されている。おおざっぱに分けて北と南だ。
魔界は常に濃い魔力でおおわれており、それが霧のようになって魔界全体を覆っている。
南が我が魔界であり、主に魔族はここで生活をしている。世界全体に2割程度が魔界であり、その中でも大陸は3割程度しかない。残りの星界に他の亜人族が主に住んでいる。もちろん魔界に住むヒト族もいるし、星界に住む魔族もいる。大昔はずっと魔界と星界で小さな小競り合いが続いていた。おっと星界っていうのはまあ魔界の逆と思ってくれればいい。
豊富な魔力を狙って、星界が攻めこんでくることが多かった
そして、全世界を巻き込む北と南の大戦争が勃発した。まあどこの世界にもよくある話だろう。両者で多くの被害をだして終戦となった。単純な勝ち負けなどでは語れない大きな戦争であったらしいがこれは私が誕生するずっと前にあったことなので詳しい話はわからない。
なんとなく口伝で知っている程度だが、その戦争後は星界と魔界は領土不可侵を守ってきた。
しかしここ数十年で星界の魔力が枯渇するようになり魔界のダンジョンを攻略しようとしているのだ。魔界は正当防衛を主張するもなかなか聞き入れてもらえない。
「とは言っても魔界にはまだまだ未知のダンジョンがあるみたいだからそこを調査しないといけなからな」
「全貌がまだ明らかになってないものもありますしね」
エレーナはうなずきながら答える。
「そうだな、特にグレゴリーのダンジョンは今の100倍の魔力が生成されているといわれているからな」
ダンジョンには名前を持つものがある。我々が命名したのではなく、もともとそのような名前をもって存在しているそうだ。どのように名前がつけられているか、また誰がつけたかは定かではない。グレゴリーもその一つであり、魔界3大ダンジョンとしてもかぞえられている。名有りダンジョンがこの世界には31個ある。大半のダンジョンは名無しのダンジョンであり、魔族会ではできるだけ管理がしやすいように名無しのダンジョンには番号をつけている。そうしないと管理が面倒であるからだ。また未知のダンジョンの捜索や探索、管理も魔族会の仕事の一つである。
ちなみに我が魔族会が管理しているダンジョンは1000箇所以上もある。もちろん名有りダンジョンもあるが、ほとんどが名無しダンジョンである。
「今日はあと3箇所まわるつもりだ」
「ここから近いところですとD-24ですね」
私たちは出口に向かいながら確認をした。
「もう少し出口の魔力エクスポータルの位置を調節したほうがよさそうだね」
「では、私は行って、先に転移の魔法を起動させておきます」
「任せた」
エレーナに出口にある転移陣を起動しに行った。転移陣は転移陣同士で移動できるとても便利な魔法だ。転移陣は魔族会の部署の一つが管理をしており、その許可がいる。そしてここでも魔力は大量に使われている。
私は私で自分の仕事を開始する。このダンジョンの役割を最大にする仕事だ。魔力回収効率を最大限まで上げることが私にはできる。
そう、私の能力を使って。
バサッと私は両手を広げて能力を発動した。赤く閃光したまばゆい光が私を包み、まがまがしい闇のオーラが地面からあふれ、幾重にも重なる魔法陣が私を中心に出現する。
なんてことは一切なく、能力を発動したかどうかは周りから見ても一切わからない。
(邪神のような能力発動時の演出にはあこがれるよな。でもあれってかなり魔力高率が悪いからどうしようって邪神も言ってたな)
なんて思いながら私の頭の中には様々な数値が駆け巡る。
ダンジョンの大きさ、モンスターの数、鉱物、他のダンジョンの位置関係。様々な数字や数式が組み合わさり一つの答えを出す。私自身にはその頭の中に出てくる数字や数式は意味が分からないが能力により勝手に答えが出る。その間コンマ数秒であった。
【北2.5m、西1.3m、向きは北北東】
エクスポータルの位置をこの通りに移動させる。これで魔力回収が12%上がるはずである。
「よし、これでいいな。ま、このダンジョンの回収が12%あがても焼け石に水だけど。こういった積み重ねが今後の魔族会しいては魔界に大きな影響を及ぼす。」
なんて私は自己満足をしていた。こういった小さな積み重ねがやがて大きな成功を産み出すのだ。私はそうやってここまで上り詰めた、この部署の魔王まで。
「さ、エレーナも待っているし早く行くか」
その後はあの勇者に出会ってしまった。




