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努力は恋を裏切らない  作者: 杷木 うきは
第一部 高校1年生編

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7話 走り抜ける体育祭



課外授業で、デート(仮)をして恋心を自覚したので、これからはもっとアピールをして惚れさせる!


なんてことは出来ずにいた


(恋愛ゲームとかして百戦錬磨を気取ってたけど、私自身が好きになるの初めてなんだもん!!)


本命の相手にどう振る舞ったら良いのか全く分からず、むしろ今までの言動でおかしな所が無かったか、ぐるぐると考え続ける羽目になった



大江は、課外授業後も変わらず過ごしている

他のクラスメイトから挨拶されたら返しているが、自分からは挨拶しない、というか気付かず勉強している


それなのにくるみが近くにいると「おはよう」と挨拶してくる


そんなちょっとの事で一喜一憂してしまい、中々話しかけられないまま1週間が過ぎ...

5月が終わり6月が始まった



ーーーーーーーーーーーーーーー



「それでは体育祭の出場競技はこれで決定しまーす」

クラス長の長谷(はせ)がデカい声で仕切っている


大江は意外にもクラス長はやらなかったので、男子生徒からの人望が厚い、ザ・スポーツマンという感じの長谷がやっている



くるみは玉入れと、柚香と一緒に二人三脚、そして全員参加の応援ダンスに出る事になっている

もちろん大江が何に出るかは把握済みだが、リレーと借り物競走に出る事で決定しており、内心ヒヤヒヤしている


というのも、リレーはメイン種目なので遅いと晒し者になる

足の速さに相当自信がないと立候補しない、そして残り1枠がどうしても居なかったので大江になったという経緯がある


トップバッターは長谷がやると言ってくれたが、アンカーが居なかったため大江はアンカーにされている


(嫌だ!好きな人が晒し者になるなんて耐えられない...!)


さすがに幻滅まではしないが、ガッカリしそうな自分自身も嫌だなと思いつつ、体育の準備期間が始まった



ーーーーーーーーーーーーーーー



「いっち、にっ! いっち!、にっ!」

二人三脚は練習すればするほど速くなるのを感じるので楽しい


練習時間が終わって放課になっても、ふざけてずっと足を繋げて過ごしている


「意外とイケるもんだねー」

「うん!もう一心同体だね♡」

実際、もう声かけなしでも走れるくらい上達した



リレーの練習も横目で見ているが、バトンを渡す練習がメインで、走力は自主練してこいという方針らしく大江が本気で走る所は見れていない


不安を抱えつつ本番の日を迎えた



ーーーーーーーーーーーーーー



「「フレー!!フレー!!」」

応援団の声が響く


熱中症対策で6月上旬開催になっているとはいえ、蒸し暑いのに応援団は学ランを着込んでいる


くるみはというと、体育祭で映える髪型に、メイクやフェイスシールでキラキラさせて完全武装している

もちろん柚香とお揃いにして写真を撮るのも忘れない


玉入れは何事もなく終わり、借り物競走も無事終わった

本当は大江がくるみの事を借りにくる、とかないかなと期待していたが、大江は観客からカメラを借りて難なくゴールしていた



「くるみー!次二人三脚の人集まれだってさ!」

「わかった♡行こ行こー!」


紐は結んでいないが、2人で息を合わせて集合場所まで走る


途中で借り物競走から戻ってきた大江とすれ違い声をかけられた

「國塚さん小松さん頑張れ。応援してる。」


咄嗟の事で返事は出来なかったが胸が躍る

(恋って楽しいなー♪)



「よーい、どん!」

一斉に駆け抜ける、が明らかにくるみ柚香ペアが速く、ぶっちぎりの1位を取った


応援席を見ると、クラスメイトが大盛り上がりしてる

大江も立ち上がって大きく両手を振っている


いえーい!と言いながら柚香と足を繋ぎながら応援席までダッシュで戻った



団全体の応援ダンスも終わり、いよいよ最後の種目

クラス対抗リレーになった



パンッとスターターピストルの音が響く

スタートは好調だが、どのクラスも速い人がトップバッターなので差はあまり無い


2番手、3番手と徐々に置いて行かれて、いつの間にか最下位になってしまった



そんな状態でラスト大江の番がやってきた

バトンを受け取り走り出す


(えっ?あれ?!)


結構開いていた差が段々縮まっている

5位の背中が見え、ついに追い越した


だが、5位のクラスの人も、まさか追いつかれると思っておらず緩めに走っていたようで、抜かされて焦ったのかスピードを上げてきた


どちらも譲らず、ゴールが近付いてくる


クラスのみんなも応援に熱が入る

「頑張れ!!!やまとーー!!」

くるみも精一杯大きな声で応援する


最後の人がゴールしてパンと音が鳴らされる



結果は同率5位


まさか最下位争いでここまで盛り上がると思っておらず、全員が各々感想を言っている


「めっちゃアツい闘いだったー!」

「大江って足速いんだな」

「最下位になった時はもうダメだと思ったよ!」

席に帰ってきた大江は男子生徒に囲まれて褒めちぎられている


全力疾走の後で汗をかいて火照った体を、服をパタパタして冷やしている


(わぁ...なんか...えっちだ......)

中学生のような感想を抱きながら、話しかける隙がないか伺う


結局話す機会が無いまま結果発表の時間になった

くるみが居る1-Aは、総合6位、最下位だった


くるみ柚香ペアは圧勝だったが、その他の競技は特に目立った成績ではなかったからだろう


でもクラスメイトは最後に盛り上がったので、割と満足している様子だ



ーーーーーーーーーーーーーーー



楽しい時間はあっという間で、終わりは案外呆気ない

片付けが終わるといつも通りの学校に戻ってしまった


打ち上げは焼き肉屋を予約してくれているらしいが、焼き肉はカロリーが気になるし、帰りが遅くなると寝る時間に響くので、あまり気が乗らない

でも大江も来ると思い参加と伝えてあった


しかし、くるみの後に打ち上げの参加可否を聞かれた大江は、家でやる事があるので行かないと断っていた



(大江くん行かないならパスでも良かったかも...)

打ち上げ当日だが、すっぽかそうかと考えがよぎる


だが、打ち上げまではまだ時間があるのでみんな一旦家に帰ってから集合だったことを思い出し、先に大江と2人でごはんとかどうだろう、と考えた


思い立ったが吉日、急いで大江を追いかける



「大江くんっ!」

「ん?あれ。國塚さん、どうしたんですか?」


「一緒にごはん食べませんか!」

「え?打ち上げは行かないんですか?」


(あ!そういえば、大江くん、家の用事があるって言ってたじゃん!)

失敗したな、と反省していると


「良いよ。一緒に食べよう。」


まさかの返事が返ってきた




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